新規ATLバイオマーカーsTNFR2の血中上昇機構と切断酵素制御による細胞死への影響
Project/Area Number |
23K06854
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
今泉 直樹 琉球大学, 医学部, 准教授 (10547384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 卓也 琉球大学, 医学部, 教授 (40336160)
崎浜 秀悟 琉球大学, 医学部, 助教 (30835129)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ATL / TNFR2 / HTLV-1 / ADAM / ミトコンドリア |
Outline of Research at the Start |
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は、Human T-cell leukemia virus type I (HTLV-1)を原因ウイルスとする極めて予後不良な末梢性T細胞腫瘍である。申請者らはHTLV-1キャリアとATL患者群の血漿プロテオミック解析を行い、血中sTNFR2濃度の上昇がATL発症の新規バイオマーカー候補となること、悪性度の高いATL細胞の表面にTNFR2が高発現していることをはじめて報告した。そこで本研究では、ATLについてsTNFR2上昇時の切断酵素の動態、TNFR2遊離に対する抑制作用の影響と細胞死との関連性を解明することを目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は、Human T-cell leukemia virus type I (HTLV-1)を原因ウイルスとする極めて予後不良な末梢性T細胞腫瘍である。我々のグループはHTLV-1キャリア群とATL患者群の血漿プロテオミクス解析を行い、ATLの発症における新規のバイオマーカー候補として、可溶性tumor necrosis factor receptor 2 (sTNFR2)濃度の上昇を報告した。また、悪性度の高いATL細胞の表面にはTNFR2が高発現していることも報告した。最近の研究では、TNFR2が固形がん細胞の増殖に寄与し、TNFR2の切断酵素としてのTNF-α-converting enzyme (TACE)が活性化し、TNFR2遊離の抑制によって細胞死が誘導されることが報告されている。さらに、TNFR1の切断(shedding)はミトコンドリア由来の活性酸素種やカルシウムが関係していることが報告されており、がん細胞では品質不良のミトコンドリアが蓄積することから、ミトコンドリア機能障害によるTNFR2のsheddingの促進が予想された。そこで本研究では、ATLについてsTNFR2上昇時の切断酵素の動態、TNFR2遊離に対する抑制作用の影響と細胞増殖・細胞死との関連性を解明することを目標としている。今年度、研究を進めるにあたり、ATLについて細胞株や臨床検体を用い、TNFR2上昇時の動態と切断酵素について、TNFR2に対する阻害剤の影響、TNFR2遊離の抑制による細胞増殖への影響を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATLにおけるsTNFR2上昇メカニズムを解明するため、患者由来ATL細胞におけるTNFR2関連遺伝子の発現プロファイルを分析した。沖縄HTLV-1/ATL バイオバンクに凍結保存されている.末梢血単核球 (急性型ATL 患者, HTLV-1キャリア), およびATL細胞株からCD4陽性T 細胞を分離し,RNA抽出およびcDNA合成を行い、細胞増殖に関連するNF-κB経路とTNFR2/JNK経路についてmRNA 発現量の解析を行った。ATL患者におけるTNF、TNFRSF1B(TNFR2)、MAP3K7、NFKB1、REL、RELA、TNFAIP3のmRNA発現量は、HTLV-1キャリアと比較して有意に低値であった。ATL細胞表面ではTNFR2の発現が上昇することから、転写後のプロセスによりTNFR2の発現制御がなされている可能性が考えられた。TNFR2切断酵素(TACE: ADAM17)に関して、各種ATL細胞株及び患者検体における発現をウェスタンブロットにて確認したところ、ATL患者及び細胞株でADAM17の発現上昇が確認され、酵素活性も同時に上昇する傾向が確認された。さらに、TACE阻害剤であるMarimastatを添加することで培養上清中のsTNFR2上昇が抑えられた。このことから、sTNFR2の上昇にはADAM17の発現上昇および活性化が関係していることが示唆された。加えて、阻害剤の作用により細胞増殖も抑制されることが見出された。しかしながらTNFRSF1B(TNFR2)のノックダウンでは細胞増殖に変化は見られなかった。このことからADAM17がATL細胞の増殖機構に重要であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
ATL 細胞株を用いて、Marimastat以外のTACE阻害剤(TAPI)やADAM17ノックダウンによる細胞増殖・生存、これに関係するシグナル伝達機構(NF-kB経路)、細胞死マーカー(チトクロムC、 Bax/Bak、caspase3・9、Annexin V、TUNEL assay等)、ミトコンドリア機能への影響について検討を行う。ミトコンドリア機能障害(活性酸素、膜電位、エネルギー合成能等)についてはHTLV-1キャリアやATL病型(悪性度)の比較を行う。また、TNFRSF1B 発現抑制はTregの機能を阻害することが報告されており、ATL細胞におけるTNFR2の役割について、細胞増殖・生存以外の観点からも評価する。ADAM17と関連が深いNotchやFoxp3等についても関連性を検討する。また、急性型ATL 患者とHTLV-1キャリアにおける比較についても症例数を増やしつつ、ADAM17の活性型やsTNFR1、sCD30、sOX40などの関連タンパクとの関係性について検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)