Project/Area Number |
23K06416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
合田 亘人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00245549)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 糖尿病 / 膵b細胞 / 分化 / ヘパトカイン / 細胞分化 / 膵B細胞 |
Outline of Research at the Start |
最近、申請者らが見出してきた新規ヘパトカインが、膵内前駆細胞からの膵B細胞の新生、あるいは/また非B膵構成細胞から膵B細胞への分化転換を促進し、機能的な膵B細胞を再生している可能性を見いだしてきた。しかしながら、新規ヘパトカインが実際に1型、2型それぞれの糖尿病に特徴的な膵B細胞の分化制御にかかわっているのか、またどの膵構成細胞に働きかけ、どのような分子機構を介して制御しているのか分かっていない。本研究では、新規ヘパトカインを介した膵B細胞の分化制御機構への理解を深め、体内で安全で効率の良い膵B細胞の再生による糖尿病の新しい治療法の開発に繋がる研究基盤の構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1型、2型それぞれの糖尿病に特徴的な膵b細胞の分化変容に対するニューレグリン1の作用を検証することを目的としている。今年度はまず、ストレプトゾトシンと高脂質高糖質の投与によりマウス肝臓で発現亢進するニューレグリン1遺伝子の膵b細胞の分化変容に対する影響をノックアウトマウスを用いて解析を行った。ストレプトゾトシン投与による随時血糖値と経口糖負荷試験は、肝臓でのニューレグリン1遺伝子発現の有無によらず顕著な変化は認められなかった。また、組織学的な解析結果でも膵島サイズやインスリン陽性領域にも差が認められなかった。これらの結果は、ストレプトゾトシンにより誘導される肝臓のニューレグリン1発現は、1型糖尿病誘発後の膵b細胞の増殖のみならず、分化変容にも影響を与えないことを示唆している。一方、高脂質高糖質投与により誘導される2型糖尿病モデルでは、肝臓のニューレグリン1遺伝子欠損により代償性膵b細胞増殖の抑制と耐糖能の悪化が認められるが、この食餌投与自体で膵b細胞の脱分化が誘導されるかを検討したところ、ALDH1A3染色陽性細胞は認められなかった。そこで確実に膵b細胞の脱分化が認められるdb/dbマウスを用いてニューレグリン1遺伝子の過剰発現による膵b細胞の脱分化への影響をALDH1A3とインスリンの共染色を指標に解析したが、ニューレグリン1遺伝子の過剰発現により脱分化の回復は認められなかった。これらの結果は、2型糖尿病により誘導される膵b細胞の脱分化からの回復に対してニューレグリン1の作用が認められないことを示唆している。今後、膵b細胞の脱分化を抑制できるかさらに検討を行う必要がある。インスリン、グルカゴンと導管細胞の生体内細胞系譜追跡マウスは生体内で標識できることが確認でき、来年度以降で実験に用いる準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度予定していた実験は計画通りほぼ順調に進めることができたが、期待したニューレグリン1の効果は認められなかった。予備実験として、初代培養マウス膵島細胞を用いて、ストレプトゾトシンによる膵b細胞死誘導条件を確定し、非膵b細胞からの分化転換を解析できる準備を整えた。また、in vitro実験系で高グルコース処置により膵b細胞を脱分化させることも確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
2型糖尿病における膵b細胞の脱分化の発症・進展がニューレグリン1によって抑制されるのか、db/dbマウスを用いて解析を進める。具体的には、脱分化が認められていない若齢のマウスに対して、リコンビナントニューレグリン1タンパク質を3回/週投与し、加齢とともに進展する膵b細胞の脱分化をALDH1A3やFOXO1などの分子マーカーを指標として免疫組織学的に経時的に評価する。正常マウス由来の初代培養膵島細胞を高グルコースなどの刺激によって脱分化させる、あるいはdb/dbマウス由来の脱分化初期の培養細胞を用いて、リコンビナントニューレグリン1タンパク質の脱分化への影響を免疫細胞染色および遺伝子発現解析によって検証する。 1型糖尿病における膵島構成細胞の膵b細胞への分化変容に対するニューレグリン1の影響を解析するために、ストレプトゾトシンを用いた解析を行う。具体的には、正常マウスに対してストレプトゾトシン処理後に、グルカゴン、膵ポリペプチドや膵導管細胞などのマーカー分子とインスリンが共局在する分化変容した膵b細胞の検出を免疫組織学的で試みる。その上で、この変化がリコンビナントニューレグリン1タンパク質の投与により影響を受けるか否かを検証する。正常マウス由来の初代培養膵島細胞をストレプトゾトシンで刺激し膵b細胞に細胞死を導入後、ニューレグリン1が残存した膵島構成細胞がインスリン発現細胞へと分化変容する可能性を検証する。これに平行して、生体内細胞系譜追跡マウスの作出を行う準備を進める。
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