Project/Area Number |
23K06279
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 啓祥 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20781941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正宗 淳 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90312579)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 膵がん / 細胞外基質 / 線維化 / 三次元培養法 / 薬物送達 |
Outline of Research at the Start |
膵がんは、治療抵抗性が極めて高く、難治である。その理由として、膵がん微小環境における顕著な線維化組織の存在が挙げられる。線維化は、線維芽細胞と、これら細胞が産生分泌する多量かつ異常構築を示す細胞外基質(extracellular matrix: ECM)成分等によって構成される。こうしたECM異常構築が、膵がんの病態進展および治療抵抗性獲得に寄与することが近年明らかとなってきた。本研究は特にこうした膵がん線維化組織中のECM異常構築とそれに伴うシグナルが、薬物送達に与える影響に着目する。
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Outline of Annual Research Achievements |
膵がんは、治療抵抗性が極めて高く、難治である。一因として、膵がん微小環境における顕著な線維化組織の存在が挙げられる。線維化は、線維芽細胞と、これら細胞が産生分泌する多量かつ異常構築を示す細胞外基質(extracellular matrix: ECM)成分等によって構成される。一般的ながんにおいては、ナノメディシンはがん組織特異的に集積し、安全・効果的な薬物治療を実現しうると期待されているが、膵がんではこうした線維化組織が障壁となりがん細胞にナノメディシンが到達できない。この「線維化障壁」の克服戦略を見出すことが本研究の目的である。 従来実験モデルでは線維化の再現が不十分であり、線維化障壁形成機序は詳細が不明である。本研究では、申請者がこれまでに確立してきた線維化を再現する膵がん立体培養モデルを利活用し、膵がん線維化において見られるECM構築異常の形成に関わるシグナル機序を解明することを通じ、その標的化によるナノメディシン送達効率改善の可能性を実証することを予定している。R5年度はECM受容体の発現プロファイルの確認ならびにその標的化の効果を評価し、ECM受容体を介したシグナル伝達が線維化障壁形成に関わること、またその機序を明らかにした(投稿準備中)。特に、下流シグナルとしてROCK2が重要であることを明らかにした(J Control Release 2024;369;283-95)。今後、これらの知見をさらに発展させ、膵がん線維化におけるECM異常が線維化障壁の形成・進展に関わるメカニズムを明らかにし、その標的化法を探っていくことで、上述の目的を達成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度には、①ECM受容体の線維芽細胞における発現プロファイルの確認、②ECMタンパクをノックダウンした際の線維芽細胞の異常形質獲得への寄与の評価、③ECMタンパクを標的とした際の線維化障壁形成への影響の評価を実現することが予定されていた。①について、線維芽細胞におけるin vitroの解析は順調に進んでいるものの、予定していた既報単一細胞RNA-seqデータでの解析は未着手であり、この点はR6年度以降に実施していく予定である。②について、ECMタンパクをノックダウンした際の解析は実施済みであり、R6-7年度にかけて実施予定であったECM受容体のノックダウン実験もR5年度中にかなりの部分を実施することができた。また、当初予定していなかった下流シグナルの解析も進み、キナーゼROCK2の寄与を明らかにし報告しえた。③についても、同様にECMタンパクのノックダウン実験は実施済みであり、R6-7年度に実施予定であったECM受容体のノックダウン実験も順調に進んでいる。以上のように総じて計画通りの進捗があった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、概ね計画立案時の通りの進捗があり、今後も同計画に準拠しながら研究を推進する。具体的には、R6年度には、R5年度に実施できなかった既報発現プロファイルデータのバイオインフォマティクス的手法による解析を進めるとともに、ECM受容体を標的化した際の、線維芽細胞の異常形質獲得への影響、さらには線維化障壁形成への影響の評価を進める。特に、R5年度に得られた下流エフェクターについての知見をさらに進めるべく、薬理学的阻害実験・siRNAによるノックダウン実験を主体としたメカニズム解析を進め、ECMシグナルを標的とした線維化障壁克服戦略の開発に資する知見を得る。
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