Project/Area Number |
23K06602
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49070:Immunology-related
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
中平 雅清 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60454758)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | IL-18 / Th17細胞 / 気道炎症 / 高齢者喘息 / 好中球性気道炎症 |
Outline of Research at the Start |
高齢者喘息に関して、加齢と基礎的病態であるTh17型気道炎症をつなぐ分子機構は明らかになっていない。申請者は、加齢で産生増加したIL-18が、慢性呼吸器感染症等による頻回刺激でIL-18反応性を獲得したTh17細胞を刺激することで高齢者喘息が惹起されると考えた。この仮説のもと申請者は、マウスでは加齢に伴いIL-18産生が増加すること、IL-18受容体を発現するTh17細胞は深刻な気道炎症を誘導することを見出した。以上、高齢者喘息の病態形成にIL-18が重要であると考えられたことから、本研究では治療標的としてのIL-18の可能性を検討し、最終的にはその研究成果の高齢者喘息への治療応用をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
予備実験において、2回の分化誘導刺激によってIL-18反応性を獲得したOVA特異的Th17細胞を移入したマウスに抗原 (OVA) + IL-18刺激を行うと、OVA単独刺激では見られない好酸球+好中球浸潤の混合型気道炎症が惹起されることを明らかにしていた。そこで、IL-17産生能とIL-18受容体発現のさらなる上昇を示す3回分化のTh17細胞をマウスに移入し、2回分化のTh17細胞移入時に比べて気道炎症の増強が見られるか検討した。3回分化のTh17細胞を移入したマウスでもOVA + IL-18の点鼻刺激によって混合型気道炎症の惹起が観察されたが、気道に浸潤した炎症細胞数の増加や炎症のさらなる悪化等の所見は確認されなかった。故に、2回分化の細胞と3回分化の細胞で気道炎症誘導能に大きな差はないと判断し、移入実験に用いるTh17細胞の分化誘導刺激は2回で十分と考えられた。 予備実験では、OVA特異的Th1細胞を移入した高齢マウスにOVA点鼻刺激を行うと、外来性IL-18の添加が無くてもTh1型気道炎症を惹起できることも確認しており、これは加齢に伴い産生増大したIL-18によるものと考えられた。そこで、IL-18反応性を有するOVA特異的Th17細胞を高齢マウスに移入し、外来性IL-18の添加が無くてもTh17型気道炎症を惹起できるか検討した。Th1細胞の移入時と同様に、高齢マウスでは外来性のIL-18点鼻刺激がなくてもTh17型気道炎症の増悪が見られた。また、この高齢Th17マウスで惹起された気道炎症は、抗IL-18抗体の投与 (IL-18の中和) で軽減されることも確認した。以上のことから、加齢によって産生増大したIL-18はTh17型気道炎症の増悪に寄与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では1、2年目に、① Th17分化の回数と惹起されるTh17型気道炎症の程度との相関性、② 高齢マウスにおけるTh17型気道炎症の誘導、③ IL-18を標的としたTh17型高齢者喘息治療の可能性、④ 能動免疫の実験系を用いた実験結果の検証の4点について検討を行うことを計画していた。①に関しては、2回分化のTh17細胞の移入と3回分化のTh17細胞の移入との間で、IL-18によって誘導される混合型気道炎症の程度に大きな差は見られなかったことから、以後の移入実験に用いる細胞としては主として2回分化のTh17細胞を用いる方針が決まり、移入細胞の準備に要する時間の短縮につながった。 ②については、2回分化のTh17細胞を移入した高齢マウスでは外来性IL-18の添加が無くてもTh17型気道炎症を惹起できることを確認した。③については、②の気道炎症が抗IL-18抗体投与によるIL-18の中和で軽減されたことから、高齢マウスにおけるTh17型気道炎症の病態形成に対するIL-18の寄与を確認することができた。以上、計画の1、2年目に行う予定にしていた4点のうち3点については2023年度にポジティブな結果を得ることができていることから、進捗状況としては順調に進展していると考えている。 また、④についても現時点で黄砂の投与量等の実験条件の設定作業はすでに完了している。よって、① ~ ③の結果の再確認作業と並行して実施することになるが、2024年度内に④についての結果を得ることは十分可能な状況であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、抗原特異的Th17細胞を若齢、高齢マウスに移入する受動免疫の実験系を用いて、Th17型気道炎症の惹起に対するIL-18の寄与を確認した。しかしながら、in vitroで分化誘導したTh17細胞を用いている以上、受動免疫の実験系は生理的な条件を反映しているとは言い難い。そこで、2024年度は主としてより生理的な能動免疫の系でも同様の結果が得られるかどうかの検討を行っていく方針である。具体的には、抗原 (OVA) とともに黄砂を気管内投与したマウスに、OVAもしくはOVA + IL-18の点鼻投与を行う。黄砂はTh2応答とともにTh17応答も誘導することが知られている。そこで、この実験系においても、IL-18の添加によってTh17型気道炎症に特徴的な好中球の気道浸潤が増強するか確認する。また、OVA + 黄砂の気管内投与を複数回行ったマウスでは、分化誘導刺激の反復によってTh17細胞 (IL-17産生能) の増加とともにTh17細胞上のIL-18受容体発現が亢進するかについても確認する。 受動免疫の実験系では高齢マウスにおける気道炎症の病態形成にIL-18が寄与していることが示されたが、この時IL-18が移入されたTh17細胞に対して作用しているのか、それともTh17細胞以外の別の細胞に作用しているのか明らかになっていない。そこで、IL-18受容体欠損のOVA特異的Th17細胞を用いることで、気道炎症の病態形成におけるTh17細胞に対するIL-18刺激の重要性を確認する。
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