Project/Area Number |
23K06682
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
和田 昭裕 近畿大学, 医学部, 助教 (70253698)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | KRAS / 内在化抗体 / CADM1 / 抗体医薬 |
Outline of Research at the Start |
KRAS変異は固形腫瘍における最も普遍的な癌遺伝子であり、本分子の機能を阻害する抗KRAS抗体は古くに取得されたが、KRASは細胞内分子であり抗KRAS抗体の医療応用は困難と見なされてきた。申請者は細胞内に高効率に内在化する抗体(抗体A)とその内在化を促進する試薬をこれまでに見出した。抗体Aは細胞膜蛋白CADM1細胞外領域を認識する。KRAS変異とCADM1発現を併せ持つ腫瘍は膵腺癌、大腸癌、類内膜腺癌でそれぞれ約1割と見込まれる。本研究課題では 抗体Aを活用して抗KRAS抗体をこれらの癌細胞に送達し、癌細胞の増殖を抑制できるか検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1)抗体A scFv の取得と機能確認:CADM1抗体A遺伝子のCDR情報を基に抗体A scFvをデザインした。そしてこの抗体A scFv を抗Synasis抗体(ヒトIgG1;Synasisはウイルス蛋白で哺乳類の体内には存在しない)と融合させた(抗体A scFv付加型抗Synasis抗体)。CADM1を発現している膵腺癌細胞株Panc-1の細胞ライセートを抗体A scFv付加型抗Synasis抗体と反応させた後ゲルシフトアッセイに供したところ、抗体A scFv付加型抗Synasis抗体は抗体Aと同様にCADM1への結合性を示した。 (2)抗体A scFv とプリツヌマブ(ヒトIgG1)を融合させた。その際、介在部のアミノ酸配列(ペプチドリンカー構造)について検討し、ある種のカテプシン認識配列の介在によって抗体A scFv とヒトIgG1が切り離されることを確認した。 (3)毒性試験:抗体Aに細胞毒MMAE(チューブリン重合阻害薬)を結合させた複合体(抗体A-MMAE複合体)について、マウスへの静注による毒性試験を行った。重篤な組織傷害・臓器傷害は生じなかったが、精巣において精子低形成が生じた。CADM1は精原細胞に高発現しており、on-target effect と考えられた。 (4)類内膜腺癌に対する抗体A-MMAE複合体の殺細胞活性:抗体A-MMAE複合体は類内膜腺癌細胞株に対してCADM1発現依存性及び濃度依存性に殺細胞活性を示した。CADM1発現類内膜腺癌細胞株 HEC-50B 及び JHUM-3 に対する同複合体のmaximal inhibitory concentration (IC50) はそれぞれ0.314 μg/mL及び3.722 μg/mL であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究アイデアの基礎を成す重要な所見は得られたが、進捗が計画通りに順調であるとしなかった主たる理由は、抗KRAS抗体Y13-259 (GenBank: X55179.1, X55180.1)について遺伝子クローニングが未完了だからである。現在、遺伝子配列情報に基づいてY13-259を抗KRAS二価抗体としてどのようにデザインするべきか検討を行っている。 また、抗体A scFv を抗KRAS二価抗体と融合させるに当たって、介在部のアミノ酸配列(ペプチドリンカー構造)について検討し、カテプシン認識配列の有効性を見出したが、至適化するには至っていない点も考慮した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)抗KRAS二価抗体を急ぎクローニングし、組換え抗体として精製する。抗体Aとクロスリンクにて結合させ、その抗体-抗体複合体がCADM1発現依存性に内在化するか調べる。(2)抗体A scFvと抗KRAS抗体とを遺伝子組み換えにて融合させる(抗体A scFv付加型抗KRAS抗体)。その際介在部にはカテプシン認識配列をペプチドリンカーとして挿入する。(3)抗体A scFv付加型抗KRAS抗体がCADM1発現依存性に細胞に内在化するか調べる。(4)抗体A scFv付加型抗KRAS抗体が細胞内で抗腫瘍活性を示すか検討する。KRAS変異を有し、かつCADM1を発現する癌細胞株(膵腺癌MIA PaCa-2(KRAS G12C)、肺腺癌 NCI-H441(G12V)、大腸腺癌SW480(G12V)等)において、KRASシグナルを阻害し、細胞の増殖を抑制するか調べる。(5)抗KRAS抗体活性が最大となるようにリンカー配列を至適化する。(6)抗体A scFv付加型抗KRAS抗体について毒性試験を行う。
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