Project/Area Number |
23K06242
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
|
Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小林 カオル 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (30255864)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | CYP3A4 / ヒト化動物 / 食事 / コレステロール / 個人差 / 薬物代謝 |
Outline of Research at the Start |
ヒトにおける薬物代謝能に個体差が存在する要因の一つに食事がある。しかし、臨床研究により個人差の原因となる食事成分を明らかにすることは容易ではない。そこで、染色体工学技術により作成した薬物代謝酵素ヒト化マウスを用い、ヒト薬物代謝酵素の発現に影響を及ぼす食事(餌)成分を明らかにする。また、食事により変化する生体内因子(胆汁酸、脂肪酸、腸内フローラ)と酵素発現量の関係を明らかにする。本研究では、ヒト化マウスを用いることにより、食事による生体内変化と薬物代謝能の関連性を明らかとし、薬物代謝の個人差により生じる薬効の違いと食事との関係に新たなコンセプトを創出する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト肝における薬物代謝酵素の活性及び発現量に個体差が存在する要因の一つに食事がある。しかし、臨床研究により個人差の原因となる食事成分を明らかにすることは容易でない。本研究の目的は、複数のヒト薬物代謝酵素遺伝子クラスターを染色体工学技術によりマウスへ導入し、対応するマウス遺伝子群をノックアウトした薬物代謝酵素ヒト化マウス(申請者らが開発したモデル動物)を用い、ヒト薬物代謝酵素の発現に影響を及ぼす食事(餌)成分を明らかにすることである。令和5年度は、肝及び小腸にヒトCYP3A4が発現しているCYP3Aヒト化マウスに、通常餌、1%コレステロール添加餌(含0.5%コール酸)、0.5%コール酸添加餌を7日間与え、肝及び小腸におけるCYP3A4発現への影響を解析した。肝CYP3A4 mRNA量は1%コレステロール添加餌により増加し、0.5%コール酸添加餌では増加しなかった。1%コレステロール添加餌により肝ミクロソームにおけるCYP3A4活性も上昇した。一方、小腸(十二指腸)におけるCYP3A4 mRNA量および小腸ミクロソームにおけるCYP3A4活性はいずれも餌の種類による影響を受けなかった。これらの結果より、コレステロールの摂取により、肝におけるCY P3A4発現量が増加し、CYP3A4基質の代謝が亢進することが示された。生体内に吸収されたコレステロールは、胆汁酸を含む様々な物質に代謝されることから、肝CYP3A4の発現量増加には、コレステロールあるいはコレステロール代謝物が関与していると考えられる。食事によるコレステロール摂取量には、大きな個人差があるだけでなく、コレステロールの吸収率にも個人差がある。したがって、多くの医薬品の代謝に関与するC YP3A4の発現量及び代謝能の個人差にコレステロール摂取量の差異が関係している可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の下記4項目のうち、R5年度は項目1)2)3)の一部について実施し、1)についてはほぼ計画通りの成果を得た。得られた成果は論文にまとめ、投稿、受理された。 1)特殊餌によるCYP3A4発現への影響、2)血中胆汁酸プロファイル、糞中腸内細菌と薬物代謝酵素発現の関連解析、3)薬物代謝能との関連性解析、4)改変食によるUGT2B7及びCYP3A5発現への影響
1)については、特殊餌によるCYP3A4発現量及び肝ミクロソームにおけるトリアゾラム代謝活性への影響を検討し、コレステロール添加餌によりCYP3A4発現量が増加することを明らかとした。また、トリアゾラム経口投与後の代謝物AUC/トリアゾラムAUCはコレステロール添加餌により上昇することから、in vivoにおける代謝能も変化することが示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
R5年度の検討では、1%コレステロール添加餌により肝CYP3A4 mRNA量が増加することが示された。コール酸添加餌では、そのような変化が認められなかったことから、コール酸由来物質ではなく、コレステロール由来物質が肝CYP3A4の発現量増加に関与する可能性が考えられる。コレステロールから様々な胆汁酸が生成することから、R6年度は、通常餌あるいは1%コレステロール添加餌を与えたCYP3Aヒト化マウスの血液を用いて胆汁酸網羅解析を行う。また、R7年度計画のうち、CYP3A4活性バイオマーカー(血中4β水酸化コレステロール濃度)に及ぼす特殊餌の影響についても検討を行う。特殊餌による腸内細菌叢の変化を解析にむけ、予備検討を実施する。
|