Project/Area Number |
23K06403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
田中 信忠 北里大学, 薬学部, 教授 (00286866)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | アロステリックシャペロン / グルコセレブロシダーゼ / ゴーシェ病 / 希少疾患 / 結晶構造解析 |
Outline of Research at the Start |
ゴーシェ病は、遺伝子の変異によってグルコセレブロシダーゼ(GCase)の立体構造が不安定になることによって発症する。近年、GCaseを安定化し活性を改善させるアロステリック低分子化合物(アロステリックシャペロン)が報告された。しかし、それらの結合部位および活性改善機構は未だ解明されていない。本研究では、ゴーシェ病治療薬となりうるアロステリックシャペロンを開発するため、X線結晶構造解析の手法によりそれらの結合部位を同定する。得られた構造情報を利用して新規化合物を in silico 探索し、評価・改良する。さらに、アロステリックシャペロンによるGCaseの立体構造安定化機構を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
アロステリック医薬品は、副作用の低さや阻害薬だけでなく活性化薬を作成できるという利点から、新たなタイプの低分子医薬品として注目されている。アロステリック医薬品を合理的に開発するためには、標的タンパク質におけるそれらの結合部位同定が必須である。リソソーム病の一種であるゴーシェ病は、グルコセレブロシドを加水分解するGCaseをコードするGBA1遺伝子の突然変異に起因し、変異酵素の立体構造が不安定となり、細胞内で分解されることで発症する。患者数は全世界で約5000人と少ないが、肝脾腫、骨の壊死などの重篤な症状が現れる。治療法として酵素補充療法が行われているが、治療費が高額であることや点滴治療が生涯続きQOLを損なうことから、新たな治療法が求められている。本研究では、ゴーシェ病治療薬の開発を加速させるために、アロステリックシャペロンを合理的かつ効率的に探索することを目指している2023年度は、主として、GCase酵素製剤(セレザイム)とアロステリックシャペロン化合物Aとの複合体の結晶化条件探索に取り組み、X線結晶構造解析の手法によるGCaseに対するアロステリックシャペロン結合部位同定を目指した。具体的には、ある濃度のGCase水溶液とある濃度の化合物Aエタノール溶液を99:1の体積比で混合し、化合物A濃度をストック溶液の1/100とした。化合物A濃度を比較的低濃度に設定した理由は、予備実験の結果、化合物Aの濃度をある上限以上とすると沈澱する傾向があったためである。 化合物Aを含むGCase溶液と各種市販結晶化条件スクリーニング試薬を用いて数百の結晶化条件探索を行った結果、いくつかの条件において針状結晶が得られた。しかし、良好なX線回折強度データを得るには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
化合物A存在下でのGCaseの結晶化条件探索の結果、いくつかの条件において微小な針状結晶は得られたものの、良好な回折データが得られず、初年度の到達目標であったGCaseと化合物Aとの複合体の構造決定には至っていない。GCase溶液と化合物A溶液を混合し複合体溶液を調製しているが、性状の異なる分子種が混在していることが考えられる。ゲル濾過等の各種予備実験を行い、性状の異なる分子種が存在する場合それらを分離した上で、濃縮・結晶化条件の探索実験を行うことでより良質の結晶が得られる可能性がある。また、GCase酵素製剤が高価であるという事情から、比較的低めのタンパク質濃度で可能な限り多くの結晶化条件を試すという方向性で結晶化条件探索を行った。より高いタンパク質濃度における結晶化条件を行うことで、新たな条件で結晶が得られる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)アロステリックシャペロン結合部位の同定:上述のように、複合体調製条件を再検討した上で、濃縮・結晶化条件の探索実験を行う。シンクロトロン放射光を用い、回折強度データを収集する。研究室へ回折データを持ち帰り、立体構造解析し、化合物A結合部位を同定する。 (2)新規アロステリックシャペロンの探索・評価・改良:最近報告されたGCaseとアロステリックシャペロン複合体の立体構造情報(PDB ID: 8P3E)を利用し、インシリコ・フラグメントマッピング法により新規アロステリックシャペロンを構成し得るフラグメントを配置し、結合部位に結合する立体特性と物理化学的特性(ファーマコフォア特性)条件を満たす一次候補化合物群を約700万化合物から構成される市販化合物データベースから探索し、数万化合物に絞り込む。一次候補化合物群に対してGCaseとのドッキング解析を行い、結合が良好な化合物を二次候補化合物群として数十化合物に絞り込み、それらの化合物を購入する。二次候補化合物群に対して、野生型および変異型GCaseに対する in vitro 活性(酵素活性向上能、熱安定性向上能)を評価する。ヒット誘導体の探索あるいは合成(有機化学者に依頼)により、活性向上を目指す。 (3)アロステリックシャペロンによるGCase安定化機構の解析:計算機的解析として、実験的に得られた複合体の結晶構造情報を利用し、変異型GCaseに対してアロステリックシャペロンの存在下・非存在下での分子動力学シミュレーションを行う。実験的解析として、野生型および変異型GCaseに関し、アロステリックシャペロン存在下、非存在下でサーマルシフトアッセイを実施し、熱安定性変化を解析する。
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