Project/Area Number |
23K06526
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
大塚 裕一 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10548861)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 大腸菌 / ファージ / 抗ファージ機構 / AbpA-AbpB / 薬剤耐性菌 / 遺伝子水平伝播 |
Outline of Research at the Start |
深刻な社会問題である薬剤耐性菌の拡大は、薬剤に耐性を与える遺伝子や変異が他の菌に取り込まれる水平伝播が一因となっている。本研究では、大腸菌がもつ新規因子群AbpA-AbpBによる抗ファージ機構を解明し、この機構が水平伝播を抑えることができるかを検証する。本研究の成果は、新規の抗ファージ機構の発見だけでなく、耐性菌の拡大を抑える対策へ重要な知見を提供することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、大腸菌の新規因子群 AbpAとAbpB (以下、AbpAB)による抗ファージ機構が新規であることを明確にし、AbpABが形質導入や形質転換、接合を抑える因子として機能するかを検証するものである。その成果は、薬剤耐性遺伝子の水平伝播により拡大する薬剤耐性菌の蔓延を抑える対策に繋がることが期待される。本年度は4つの研究計画のうち、以下の3つの計画に取り組んだ。 計画①「ファージ感染によるAbpABの活性化機構を明らかにする」では、AbpABがファージの一本鎖DNA結合タンパク質の発現により活性化すること明らかにした。また、ファージ感染なしの条件において、DNA複製やDNA修復の阻害によりAbpABが活性化することも明らかにした。AbpABはある特定のDNA-タンパク質複合体を感知して活性化することが示唆される。 計画②「AbpAとAbpBの作用機序を明らかにする」では、AlphaFold2とDali-serverを用いて、AbpAとAbpBの立体構造を予測した。AbpAはCap4ヌクレアーゼドメインと高い類似性を示した。変異解析によりAbpAのヌクレアーゼ活性が抗ファージ作用に必要であることが示唆された。AbpBはDEAD-box RNAヘリカーゼファミリーに属するヒトRNAヘリカーゼDbp5と高い類似性を示した。また、AbpABの抗ファージ作用にはAbpBのRNAヘリカーゼ活性が必要であることが示唆された。現在、両タンパク質の活性を生化学的に調べるために発現と精製に取り組んでいる。 計画③「形質導入に対するAbpABの抑制作用を明らかにする」では、AbpABの発現により、溶原ファージSp5の誘発と溶原化が抑制されることを明らかにした。過去の結果と合わせて、AbpABは溶菌ファージだけでなく溶原ファージの増殖も抑制することがわかった。よって、ファージによる形質導入を抑制することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題は4つの研究計画からなるが、これまでに計画①「ファージ感染によるAbpABの活性化機構を明らかにする」、計画②「AbpAとAbpBの作用機序を明らかにする」、計画③「形質導入に対するAbpABの抑制作用を明らかにする」を実施した。計画①では、AbpABの活性化に必要な条件を明らかにできたが、その分子機構の解明にはまだ至っていない。計画②では、立体構造予測から、抗ファージ作用に必要なAbpAとAbpBの活性を明らかにした。現在、活性を証明するために、精製タンパク質の調整を行っている。計画③では、AbpABが形質導入を抑制することを明らかにし、予定していた実験は終了した。以上の研究成果は、今年度論文として発表した。よって、本研究課題はかなり進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
計画①では、AbpABの活性化の分子機構を解明する実験に取り組む。また計画②ではAbpAとAbpBの発現と精製を行い、生化学的な解析を行う。また、埼玉大学の藤城貴史准教授と共同で、クライオ電子顕微鏡によるAbpAB複合体の構造解析を実施する予定である。さらに、計画④「形質転換と接合に対するAbpABの抑制作用を明らかにする」についても実験を開始する予定である。
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