小鳥の発声学習に関わる親子関係形成と脳内甲状腺ホルモンの役割の解明
Project/Area Number |
23K06796
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51020:Cognitive and brain science-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森 千紘 帝京大学, 薬学部, 講師 (00772253)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 発声学習 / 感覚学習 / 甲状腺ホルモン / 親子刷り込み / 親子関係 / 鳴禽類 |
Outline of Research at the Start |
小鳥の発声学習はヒトが言葉を学ぶときと同様に、親子関係を軸とした学習である。小鳥は親の発声を手本として覚えそれを模倣し、親と類似した発声を獲得するが、獲得する発声が親とどのくらい類似するかには個体差がある。本研究では、発声学習を通して獲得する歌への親子間の絆や相互作用の影響を検証する。さらに、この親子間の学習を駆動するメカニズムとして、鳥類の親子間刷り込みに関わることが知られている甲状腺ホルモンに着目し、遺伝子発現レベル、行動レベルでの寄与を調べ、親子間学習に関わる神経内分泌メカニズムの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
小鳥の発声学習は、ヒトが言葉を学ぶときと同様に親子関係を軸とした学習である。幼鳥は親と類似した発声を習得し、親や他個体との社会的相互作用が発声学習に大きな影響を与える。しかし、誰からどのように学ぶかを決める過程についてはよくわかっていない。本研究では、小鳥のキンカチョウを対象に、発声学習の手本となる対象を決め学ぶ過程で、親子の関係とその相互作用が果たす役割を明らかにすることを目指している。さらに、その時期に上昇がみられる甲状腺ホルモンが発声学習にどのように寄与しているかを検証する。まず、親子関係形成の行動指標を特定するために、家族内の交流を詳細に解析した。その結果、給餌・接近・羽繕い・発声行動等の頻度が、子が親からどのくらい発声パターンを学んだかの指標である類似度に関連していることがわかった。また、手本の発声を記憶する感覚学習期に、脳内甲状腺ホルモン濃度が最も上昇するが、この時期に甲状腺ホルモン合成阻害剤を投与した結果、発声学習が阻害されることが確認された。ニワトリヒナでは、脳内甲状腺ホルモン濃度の上昇が親子関係を形成するための刷り込み学習の開始に関わることが知られている。小鳥の幼鳥では、脳内甲状腺ホルモンの上昇が親子関係を強化し、親の発声を聴いて憶える感覚学習の駆動に関わる可能性が考えられる。本年度は、これらの結果を研究会やシンポジウムで発表し議論することで、研究を進めデータを蓄積する上で有用な知識や意見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にある通り、「親子関係形成と発声学習の行動計測」と、「甲状腺ホルモン薬理操作」を進めた。「親子関係形成と発声学習の行動計測」について、複数家族分のデータの記録と解析を進め、発声学習に関わる親子間の相互作用の行動指標を特定することができた。また、「甲状腺ホルモン薬理操作」について、発声学習の感覚学習期における甲状腺ホルモン合成阻害剤投与による影響を調べ、甲状腺ホルモンレベルが発声学習に関わることが確認できた。もう1つの計画である、「発声学習に関わる脳領域の甲状腺ホルモン関連遺伝子発現解析」については、「甲状腺ホルモン薬理操作」の結果を踏まえた上で実施した方が、注目すべき脳領域を絞り込む等においてより良いと考え、開始を遅らせた。現在は、解析のための予備実験と脳サンプルを集めている途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ひき続き「親子関係形成と発声学習の行動計測」と「甲状腺ホルモン薬理操作」について、行動の記録・データの蓄積と解析を進める。また、「親子関係形成と発声学習の行動計測」の一環として、開発した行動実験装置を利用して、子の親への選好性を定量する実験を進め、親子間の絆を評価する予定である。この実験系では、装置自体での定量に加え、行動を動画で記録し、提示した音声や動画に対してどのような反応を示すか、動画解析を試みることでより詳細な行動評価を目指す。「発声学習に関わる脳領域の甲状腺ホルモン関連遺伝子発現解析」については、サンプルの準備とともに、標的領域の絞り込みと切り出し、RNA抽出等を進め、遺伝子発現解析を実施する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)