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日本人特異的な認知症発症に関わる感受性遺伝子変異(レアバリアント)の機能解析

Research Project

Project/Area Number 23K06841
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
Research InstitutionNational Center for Geriatrics and Gerontology

Principal Investigator

木村 哲晃  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 メディカルゲノムセンター, 研究員 (60465250)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
KeywordsMFSD3 / 神経新生 / 認知症 / ヒト培養細胞 / モデルマウス
Outline of Research at the Start

高齢化社会の進行により日本を含む世界中で65歳以上の高齢者数が増加しており、今後もその割合は増えていくと予想されている。そのため、加齢が最大の危険因子である認知症の患者も今後増加すると予想される。しかし、現時点では認知症の治療は対処的なものばかりで、根治は期待できない。そこで、日本人の遺伝的多型がどうして認知症の発症の危険性を高めるかをヒト培養細胞とモデルマウスを使用して解析することで、認知症の発症機構を理解して治療法の開発に繋げる。

Outline of Annual Research Achievements

日本人コホートから見つかったADおよびDLBに関連するレアバリアントのうちMFSD3ストップゲイン変異に関する機能解析を中心に研究を進めた。ヒト神経幹細胞株であるReN cell VMをゲノム編集してMFSD3変異のホモ接合体細胞を得た。この細胞を培養したところ、野生型細胞と比較して増殖速度が有意に低下する事が判明した(p = 0.0031)。また、MFSD3変異細胞を神経細胞とアストロサイトへと分化誘導したところ、野生型細胞と比較して神経細胞として分化する細胞数が少ない事が判明した(p = 0.035)。これらのことからMFSD3の機能喪失は神経新生の低下を引き起こすと予想された。そこで、Mfsd3 KOマウスを作成することにした。
Mfsd3 KOマウスは外見上は大きな変化はなく、妊性も正常であった。また、脳においてαシヌクレイン量、アセチルコリンエステラーゼ活性等に変化は無かった。しかし、Mfsd3 KOマウスの中には明らかに海馬が縮小した個体が観察された。そこで、1歳齢で脳切片を作成し、海馬における神経新生を野生型マウスと比較するためにDcx(Doublecortin)に対する抗体染色を行った。その結果、Mfsd3 KOマウスではDcx陽性細胞が減少しており、野生型と比較して神経新生が大きく損なわれている事が判明した。
脳海馬においてMfsd3 KOマウスで異常が観察されたので、6ヶ月齢の7匹のMfsd3 KOマウスと6匹の野生型マウスとをIntelliCage中で2ヶ月間飼育して、行動と学習課題に対する変異の影響を評価した。その結果、Mfsd3 KOマウスは活動量が低下していることが判明した(p = 0.022)。
以上の結果からMFSD3機能喪失は脳における神経新生の低下と活動量の低下を引き起こす可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題ではレアバリアントが及ぼす影響を細胞・組織・個体レベルで 明らかにし、アルツハイマー病やレビー小体型認知症の発症機構を明らかにするとともに、治療法の開発につなげることを目標にしている。日本人特異的な稀な多型(レアバリアント)の及ぼす影響を、ヒト培養細胞により細胞レベルで、モデルマウスにより組織と個体レベルで解析することを計画した。これまでに、培養細胞のゲノム編集およびノックインマウス作成の実験系が立ち上がり、MFSD3、MLKL、MRPL43に対する細胞モデルおよびマウスモデルの作成に成功しているため、おおむね順調に進展しているといえる。
これまでに、細胞とマウスのCRISPR/Cas9システムを利用したゲノム編集、細胞と脳の酵素活性等の生理学的解析法、マウスの解剖と脳切片の作成、脳切片の抗体染色、マウスの行動解析など本研究課題で行う細胞・組織・個体レベルでの変異の機能解析に必要な一通りの実験系の立ち上げに成功した。それにより、MFSD3、MLKL、そしてMRPL43に関してはゲノム編集により細胞モデルおよびマウスモデルの作成に成功している。また、OR51G1に関してもノックインマウスを作成済みであり、解析は順調に進んでいる。
中でもMFSD3に関しては細胞モデルでMFSD3変異は神経産生能力の低下を引き起こす事が判明した。加えて、マウスモデルにおいてMfsd3変異は脳海馬において神経新生の低下と行動において活動量の低下が観察された。このように、レアバリアントの及ぼす影響を細胞・組織・個体レベルで解析する事が可能となっている。また、MFSD3変異の細胞モデルとマウスモデルの結果はよく一致しており、二つのモデルは相補的で今回の研究計画の正しさを証明している。

Strategy for Future Research Activity

今後はMFSD3に関してはデータをまとめて論文として発表することを目指す。また、残りの遺伝子の変異に関してもMFSD3と同様に解析を行なっていく。
アルツハイマー病(AD)に関してはゲノムワイドな関連解析で見つかっている多くの塩基多型はミクログリアでエンハンサー活性に影響する事が報告されている。そのため、ADに関連するMLKLおよびOR51G1の変異の培養細胞を用いた機能解析はミクログリアを中心に行う必要がある。そこで、iPS細胞をゲノム編集して変異を導入することを計画している。iPS細胞であればミクログリアのみならず神経幹細胞を経て神経細胞およびアストロサイトへの分化も可能であるため、これらの細胞種も作成して表現型の解析を行う。また、表現型の解析としてRNA sequencing(RNA-seq)も行う。モデルマウスに関しては昨年度にヒトと相同な変異を導入したノックインマウス(KIマウス)を作成済みである。また、脳切片の作成および免疫染色法を導入済みである。これらとヒトの家族性ADで見つかったAPP変異と相同なApp変異を導入したADモデルマウスとの掛け合わせを進めており、MlklおよびOr51g1の変異がAD病態に及ぼす影響を評価していく予定である。
レビー小体型認知症の関連遺伝子であるMFSD3とMRPL43に関しても細胞モデルを利用して生理学的解析およびRNA-seqによる解析を行い、細胞レベルでの変異の影響を明らかにしていく。また、モデルマウスに関しては、Mfsd3で既に海馬における神経新生の低下が観察されているため、Mrpl43に関しても同様の表現型が無いかを確認する。Mrpl43においても行動解析を行い、どのような異常が出るかを解析し、Mfsd3との共通性と差異を明らかにしてDLB発症の分子機構の解明につなげる。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (5 results)

All 2023

All Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results)

  • [Presentation] レビー小体型認知症におけるMFSD3の機能喪失は脳内でのブチリルコリンエステラーゼの活性上昇を引き起こす2023

    • Author(s)
      木村 哲晃
    • Organizer
      第12回IAGGアジア/オセアニア国際老年学会議
    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 日本人集団で見つかったレビー小体型認知症に関連するMFSD3多型の機能解析2023

    • Author(s)
      木村 哲晃
    • Organizer
      第12回日本認知症予防学会学術集会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] Functional analysis of MFSD3 associated with dementia with Lewy bodies.2023

    • Author(s)
      木村 哲晃
    • Organizer
      Human Genetics Asia 2023 合同開催
    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Functional analysis of MFSD3 associated with dementia with Lewy bodies.2023

    • Author(s)
      木村 哲晃
    • Organizer
      ASHG Annual Meeting 2023
    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 日本人集団で見つかったレビー小体型認知症に関連するMFSD3多型の機能解析2023

    • Author(s)
      木村 哲晃
    • Organizer
      第42回日本認知症学会学術集会
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2023-04-13   Modified: 2024-12-25  

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