転写調節型CDK阻害剤が著効を示すがんの層別化を可能とする抗がん分子機序の解明
Project/Area Number |
23K06622
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
大橋 愛美 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 分子薬理部, 研究助手 (50727427)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | サイクリン依存性キナーゼ / RNAポリメラーゼII / 転写調節 / 細胞死 / 分子標的薬 / 低分子阻害薬 |
Outline of Research at the Start |
我々が着目する海洋天然物ラメラリンNの新規合成誘導体Azalam4は、広くCDKを阻害し、特に転写調節型CDK阻害剤と細胞死誘導プロファイルや遺伝子発現変動が類似する、有望な転写調節型CDK阻害剤である。 本剤を含む一連の転写調節型CDK阻害剤は、一部のがん細胞にのみ細胞死を伴う強力な抗がん作用を発揮するが、著効を示すがん細胞の分子遺伝的特徴はこれまでに明らかにされていない。 本研究では、Azalam4をバイオプローブとして活用してこの問いを解明し、転写調節型CDK阻害剤の対象疾患や効果予測バイオマーカーを同定し、より安全で効果的な治療の実現と、Azalam4のベストインクラス医薬品化を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
特定のがんに著効し、正常細胞に対しては殆ど影響を与えない治療標的を見出すため、39種類のヒトがん細胞パネル(JFCR39)の中で、細胞株にのみ低濃度で強い抗がん効果(細胞死)を示し、他の細胞株には弱い効果(増殖抑制)しか示さない、海洋天然物Lamellarin N(LamN)の合成誘導体Azalamellarin 4(Azalam4)に着目した。これまでの研究で、本剤がサイクリン依存性キナーゼ(CDK)をナノモル濃度で阻害すること、開発が先行する転写調節型CDK阻害剤と、JFCR39に対する細胞死プロファイルや遺伝子発現変動で類似の挙動を示すことを明らかにしてきた。本研究では一連の転写調節型CDK阻害剤のうち最も細胞特異性に優れたAzalam4をバイオプローブとして活用し、転写調節型CDK阻害薬に対して「脆弱性を示すがん」がもつ分子的特徴を見出し、抗がん分子機序を解明することを目的とする。 本年度は、Azalam4のセルベース阻害特異性を24種類のCDKターゲットに広げCDKパネルアッセイ法で網羅的に評価した。他の既存のCDK阻害剤と比較したところ、転写調節型CDK阻害剤とプロファイルが類似することを確認した。 また、細胞死を示す4細胞株と増殖停止するヒト肺がん細胞株にAzalam4を添加し、mRNA発現変動を比較した。NCI-H522細胞株で発現が有意に減少する上位の遺伝子は、他の細胞死を示す細胞株でも低減を認めた。それらの遺伝子を個別にsiRNAにて発現抑制させ、細胞増殖への影響を評価したところ、増殖停止を起こすA549細胞株へは影響しないにもかかわらず、NCI-H522に対しては細胞死を起こす遺伝子が見出された。 以上から本剤によって転写調節型CDKが阻害された結果誘導される細胞選択的な細胞死に、下流遺伝子の発現低減が関わると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、Azalam4の阻害特異性を確証する目的で、対象となるCDKターゲット24種類に広げてセルベースCDKパネルアッセイ法にて評価した。その結果、主な標的はCDK1,2,4,6,7,9で、阻害プロファイルは既存の転写調節型CDKと類似し、CDK4/6やCDK8阻害剤とは異なることを確認した。 第二に、Azalam4による細胞選択的な細胞死を起こす原因となる標的分子を明らかにすることを目的として、細胞死タイプの4細胞株へAzalam4を処理し、6時間後の遺伝子発現変動プロファイルをRNA-sequence法を用い比較した。ヒト肺がん細胞株NCI-H522において、DMSO処理群とAzalam4処理群の遺伝子発現量をx軸に変動比、y軸に統計的有意性をプロットして評価したところ、Azalam4処理で有意に発現が低減した上位遺伝子12遺伝子は、一つを除き他の細胞死タイプ細胞株においても発現が1/4以下に低減していた。それらの遺伝子を個別にsiRNAにて発現抑制させ、細胞増殖への影響を評価したところ、増殖停止を起こすA549細胞株へは細胞死を起こさないにもかかわらず、NCI-H522に対しては細胞死を起こす遺伝子が見出された。 以上の結果から、Azalam4に対して「脆弱性を示すがん」がもつ分子的特徴の一つと示唆される遺伝子が見いだされた。以上のように、研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、一連の転写調節型CDK阻害剤のうち最も細胞特異性に優れたAzalam4をバイオプローブとして活用し、どのような分子機序で「細胞特異的な細胞死」を誘導したのかを解明することを目的とする。 本年度は、昨年度に得られた結果を確証するため、細胞死を起こす4細胞株すべてにおいて、脆弱候補遺伝子の発現をsiRNAで抑制させ、細胞死を起こすかどうか検証する。併せて、増殖停止タイプ細胞株に当該遺伝子を強制発現させた場合のAzalam4添加による細胞増殖への影響を評価する。これらを含め、見出した遺伝的な特徴と細胞死との因果関係を検証する実験を行う。 また、薬剤添加による発現変動と組み合わされると合成致死を起こす分子を特定するため、細胞死ではなく細胞増殖停止を起こす細胞株を用い、Azalam4添加下shRNAライブラリースクリーニングを行い、合成致死の表現型を示す遺伝子を同定する。 以上の研究により、RNAポリメラーゼII依存的転写調節により細胞死を起こす転写調節型CDK阻害と合成致死を起こす分子の組み合わせを予測する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)