Patch-seqを用いた包括的解析によるiPS細胞由来心筋の解析
Project/Area Number |
23K06335
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48020:Physiology-related
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
白吉 安昭 鳥取大学, 医学部, 准教授 (90249946)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
經遠 智一 鳥取大学, 医学部, 助教 (60730207)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 洞結節ペースメーカ細胞 / ヒトiPS細胞 / Patch-seq / cardiomyocytes / human iPS cells / pacemaker cells |
Outline of Research at the Start |
ヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞(iPS-心筋)には、ペースメーカ細胞、心房筋、心室筋などが混じっていることが知られている。これらの細胞は、すべて心筋細胞である。しかし、何がこれらの心筋細胞としての違いを生んでいるのか、また、何を根拠にして分類・区別されているのかなど不明である。 そこで、これらの課題を、単一のヒトiPS細胞由来心筋細胞を分取し、個々の細胞について、Patch-seq解析という手法を用いて、遺伝子発現と電気生理学的特性とを明らかにすることによって、活動電位などの電気生理学的特性の分子基盤、心筋種の判定基準、波形を形作る遺伝子などの解明を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞には、洞結節ペースメーカ細胞、心房筋、心室筋などが混在している。この心筋サブタイプ種の特定は、マーカーの発現と活動電位波形など電気生理学的特性によっている。しかし、マーカー遺伝子の発現を基に分別された心筋細胞であっても、想定される活動電位波形を示さない場合がある。これまでの研究から、洞結節ペースメーカ細胞は、イオンチャネルHCN4と転写因子SHOX2の共陽性細胞として分取できることが分かっている。そこで、本研究では、単一のヒトiPS細胞由来ペースメーカ様細胞を対象に、パッチクランプ法によって活動電位を解析した後、その細胞で発現する遺伝子プロフィルを明らかにし(Patch-seq解析)、電気生理学的特性などを裏付ける分子基盤の解明を目的とする。 本年度は、iPS-ペースメーカ細胞のPatch-seq解析のために、ペースメーカ様細胞の選択的分取法の検討とmRNA分取法の検討を行った。 (1)分取方法の改善:ヒトiPS細胞のHCN4/SHOX2遺伝子座に、蛍光タンパク質をノックインすることによって、共陽性細胞を選択的に可視化し、セルソーターによって分取した。本年度の研究では、細胞株の樹立に用いた薬剤選択カセットを除去することなく分化誘導し、HCN4/SHOX2共陽性細胞を調製していた。一方、選択カセットを除去した細胞株では、分取したHCN4/SHOX2共陽性細胞の蛍光強度が上昇する一方、出現頻度が減少することを見いだした。また、AIによる画像解析によって、ペースメーカ細胞と他の心筋細胞とをより効率よく選別できることを明らかにした。 (2)mRNAの調整:Patch解析後の細胞からのmRNA調整については、現状、うまくいっていない。次年度より、測定後の細胞からのRNA回収法について検討を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、生体のHCN4/SHOX2陽性細胞(ペースメーカ細胞)の特性を正確に反映するヒトiPS細胞由来HCN4/SHOX2共陽性細胞の分取が重要である。そのために、まず本研究では、ヒトiPS細胞を用いたペースメーカ様細胞の可視化および選択的分取システムの再検討を行った。その結果、iPS細胞株の分取に用いた薬剤選択カセットの有無によってHCN4/SHOX2共陽性細胞の蛍光強度および出現頻度が変化することがわかった。この細胞株を使うことによって、より効率の良い選択システムを構築できるのではないかと考えている。 しかし、分取した細胞をパッチクランプ法で解析すると、細胞が壊れてしまい、その後のmRNA回収が難しいことが分かった。このようにペースメーカ細胞の分取に関しては、より良い方法の開発に成功しているが、パッチクランプ法によって活動電位を所得した後、RNA調整がうまくいっておらず、本研究の目的であるHCN4/SHOX2共陽性細胞のPatch-seq解析は停滞している。そのため、進捗状況は、やや遅れているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、分取したHCN4/SHOX2共陽性細胞のPatch-seq解析には成功していない。パッチクランプ解析後のRNA抽出がうまくいかないことが原因と考えられる。そこで、次年度以降は、まず、(1)パッチクランプ解析後の、ペースメーカ様細胞からのRNA抽出について、技術的な改善を試み、単一細胞でのPatch-seq解析を引き続き試みる。具体的には、電極の形状、セルソート後の適切な活動電位所得時期など、各種観点からPatch-seq解析のRNA抽出法を検討する。 ただ、これまでの結果から、活動電位を所得後のRNA抽出がうまくいかない可能性がある。その場合は、単一細胞のPatch-seq解析に固執することなく、(2)パッチクランプによる活動電位解析と、シングルセルRNA-seq解析を別々の分取細胞で行う。そして、得られたデータの解析によって、間接的にではあるが、分取したペースメーカ様細胞が示す活動電位と発現する遺伝子との相関関係を類推したいと考えている。 また、(3)本年度の研究から、薬剤選択カッセトを除去した新規改変ヒトiPS細胞株では、心筋分化誘導後のHCN4/SHOX2共陽性細胞の出現頻度や蛍光強度が変化することが分かった。そこで、この細胞株を使用して、ペースメーカ様細胞を分取し、活動電位の解析を行いたいと考えている。そして、シングルセル解析以外に、蛍光タンパク質によって分別した細胞分画(HCN4・SHOX2単独陽性細胞、共陽性細胞)を対象としたRNA-seq解析を行い、各細胞集団の特性とマーカー遺伝子発現との相関関係を明らかにしたいと考えている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)