Project/Area Number |
23K06645
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
原田 陽一郎 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 糖鎖オンコロジー部 主任研究員 (80464147)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | がん / 糖代謝 / マンノース / 代謝 / DNA障害型抗がん剤 / マンノースリン酸イソメラーぜ |
Outline of Research at the Start |
マンノース単糖は、様々ながん培養細胞に対してDNA障害型抗がん剤シスプラチンの殺細胞効果を増強する機能を持つ。しかし、マンノース投与は重篤な副作用が報告されており、マンノース投与のがん治療への応用は実現していない。申請者は、マンノースによるシスプラチンの増強機構を解明すれば、抗がん剤の効果を高める画期的な手法の開発が可能になると考えた。この着想の下、本研究では、マンノースによるシスプラチンの増強機構との関連が示された“ミツバチ症候群”と呼ばれる代謝異常に焦点を当て、マンノースの作用機序の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
マンノース単糖は、様々ながん培養細胞に対してDNA障害型抗がん剤シスプラチンの殺細胞効果を増強する機能を持つ (Nature 563:719, 2018)。しかし、マンノース投与は重篤な副作用が報告されており (J Inherit Metab Dis 43:671, 2020)、マンノース投与のがん治療への応用は実現していない。申請者は、マンノースによるシスプラチンの増強機構を解明すれば、抗がん剤の効果を高める画期的な手法の開発が可能になると考えた。この着想の下、本研究では、マンノースによるシスプラチンの増強機構との関連が示された“ミツバチ症候群”と呼ばれる代謝異常に焦点を当て、マンノースの作用機序の解明を目的とする。当該年度は、ミツバチ症候群の誘導によってDNA合成の基質であるデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)が枯渇することを見出し、このdNTP枯渇がマンノースによるシスプラチンの増強の主な機構であることを明らかにした(Harada et al., eLife 12:e83870, 2023)。具体的には、マンノースによるdNTPの枯渇が細胞周期の遅延を引き起こすことに加え、シスプラチン投与によるDNA損傷時においてDNA複製をほぼ完全に停止させ、がん細胞の生存率を低下させることを見出した。さらに、dNTP生合成阻害剤がマンノースと同様のシスプラチン増強効果を示すことを発見した。以上の成果は、これまで謎であったマンノースの抗腫瘍活性のメカニズムの一端を明らかにしたものであり、シスプラチンの効果の増強においてdNTPの生合成経路が標的となる可能性を示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って、(1)超生理的濃度のマンノース負荷が引き起こす細胞機能の変化の解明および(2)シスプラチンの効果増強に関わる機構の解明の一部を達成した。研究項目(1)では、平塚 徹 博士(大阪国際がんセンター研究所)との共同研究において、マンノースが細胞増殖を抑制する機構として細胞周期の破綻を定量的に証明することができた。研究項目(2)では、まずメタボロミクスによりマンノースがdNTPの枯渇を誘導することを世界で初めて見出した。さらに、このdNTP枯渇がマンノースによるプリン・ピリミジン代謝の阻害であることを13C-グルコーストレーサーメタボロミクスから明らかにした(慶應義塾大学、平山 明由 博士との共同研究)。そして、dNTP生合成酵素の阻害剤であるヒドロキシ尿素がマンノースと同様のシスプラチンの効果の増強を示すことを実証した。一方で、研究項目(3)シスプラチンの効果増強を担う代謝変化の全容解明は達成できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
マンノースはプリン・ピリミジン代謝経路へのグルコースの代謝フラックスを制限し、dNTPの枯渇を引き起こすことがわかったが、その詳細なメカニズムは不明である。具体的には、マンノースはプリン代謝経路における13C-リボース供与体と一炭素代謝由来の13C-ホルミルテトラヒドロ葉酸(および恐らくグリシン)の利用を抑制する一方、ピリミジン代謝経路ではクエン酸回路由来の13C-アスパラギン酸と13C-リボース供与体の利用を抑制する。マンノースはどのようにして複数の代謝経路を抑制できるのか?我々はプリン・ピリミジン代謝経路の開始反応に共通してグルタミンの窒素が利用されることに着目しており、今後、マンノースによるグルタミン窒素の利用制限という仮説の検証を行う。
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