Project/Area Number |
23K06679
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
横山 智哉子 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 講師 (50608908)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 三次元細胞培養 / 膵臓がん細胞株 / モノクローナル抗体 / 解糖系酵素 / GPI / PGK1 / 膵臓がん / 解糖系 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,三次元(3D)培養膵臓がん細胞を膵臓がんの腫瘍モデルとし,エネルギー獲得メカニズムを解明する。まず、3D培養膵臓がん細胞の定量PCRを用いた解糖系酵素のmRNA発現量解析や,モノクローナル抗体作製を駆使しタンパク質量を解析する。次に,3D培養膵臓がん細胞のエネルギー代謝を測定し,エネルギー代謝が解糖系に依存するかを確認する。さらに,3D培養膵臓がん細胞における解糖系亢進のメカニズムを低酸素や低栄養培養系を用いて明らかにし、3D培養細胞におけるエネルギー代謝に重要な因子を探索する。最後に,膵臓がんにおける薬剤耐性などの腫瘍の悪性化メカニズムの解明研究にも発展させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,膵臓がんに着目し,生体内の腫瘍を模した三次元(3D)細胞培養法を駆使し,膵臓がん細胞のエネルギー獲得メカニズムの解明に挑む。研究代表者は先行研究において,3D培養がん細胞を抗原としたモノクローナル抗体を作製し,3D培養がん細胞において,解糖系酵素glucose-6-phosphate isomerase (GPI)の発現量が増加すると見出した。また,膵臓がん細胞株では他の組織由来のがん細胞株と比較して,GPIタンパク質量が少ない傾向があり,それらを3D培養すると優位に発現量が増加する可能性を示した。本研究では,3D培養膵臓がん細胞を膵臓がんの腫瘍モデルとし,GPIやその他の解糖系酵素の発現量の解析および,3D培養膵臓がん細胞における解糖系亢進のメカニズムを明らかにする。また,これらの膵臓がん細胞のエネルギー獲得メカニズムの解明から,膵臓がんにおける薬剤耐性機構の解明に迫る。 令和5年度では,定量PCRを用いた3D培養膵臓がん細胞における解糖系酵素のmRNA発現量解析および解糖系酵素の抗体作製とタンパク質発現量解析を実施した。細胞株はMIA PaCa-2, Panc-1, SUIT-2を用いた。まず,解糖系酵素のmRNA発現量解析の結果,3株すべてでhexokinase 2 (HK2), GPI, phosphoglycerate kinase 1 (PGK1)などが3D培養により大幅に増加した。そのため,PGK1に対するモノクローナル抗体を作製し,内在性のPGK1を認識するモノクローナル抗体を樹立した。また,培養液中のグルコース消費量と乳酸産生を測定し,3株すべてでグルコース消費量と乳酸産生量の3倍程度の増加を確認した。次に,GPIおよびPGK1に対するモノクローナル抗体を用いて,タンパク質量を定量したところ,3D培養がん細胞において増加した細胞株が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,研究代表者の得意なモノクローナル抗体作製技術を活かして,3D培養膵臓がん細胞においてmRNAが増加した解糖系酵素のモノクローナル抗体を樹立し,これらの抗体を駆使した解析を進める。今年度は先行研究により作製したGPIおよび本年度作製したPGK1に対するモノクローナル抗体を用いた,3D培養すい臓がん細胞のタンパク質量の定量解析を実施した。また,HK2に対するモノクローナル抗体の作製も試みたが,現在のところ内在性のタンパク質を認識する抗体は得られていない。本研究では,合成したペプチドを抗原とした作製をおこなっているが,樹立されなかった場合は抗原候補となるペプチド領域を変えて抗原として用いるなどし,再度抗体作製に挑む。このように,作製されていないモノクローナル抗体もあるが,既に樹立した抗体ではタンパク質の定量が実施できている。今後は抗体作製を続けるとともに,市販抗体を用いるなどして研究を遂行する予定である。さらに,次年度以降の3D培養膵臓がん細胞における解糖系亢進メカニズムの解明ため,解糖系エネルギー代謝に着目した3D培養膵臓がん細胞の解析も前倒しして進めており,総合的におおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作製されなかったHK2に対するモノクローナル抗体については次年度引き続き抗体の作製に取り組む。また,次年度はエネルギー代謝の解析として,細胞内ATP量の測定を追加する。さらに今年度,3D培養がん細胞において,発現が亢進するとされたHK2, GPIおよびPGK1について,siRNAを用いたノックダウン細胞を作製し,これらが3D培養細胞塊に及ぼす影響を調査する。最後に,最終年度では抗がん剤耐性の膵臓がん細胞株を用いた解析をおこなうが,文献によっては耐性株の樹立は多くの時間を要する方法が存在すると判明したため,耐性株樹立の検討実験を次年度より始める。
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