Project/Area Number |
23K06339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48020:Physiology-related
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
江藤 真澄 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (20232960)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | ROCK / 平滑筋 / メカノトランスダクション / 消化管 / 胃不全麻痺 |
Outline of Research at the Start |
骨格筋や心筋と同様に力を発生する平滑筋においても慢性的な機械的ストレスが長期的な機能調節に関与する可能性は高い。「内圧の増減や伸展など管腔臓器に加わる力は平滑筋の生理的な機能にどのような影響を与えるのか?」を明らかにすることが本研究目的である。期待される研究成果に基づき、様々な管腔臓器機能不全の機序を明らかにする研究へと展開されることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高塩食を与えたマウスモデルを用いて、胃の運動不全における平滑筋収縮制御機構の解明を目指しています。今年度は、高塩食負荷による胃壁伸展が平滑筋の機械的ストレス応答にどのような影響を与えるかを組織切片を用いて詳細に調査しました。その結果、胃壁の繊維化やリモデリングは認められなかったものの、ミオシンリン酸化経路に顕著な変化が観察されました。特に、ROCK2およびPKC経路がCPI-17を介して平滑筋のCa2+感受性を調節することが示唆されました。具体的には、胃壁の伸展によりROCK2の発現が増加し、平滑筋収縮のCa2+感受性が亢進しました。また、CPI-17のリン酸化が顕著に増加し、その結果として収縮力が増加することが確認されました。これらの成果は、胃不全麻痺症や肥厚性幽門狭窄症など、胃の運動不全に関連する疾患の新たな治療標的を提供する可能性があります。さらに、Yap1の減少が観察され、これは機械的ストレス応答の重要な指標となり得ることを示しています。これらの結果は、平滑筋細胞が機械的ストレスにどのように応答し、その機能を維持または変化させるかについての新たな知見を提供しました。今年度の研究は計画通りに進行しており、計画の変更は予定していません。これらの成果は、今後の研究の基盤として重要な役割を果たすと期待されます。さらに、研究の成果は国際学会での発表および論文としての発表も予定しており、学術的なインパクトも期待されます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通りに進行しています。研究の進捗としては、高塩食を与えたマウスモデルを用いた実験を成功裏に実施しました。具体的には、胃壁の伸展に伴う平滑筋収縮応答の詳細な解析を行い、CPI-17のリン酸化状態とそれに伴う平滑筋のCa2+感受性の変化を定量的に評価しました。胃壁伸展モデルにおいて、ROCK阻害剤(SR3677)による収縮抑制効果の増強が確認され、ROCK2の発現量が増加していることが明らかになりました。また、平滑筋細胞内のYap1の減少が観察され、これは機械的ストレス応答の重要な指標となり得ることを示しています。これらの結果から、機械的ストレスが平滑筋の収縮制御におけるCa2+感受性経路に長期的な影響を与えるメカニズムが浮き彫りになりました。さらに、カルバコール刺激による伸展組織の収縮がROCK阻害剤に対して高い感受性を示すことが確認され、これが機械的ストレスに応じたCa2+感受性の変化を反映していることが示唆されました。また、ミオシン軽鎖リン酸化の経時的な変化をモニターすることで、平滑筋収縮応答の時間的なダイナミクスを明らかにしました。これにより、平滑筋細胞がどのようにして機械的ストレスに適応し、その機能を調節するかについての理解が深まりました。今後の研究に向けた重要な基礎データを取得することができました。また、これらの成果をもとに、さらなる詳細な分子メカニズムの解明を進める予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降の今後の研究では、引き続き高塩食マウスモデルを用いて、機械的ストレスが平滑筋の遺伝子発現および機能に及ぼす影響を詳細に解析する予定です。具体的には、次世代シーケンスを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行い、機械的ストレス応答に関与する新規転写因子およびシグナル経路を同定します。これにより、機械的ストレスが平滑筋細胞の機能をどのように制御するかを遺伝子レベルで解明し、長期的な機能変化のメカニズムを明らかにすることを目指します。また、ROCK2およびPKC経路における下流のターゲット分子の特定とその機能的意義を解明するため、in vitroおよびin vivoでの機能的解析を進めます。具体的には、平滑筋細胞内のCa2+感受性を調節するタンパク質の発現量およびリン酸化状態を定量的に測定し、機械的ストレスがこれらのシグナル経路に及ぼす影響を評価します。さらに、平滑筋機能不全が可逆的であるかを検証するため、高塩食負荷から通常食への切り替えによるCa2+感受性および関連タンパク質の発現回復を調査します。これにより、機械的ストレスによる平滑筋機能不全の改善策の開発に貢献することを目指します。また、最近の研究による明らかになってきた平滑筋細胞の多様性についての視点からの研究も行う予定です。これらの研究により、胃の運動不全に関連する新たな治療法の開発が期待されます。また、得られた知見を基にした新たな研究課題の設定や、他の研究グループとの共同研究の推進も視野に入れています。
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