成人における冠動脈炎後遺病変の解析―血管炎後遺症は粥状動脈硬化症のリスクになるか
Project/Area Number |
23K06433
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49020:Human pathology-related
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
横内 幸 東邦大学, 医学部, 講師 (50349924)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 血管炎 / 川崎病 / 病理 / 冠動脈炎 |
Outline of Research at the Start |
近年、若年成人の急性冠症候群の発生率が増加しており、その中に冠動脈瘤をはじめとする血管炎後遺症を有する例が存在する。小児期に冠動脈炎が生じた場合、数十年以上経過した後にこの冠動脈病変がどのように変容するか、特に粥状動脈硬化症との関連についてまだ明らかにされていない。本研究では、血管炎の既往を有する患者、および血管炎の関与が疑われる冠動脈病変を有する患者の剖検例に対して、血管炎後遺病変の特徴、血管炎後遺病変と粥状動脈硬化症との関連を検討し、血管炎後遺病変の長期予後を解明することが目的である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、血管炎後遺病変の特徴および血管炎後遺病変と粥状動脈硬化症との関連について剖検例を用いて検討し、血管炎後遺病変の転帰およびその病態を解明することにある。初年度は対象症例を収集し、このうち川崎病既往が確認された14例に対して臨床データと冠動脈の病理所見の評価を行った。 研究対象は、研究代表施設と東京都監察医務院で検索された剖検症例のうち、死亡時年齢が18歳以上で、a) 川崎病、高安動脈炎などの血管炎疾患の既往歴を有する、あるいは、b) 動脈瘤はじめ冠動脈病変の発生に血管炎の関与が強く疑われた計28例である。対象例のイニシャル・性・生年月日を自治医科大学公衆衛生部門に送り川崎病全国調査データベースに照合させ、川崎病既往の有無、急性期情報を検索した。その結果、川崎病既往が確認された14例、未確認の症例が14例であった。 川崎病既往が明確な14例は、冠動脈瘤形成例7例、非形成例7例に分類された。冠動脈瘤形成例では、瘤部だけでなく非瘤部にも血管炎後遺病変が広範に存在し、30歳以降の症例で瘤部と非瘤部の両者に粥状動脈硬化性変化が認められた。なかでも瘤と認識できない拡張病変にプラーク破裂が生じ急性冠症候群で死亡した症例が確認された。一方、冠動脈瘤非形成例では血管炎後遺病変はなかったが、冠危険因子のある症例では高度の粥状硬化性変化が認められプラークびらんによる急性冠閉塞をきたした症例が存在した。 冠動脈瘤などの血管炎後遺病変を残した川崎病既往成人では、後遺病変に粥状動脈硬化症がオーバーラップすることが明らかとなった。一方で、血管炎後遺病変が明らかでなかった症例の冠動脈においても進行した粥状動脈病変が確認され、生活習慣予防とともに小児期から成人期への継続的な管理が必要と考えられた。 この他、高安動脈炎の長期予後、転帰について剖検輯報を用いた病理学的見地から検討を行い、成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、症例抽出後、川崎病既往が明確な症例群と川崎病既往が未確認の症例群の2群に分けて研究を遂行するように計画されている。 初年度は、対象症例の抽出および川崎病既往の明確な症例群の病理学的検討を行った。標本作製、病理学的評価はほぼ終了し、結果を総括してその成果を複数の学会で報告した。したがって、おおむね順調に研究が行われていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行った川崎病既往の明確な症例群の研究結果について、2024年8月にカナダで行われる国際学会(14th International Kawasaki Disease Symposium (IKDS)での発表を予定している。また、論文作成をすすめ、英文誌に投稿予定である。 一方、次年度は川崎病既往が未確認の症例群について、病理組織学的評価を行う。成果を複数の国内関連学会で発表する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)