Project/Area Number |
23K06623
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
小松 将之 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, リサーチレジデント (10749500)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 未分化型胃がん / 腹膜転移 / RhoAシグナル / ARHGAP融合遺伝子 / 密着結合 / 接着結合 / RhoA / 胃がん / 腹膜播種 |
Outline of Research at the Start |
進行期の胃がん患者において腹膜転移は強力な予後不良因子であり、治療法の確立は喫緊の課題である。申請者はこれまで患者腹水の多層オミックス解析と細胞株樹立を通じて、ARHGAP融合遺伝子およびRHOAの機能喪失変異の獲得が腹膜転移巣での胃がん細胞の生存に必須であることを明らかにした。本研究ではRhoAシグナルによる細胞死機構の全貌解明と新たな脆弱性の発見を目的とする。申請者が樹立したARHGAP融合遺伝子またはRHOA変異を内在する胃がん細胞株を活用し、機能・オミックス解析とゲノム網羅的CRISPRスクリーニングにより、分子レベルでの作用機序解明と合成致死遺伝子の同定を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ARHGAP-RhoAシグナル経路を構成する遺伝子の異常(ARHGAP6/26の遺伝子融合およびRhoAの変異)は難治性腹膜転移胃がんにおいて高頻度で認められるが、その生物学的意義は未解明である。我々は患者貯留腹水から上記遺伝子変異を内在する胃がん細胞株の樹立に成功し、これらの機能喪失型遺伝子変異がRhoAシグナルの抑制を介してEカドヘリン依存性細胞死を回避していることを明らかにした。本研究では我々独自の内在株を基盤としてRhoAシグナルが惹起する細胞死機構の解明および、当該シグナル喪失に対する合成致死遺伝子の同定を目的とする。 本年度はARHGAP26融合遺伝子およびRhoAのホットスポット変異を内在する胃がん細胞株を対象として、野生型RhoAおよびARHGAP26 shRNAの発現をコンディショナルに誘導可能な細胞株を樹立した。これらの細胞株に対してRhoAシグナルを再活性化させた際に生じる細胞内シグナルの変動をプロテオームにより解析した。その結果RhoAシグナルを再活性化させた細胞では、Eカドヘリンを中心とした細胞間の接着結合だけでなくオクルディンやクローディンが介在する密着結合のシグナル経路が亢進することを明らかにした。実際にRhoAの再活性化による細胞死は、これら接着結合および密着結合を司る膜タンパク質の発現抑制で解除された。また、上記細胞間結合にはRhoAの下流シグナルであるROCK-MLC2の活性化が必須であることをin vitroの機能解析により証明した。以上からARHGAP-RhoAシグナルは下流のROCK-MLC2を介して複数の膜タンパク質が関与する異常な細胞間凝集と細胞死に寄与する機序が示唆された。これらの細胞死機構を回避しているRhoAシグナル喪失がん細胞における脆弱性を明らかにするため、現在ゲノム横断的CRISPRスクリーニングを開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は未分化型胃がんに特徴的な変異型RhoAおよびARHGAP26融合遺伝子を内在する独自のがん細胞株を基盤として、オミックス・機能解析・スクリーニングといった多角的なアプローチによりRhoAシグナルが誘導する細胞死の本態解明と当該シグナルが失活したがんにおける脆弱性の発見を目指している。この中で全ゲノムCRISPRスクリーニングは本年度中に完了を予定していたが、遺伝子改変細胞の作製が難航したため当初の予定よりも遅れている。一方で次年度に予定していたプロテオーム解析を前倒しで進め、RhoAシグナルの再活性化により誘導される下流シグナル・膜タンパク質を同定することができた。従ってRhoAシグナルが司る細胞死機構の全貌解明は当初の計画より進んでいる。以上の状況を加味して全体としてはやや遅れているに区分した。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度までの研究はやや遅れているが、プロテオーム解析を出発点としたRhoAシグナルの理解や細胞死機構の全貌解明に関しては当初の計画より前倒しで完了することが期待されるため、次年度前半はゲノム網羅的なCRISPRスクリーニングを通じた合成致死遺伝子の同定に注力して研究を推進する予定である。Eカドヘリンだけでなく様々な細胞間接着分子がRhoAシグナルによる細胞死の誘導に関与することが明らかとなったことから、特定の分子に限定せずより広範囲に合成致死遺伝子を探索する。すなわち当初計画していたEカドヘリン喪失により細胞死が回避される遺伝子の探索から、ARHGAP-RhoAシグナルを喪失したがん細胞にのみ生存に必須な遺伝子を複数の内在株を用いたCRISPRスクリーニングにより同定する。全ての内在株で共通する致死遺伝子を創薬の観点から絞り込むことで、その後に実施する候補遺伝子の同定と評価の時間を短縮できることが期待される。
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