Project/Area Number |
23K06315
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48010:Anatomy-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧野 司 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (10632896)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | マンシェット輸送 / 分子モーター / 男性不妊症 / 精子形成 / キネシン |
Outline of Research at the Start |
不妊症が社会問題となる今、男性不妊症原因のおよそ80%を占める精子べん毛運動障害の理解が望まれる。べん毛運動に必要な物質がべん毛の形成時に精子頭部の周りに生じる「マンシェット」と呼ばれるスカート状のレールの上を輸送されるという「マンシェット輸送モデル」が提唱されてきたが、その実態は明らかではない。研究代表者は遺伝子改変マウス観察から分子モーターキネシンの一種がマンシェット輸送を担うモーター分子であるとの有力な手がかりを得ており、本研究でその検証を行う。具体的には輸送の可視化、また輸送されるべん毛運動に必要な物質の特定および、いつ、どこからどこに運ばれるのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、男性不妊症の主な原因である精子鞭毛運動異常のしくみの解明を目指している。体の様々な器官に生えている鞭毛が作られる時には、その駆動装置である「軸糸」の部品が「鞭毛内輸送」によって運ばれる。精子の場合は「軸糸」に加えてエネルギー産生システムや、鞭毛の強度を増すための固有の構造を備えており、それらの部品は「鞭毛内輸送」とは独立した、「マンシェット輸送」によって運ばれるという説がある。 マンシェットは鞭毛伸長時に精子頭部の周りから鞭毛に向けてに形成されるスカート状の構造である。我々はこれまでの研究により分子モーターであるキネシンの一種をゲノム編集によりノックアウト(KO)したマウスでは精子鞭毛運動異常によるオス不妊が発症し、さらにこのキネシンはマンシェットに集積することをつきとめていた。 2023年度には、キネシンKOマウスにレスキュー遺伝子を導入し、精子運動が回復したことから、本研究の目的である鞭毛運動異常がキネシン機能の欠損によるものであることを確認した。 また、共焦点やライトシート顕微鏡観察により、このキネシンがマンシェットだけではなく、精子形成のステージに応じてダイナミックに局在が変化することを明らかにした。さらに、このキネシンが運ぶ「荷物」の候補を質量分析を用いたプロテオミクスにより同定することに成功した。これにより、このキネシン機能の阻害により精子鞭毛運動異常に至る分子メカニズムを明らかにすることができた。 これらの成果は、国内学会で発表され、論文の執筆が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画は予定通りに進行し、有用な結果が得られている。ターゲットキネシンの運ぶ荷物の同定など計画にあった項目がおおむね実施できており、さらに2024年度に計画していたキネシンが精子形成の発生過程に応じて局在を変化させる様子の観察も、共焦点、ライトシート顕微鏡観察などにより達成した。これらの成果は、当初想定していなかった部位への局在が分かったことで、論文を加筆する材料となり、論文を執筆中で、近日中に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はキネシンの輸送タンパク質候補に対する抗体によりキネシンとの結合を確認する。これらのデータを含め、マンシェット輸送に関する成果を論文投稿し、国際学会で発表する。
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