Project/Area Number |
23K06343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48020:Physiology-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
波多野 亮 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (60521713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 隆司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50302568)
李 恩瑛 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (60583424)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 腎糖新生 / ケトン体 / β-ヒドロキシ酪酸 / 糖新生 / 臓器間ネットワーク |
Outline of Research at the Start |
我々は、生体のエネルギー恒常性の維持機構の一つとして糖新生という機能を保持しており、糖が不足した状態でもアミノ酸などを利用して糖を作り出すことができる。糖新生を行う主な臓器として肝臓が知られており、2型糖尿病では肝臓での糖新生の異常亢進が高血糖の原因の一つであると考えられている。一方、糖新生は腎臓でも行うことができるが、腎糖新生の制御機構や生活習慣病における血糖への寄与については明らかにされていない。本研究では、腎臓の糖新生の制御機構について他臓器との機能連関に着目し、その詳細な制御機構の解析を行い生活習慣病に至る新たなメカニズムを解明することを目的として研究を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
糖新生は飢餓時にエネルギー源であるグルコースを供給するための重要な生理学的機能である。肝臓における糖新生については生理学的な役割や糖尿病時の病態生理学的役割について多くの研究がなされているが、その律速酵素であるG6PaseやPEPCKは肝臓の他に、腎臓の近位尿細管において高発現することが知られる。飢餓時において肝臓だけでなく腎臓においても糖新生が誘導されるが、その制御機構や役割に関しては十分に明らかになっていない。我々は腎臓における糖新生制御機構を明らかにする目的で本研究を実施した。短期及び長期絶食、高脂肪食負荷などの様々な条件で肝臓、腎臓における糖新生律速酵素の遺伝子発現を解析したところ、腎臓における糖新生遺伝子の発現が血中のケトン体濃度と強い相関を示すことを見出した。そこで、ケトン体の負荷実験やケトン体合成が障害されたPPARα欠損マウスを用いた実験を行うことでケトン体による腎糖新生への影響を調べたところ、主要なケトン体であるβ-hydroxybutyrate (BHB)が飢餓時における腎糖新生遺伝子の発現誘導に必須であることが明らかになった。また、ケトン体による腎糖新生の制御はグルタミンを利用したNH3生成を通じて酸・塩基平衡の調節にも重要な役割を持つことが示された。さらに、ケトン体合成の障害を伴う脂肪酸代謝異常症(Fatty acid oxidation disorder)患者において見られる空腹時の低血糖や代謝性アシドーシスの発症にはケトン体合成不全に伴う腎糖新生の制御異常が関与しているものと考えられた。本研究においては、肝臓で脂肪酸の代謝によって生成されたケトン体が腎臓の糖新生を制御するという新たな臓器間ネットワークの存在を示すことに成功した。本研究成果は英文雑誌Molecular Metabolismに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも順調に研究が進み十分な研究データが得られたため第一報を取りまとめ、英文雑誌Molecular Metabolismに投稿し、掲載受理された。加えて、研究の過程で新たな課題や興味深い知見が得られており、さらなる研究成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一報での研究成果では、腎糖新生遺伝子発現が肝臓で合成されたケトン体によって制御される臓器間ネットワークの存在を明らかにしたが、ケトン体による遺伝子発現制御の詳細な分子機構については不明な点が残されている。またケトン体が腎臓への直接的な作用だけでなく、他の組織・細胞でのエネルギー代謝に及ぼす影響や全身レベルでの様々なエネルギー基質の体内動態に及ぼす影響についても検討が必要であり、ケトン体をシグナル分子として利用して腎臓の糖新生を促すことによって全身におけるエネルギー代謝にどのような影響を及ぼすかについて解析を進めていく予定である。
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