Project/Area Number |
23K06708
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
鎌田 諒 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 特任研究員 (60801420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲尾 岳大 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, がん専門修練医 (20817358)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | CENP-E / cGAS-STING経路 / 染色体不安定性 / 染色体分配制御 / 自然免疫応答 / キネシン |
Outline of Research at the Start |
免疫チェックポイント阻害剤(ICIs)の登場によりがんの治療体系は大きく前進した。一方で、ICI低感受性を示すCold tumorと呼ばれる腫瘍が80%以上存在していることが知られている。Cold Tumorに対し、がんの免疫応答を高めながらICI高感受性に変換する(Cold to Hot tumor)新規併用療法の開発を目指す。そこで、がん細胞の大きな特徴である「染色体不安定性」と「染色体不安定性が惹起する免疫反応機構」に着目し、染色体不安定性がどのようにがん細胞内の炎症反応を惹起するのか、細胞内の炎症反応がどのように、がん微小環境(TME)免疫反応に働きかけるのかについて研究を進めている。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞質DNAを認識し自然免疫反応を引き起こすcGAS-STING経路は免疫チェックポイント阻害剤の感受性を高める分子標的として注目されている。我々は「染色体不安定性が惹起する免疫応答機構」に着目し、低分子CENP-E阻害剤が染色体不均等分配によって小核を発生させ、細胞内免疫応答を惹起することを示唆した。 CENP-Eの活性を低分子化合物で阻害すると、有糸分裂期(M期)の染色体分配制御機構が著しく損なわれ、M期進行の遅延や染色体の不均等分配を引き起こす。多くの細胞はM期においてSAC (Spindle assembly checkpoint)機構によってアポトーシスへと導かれる(mitotic cell death)が、SAC不全細胞はM期での細胞周期停止から逸脱(mitotic slippage)することを明らかにした。CENP-E阻害剤処理後、mitotic slippageした細胞のRNA-seq解析およびGene Set Enrichment Analysis (GSEA)解析を行なったところ、「細胞質DNA認識経路」「サイトカイン相互作用」「ケモカインシグナル経路」など自然免疫経路に関連するHallmarksがCENP-E阻害剤処理細胞によって有意にエンリッチしていることが明らかとなった。さらに、CENP-E阻害剤処理細胞では染色体不安定性の特徴である小核形成の増加とサイトカイン遺伝子の発現が上昇していること、細胞質DNA認識経路であるcGAS-STINGの下流分子TBK1やIRF3のリン酸化が亢進していることが明らかとなった。 今後、CENP-E阻害剤による小核形成が、がん細胞のcGAS-STING経路を活性化し、免疫チェックポイント阻害剤に低感受性のCold tumorから免疫応答を高めながらHot tumorへ変換を誘導する可能性を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるCENP-E阻害剤による染色体不安定性を介した自然免疫惹起機構の解明のために必要な試薬・設備等も備えている。CENP-E阻害剤による自然免疫惹起機構の詳細を明らかにすることに加え、マウスモデルや所属する国立がん研究センター(東病院)の特性を活かした臨床検体の早期取得を行い、CENP-E阻害剤の薬効薬理試験を検討するための準備も行なっている。これらのことから本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、CENP-E阻害剤による自然免疫惹起機構の詳細を明らかにする。 CENP-E阻害後の小核と細胞質DNA及びcGASの蛍光免疫染色を行い、DNA認識機構を明らかにする。 cGAS-STING下流のNF-κBやIRF3のレポーター導入細胞を用いて、CENP-E阻害剤やsi-CENP-Eを行なった際のレポーターアッセイを行うことでcGAS-STING活性化を検討する。CENP-E阻害後のがん細胞からのサイトカイン放出についてサイトカイン多項目同時定量を行い、1型IFN放出や、IL-1, IL-6, TNFといった炎症性サ イトカインを定量することで自然免疫経路の活性化を評価する。CENP-E阻害による免疫賦活化作用・抗腫瘍増殖効果に関与する細胞内シグナル経路を特定するため、NF-κBやIRF3のレポーター導入細胞を用い、約1400化合物から構成されるキナーゼ阻害剤スクリーニングを実施する。
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