Project/Area Number |
23K06219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田中 祥子 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (50328556)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 乳由来エクソソーム / 腸管免疫 / 免疫寛容誘導 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,乳由来エクソソームによる細胞間コミュニケーションに着目し,Foxp3のような免疫寛容の誘導に関与する遺伝子発現に及ぼす影響について検討する.母乳あるいは乳児用調整粉乳中からさまざまなmiRNAが 検出されており,異種間においても免疫調節に関与することが明らかとされている.エクソソーム脂質膜により酸性条件下あるいはRNase 存在下においてもmiRNAは安定であり,腸管においてエピジェネティックな調節に寄与するものと思われる.母乳および人工乳由来エクソソームが腸管免疫系で機能することが明らかとなれば,アレルギー疾患や成人病の発症予防あるいは進展制御への応用の可能性が期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,乳由来エクソソームによる細胞間コミュニケーションに着目し,Foxp3のような免疫寛容の誘導に関与する遺伝子発現に及ぼす影響について検討する.母乳および人工乳由来エクソソームが腸管免疫系で機能することが明らかとなれば,アレルギー疾患や成人病の発症予防あるいは進展制御への応用の可能性が期待される.本研究は,昭和大学小児科学講座との共同研究であり,昭和大学(承認番号2572) および本学(承認番号18-01)「人を対象とする研究等に関する倫理委員会」において承認を得ている.昭和大学病院小児科にて文書による同意の得られた母親および母乳バンクから期限の超過したドナーミルク100mLを提供していただく.児の診断は,共同研究者である小児科医師が実施する.母乳および人工乳中のエクソソームの免疫細胞に及ぼす影響については,ナイーブT細胞における末梢誘導性の制御性 T細胞マーカー遺伝子発現をエピジェネティックに制御するかどうか明らかとする.具体的には,エクソソームに内包されるmiRNAやDNAメチル化による遺伝子発現制御の可能性を明らかとする.一方,腸管細胞あるいは樹状細胞が抗原提示に関与している可能性が考えられることから,細胞内への取り込みについては腸管細胞についても免疫染色で確認する.さらに母乳と人工乳ではエクソソームの標的指向性を明らかとするために,糖鎖修飾に関する比較を行う.このように,乳由来エクソソームの免疫寛容誘導作用およびそのメカニズムを明らかとするとともに,母乳および人工乳におけるエクソソームのエピジェノミック作用を比較することで,栄養成分以外の免疫制御因子をin vitro に探索する.母乳エクソソームを添加した人工乳あるいは母乳強化物質として人工乳由来エクソソームを添加したドナーミルクの活用が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
母乳と人工乳から超遠心法および密度勾配遠心法を用いて単離したエクソソームを,健常成人末梢静脈血より得られた末梢血単核細胞(PBMC)に添加し,ナイーブT細胞からの分化をFACS法で解析した.コンカナバリンAや人工乳において壊死性腸炎との関連が明らかとされているLPSは,制御性T細胞を誘導するという報告がある.しかしながら,本研究において前述のマイトゲンによる細胞増殖刺激下において,エクソソームによる制御性T細胞のマーカー遺伝子であるFoxp3mRNA発現に顕著な変化は見られなかった. 遺伝子のDNAメチル化は代表的なエピジェネティック調節の一つで,胎児期や乳児期においては,臓器の形成や成熟に重要な役割を果たす.Caco-2細胞に発現しているDNMT1タンパク質はウシ調整乳由来エクソソーム添加により減少する傾向がみられた.一方,母乳由来エクソソームを添加したPBMCにおいては,増加する傾向がみられたことから,DNAメチル化の制御に関与する可能性が示唆された. PBMCあるいはCaco-2細胞に蛍光標識したエクソソームを添加し,共焦点レーザー顕微鏡による画像解析あるいはFACS法を実施し,細胞内取り込みの定量を実施した.ウシ調整乳由来エクソソームにおいてはPBMC に比べて,Caco-2細胞に取り込まれる傾向が認められた.さらに,Tリンパ球に比べて単球細胞において効率に取り込まれることが明らかとなった. 免疫細胞の分化に関与する培養上清中のサイトカイン濃度を測定した結果,母乳由来エクソソームを添加したPBMCにおいては,IL-6,IL-10 およびTNF産生の増加が認められた.一方,ウシ調整乳由来エクソソームでは,IL-8について顕著な増加が認められたことから,ウシ調整乳由来エクソソームは白血球の遊走を伴う組織障害との関連が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
小腸上皮細胞あるいは抗原の取り込みに関与するM細胞への分化能を有するCaco-2細胞を成人静脈血より分取した末梢血単核細胞と共培養し,小腸粘膜固有層や腸菅膜リンパ節において抗原提示を行うCD103陽性樹状細胞への取り込み についても同様の検討を行う.母乳およびウシ乳から精製したエクソソームにおける表層糖鎖解析をレクチンブロット法で行う.併せて糖鎖の構造や結合部位を明らかとするため,LC-QTOFによる質量分析を行う.一方,個体間の変動の検出には,複数のレクチンへの結合性のパターンからプロファイリングを行う. 年間10~20検体の母乳サンプル,また人工乳は市販の粉ミルクあるいは乳児用液状ミルクを使用する.乳由来エクソソームにおける膜タンパク質とその受容体発現をウエスタンブロッテイング法で測定する.腸管における細胞間コミュニケーションに関わる細胞を明らかとしたい. 母乳あるいは乳児用調整粉乳中からさまざまなmiRNAが検出されており,異種間においても免疫調節に関与することが明らかとされている.エクソソーム脂質膜により酸性条件下あるいはRNase 存在下においてもmiRNAは安定であり,腸管においてエピジェネティックな調節に寄与するものと思われる.miRNAの測定には,リアルタイムRT-PCR法を用いるとともに,マイクロアレイデータ解析を受託する. 現在,同一被験者から提供していただいた母乳検体のエクソソームに内包されるmiRNAについてプロファイリングを行い,経時的な変化を確認している.特に,出産後1か月と比較して,2か月の母乳で増加するmiRNAについてデータベース解析を実施し,標的遺伝子の選別を行う予定である.表層糖鎖プロファイリングを行うことで個体差が明らかとなれば,レシピエントに対する影響を縦断的に調査したい.
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