Project/Area Number |
23K06516
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49040:Parasitology-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金 惠淑 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (70314664)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | N-89経皮吸収型製剤 / マラリア原虫遺伝子発現挙動 / パートナー薬剤 / 医薬品の転用 / 抗マラリア薬候補 / 有機合成化合物 / 経費吸収型製剤 / 併用剤 / マラリア治療 |
Outline of Research at the Start |
マラリアに感染する子どもに簡便に投与できる新しい剤形として経皮吸収型製剤に着目し、すでに経口で新しい抗マラリア薬として見出された N-89 を経皮吸収型製剤として開発方針を変更して最適化を行った。両親媒性分子で分子量の異なる 2 種のPolyethylene Glycol (PEG) を混合した基剤で作製した N-89 製剤に臨床使用を想定してパートナー薬剤を血中半減期や構造の異なる既存抗マラリア薬から選抜する。N-89 に選抜した既存抗マラリア薬を経皮吸収型製剤として併用することで、最終的に徐放性で肝初回通過効果を示さない経皮吸収型 N-89 併用剤の最適化を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
私たちは薬剤耐性マラリアに有効な新規抗マラリア薬開発研究を行なっており、これまでに新しい抗マラリア薬候補化合物として分子内に過酸化構造を示す有機合成化合物・N-89 を見いだした。マラリアの死者の多くは5歳未満の子どもであり、子どもに適用可能な製剤として経皮吸収型製剤にし、N-89の製剤としての最適化と最適なパートナー薬剤の選抜を行なっている。以下にR5年度の研究成果を示す。 1. N-89 のパートナー薬剤として Mefloquine, Pyrimethamine, Chloroquineを 用いて軟膏製剤でのこれら化合物の抗マラリア活性を評価した。その結果、50% 増殖阻害濃度はそれぞれ 3, 0.1, 3 mg/Kg であり、全ての化合物は軟膏製剤で抗マラリア活性が見られた。また、Mefloquine-N-89 と Pyrimethamine-N-89 の 2 剤併用で抗マラリア活性が増強されたが同じquinoline骨格を有するChloroquine では相乗効果は見られなかった。 2. 重症マラリアモデル系で Mefloquine-N-89 と Pyrimethamine-N-89 の 2 剤併用時の感染率の推移と完治効果を調べた(1回塗布/日x4日)。その結果、高用量で併用した実験群では塗布後から感染率の低下が見られ、最終的に完治したが、低用量で併用したグループでは両化合物ともに塗布時のみ抗マラリア薬効が見られた。この結果より、N-89 のパートナー薬剤として Mefloquine と Pyrimethamine が有望であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
N-89 のパートナー薬剤の選抜研究は順調に進んでいる。N-89 に用いる経皮吸収型製剤は不溶性の化合物を血液中に送付するために我々の研究で見いだした配合成分であり、他の化合物でそのまま適用することが難しい。しかし、今回用いた既存の抗マラリア薬 3 種では全て抗マラリア活性が発揮され、基剤と化合物の相性は問題ないことがわかった。現在、上記以外の抗マラリア薬を用いてパートナーとしての薬効解析を行なっており、N-89 のパートナー薬剤の最適化研究は順調であると言える。また、既存抗マラリア薬-N-89 の 2 剤併用で、1日1回の塗布で抗マラリア活性が見られたことから、N-89 単剤で用いた 1日2回塗布回数を軽減することができ、より実用化に近づける結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
N-89 のパートナー薬剤の最適化に向けて他の既存抗マラリア薬 (Amodiaquine, Piperaquine) や、他の疾患に用いる医薬品の中から抗マラリア薬として転用可能な医薬品の選抜を行う。 N-89 を処理したマウスにおける原虫遺伝子 (PbERC, GAPDH, Actinなど) の発現変動をコントロールと比較する。もし、特定のマラリア原虫遺伝子の発現レベルに相違が見られれば、感染初期の原虫遺伝子の発現変動と薬効を比較解析することで N-89 の標的分子の解析に用いるだけでなく、低感染率での N-89 の薬効解析にも遺伝子の発現レベルの変動結果を用いることができる。 N-89 投与時のガメトサイト原虫の出現有無を遺伝子レベルで解析する。抗マラリア薬をマラリア患者に投与するとマラリア原虫は子孫を残すためにガメトサイトが出現するとの報告があるが、通常の光学顕微鏡下では観察するのみでその数が少ないために定量化することが難しい。そこで、ガメトサイト時に特異的に発現する遺伝子の発現変動を解析することで N-89 でも同様の現象が生じるかどうかを比較解析する。
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