Project/Area Number |
23K06427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49020:Human pathology-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小村 理行 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60377934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 智 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (60254281)
稲熊 真悟 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (80410786)
内木 綾 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (20509236)
加藤 寛之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80791293)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | CD81 / テトラスパニン / 癌微小環境 / 腫瘍関連線維芽細胞 / 免疫細胞 / 癌細胞由来エクソソーム |
Outline of Research at the Start |
癌細胞は周囲の非腫瘍性細胞との相互作用で癌微小環境を形成し、腫瘍免疫や転移能といった悪性形質を獲得するが、その過程で細胞間情報伝達を担うのがエクソソームと考えられている。CD81に代表されるテトラスパニン群は細胞膜およびエクソソーム表面に発現するタンパク質で、乳癌を含むさまざまな癌種で予後との関連が指摘されているが、その機能は不明な点が多い。本研究は乳癌をモデルに癌細胞に発現するテトラスパニン群が癌由来エクソソームを中心とした癌微小環境形成過程に果たす機能を病理組織学的手法および分子遺伝学的手法を用いて明らかにし、テトラスパニン群を標的とした抗腫瘍薬開発に繋がる基礎データを提供するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
CD81とともに、CD81が属するテトラスパニンファミリーのうちCD9、CD63、CD82、CD151、Tspan8の5種類を含む計6種類のテトラスパニンについて検討した。547症例のヒト乳癌組織アレイの免疫組織染色を行い、腫瘍細胞および間質組織における各テトラスパニンの発現量をそれぞれ定量した。腫瘍細胞における発現に関し、CD63およびTspan8の高発現群は有意に予後良好、CD82の高発現群は有意に予後不良を示した。間質組織における発現をみると、CD81の高発現を示した群は有意に予後良好を示した。多変量解析を行ったところ、腫瘍細胞におけるCD63の高発現、間質組織におけるCD81の高発現がそれぞれ独立した予後良好因子であることが示された。 腫瘍細胞に発現する6種のテトラスパニンの発現パターンに基づく階層的クラスタリングを行ったところ、CD63の低発現およびCD82の高発現を示す群は有意に予後不良で、同群は非ルミナールサブタイプ症例を多く含むことが示された。 間質組織に発現するCD81の細胞同定および機能解明を行うため、腫瘍微小環境の詳細な性状解析を行った。腫瘍関連線維芽細胞のマーカーであるポドプラニン、デコリン、αSMA等の発現パターン解析、免疫細胞の種類および浸潤密度の解析等を行った。ポドプラニンを高発現する群にCD81の発現量増加がみられた。また高ポドプラニン群ではT細胞の浸潤数が優位に増加した。さらに、高ポドプラニン群では、高CD81亜群が低CD81亜群に比べて有意にT細胞の浸潤を増強した。蛍光2重免疫染色法による解析で、CD81はポドプラニン、デコリン、SMA陽性の腫瘍関連線維芽細胞のいずれにもほとんど発現しないことが示された。これらの結果から、CD81はT細胞を腫瘍微小環境に誘引し、主要なCAF以外の線維芽細胞に発現している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD81だけでなく、そのファミリータンパク質であるCD9、CD63、CD82、CD151、Tspan8についても解析を行ったことで、より網羅的な知見が得られた。それによりCD63とCD81がともに独立した予後良好因子であることを見出すことができた。また、腫瘍細胞の発現だけでなく、間質組織における発現を検討したことで、間質に組織に発現するテトラスパニンの寡多が予後に影響を与え得るという当初予想していなかった知見を得ることができた。さらに、腫瘍微小環境における免疫細胞浸潤の詳細な解析により、CD81の機能の一端を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
CD81を発現する間質組織中の細胞を明らかにするため、さまざまな腫瘍関連線維芽細胞のマーカーと2重染色法による解析を行う。腫瘍細胞に発現するCD63が予後良好である原因を、ヒト乳癌組織アレイの臨床病理学的事項の詳細な解析をもとに特定することを目指す。これらのヒト乳癌組織アレイの解析で得られた知見を、in vitroの実験系で検討する予定である。乳癌細胞株にCD63を導入し、細胞学や生化学的手法を用いて形質転換の有無を評価する。また、線維芽細胞にCD81を導入し、同様に形質転換の有無を評価する。また、腫瘍細胞と線維芽細胞の共培養実験や、遺伝子導入に伴うエクソソームの性状変化の評価を行う予定である。これら新たに得られた知見を踏まえ、モデル動物への腫瘍移植実験に繋げたいと考えている。
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