Project/Area Number |
23K06877
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
矢部 武士 摂南大学, 薬学部, 教授 (40239835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 良太 摂南大学, 薬学部, 准教授 (90710682)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 発達障害 / 抗生剤 / 漢方薬 / 社会性行動異常 |
Outline of Research at the Start |
西洋薬(新薬)での治療が困難な疾患に対して、漢方薬が一定の治療効果を示す場合があり、その有用性から我が国の現代医療において今なお多用されている。しかしながら漢方薬は長い臨床経験の蓄積があるものの、薬効発現機序の解明は一部を除き未だ充分とは言えない。本研究では、幼若期に隔離飼育や抗生剤の投与を行うことにより作成した発達障害モデル動物を用いて、加味温胆湯や抑肝散など古来より神経・精神疾患に臨床応用されてきた漢方処方の薬効を行動薬理学的な手法により確認・評価するとともに、薬効発現機序について脳内エピジェネティクス制御や腸内細菌叢の変化を指標に解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
発達障害の原因は不明な部分が多く残されているものの、家系研究や双生児研究などから、先天的要因だけでなく後天的な環境要因が少なからず関与するものとされている。幼少期の脳・精神機能の正常な発達が環境的な要因により阻害されると、成人後にうつ病など精神疾患の発症リスクが高まることも指摘されている。本研究では発育期の環境により成熟後に精神疾患様の異常行動を示す動物モデルである早期隔離飼育マウス、及び早期抗生剤投与マウスを用いて、以下の「問い」を明らかとすることを目的としている。 課題1 早期隔離飼育マウスで観察される社会性行動やセロトニン神経系の異常を漢方薬が改善できるか?またその作用機序はどのようなものか? 課題2 早期抗生剤投与マウスで観察される社会性行動や腸内細菌叢の異常を漢方薬が改善できるか?またその作用機序はどのようなものか? 初年度は、まず課題1について検討を行い、早期隔離飼育マウスへの加味温胆湯の投与が新規環境下や他マウスとの接触によって引き起こされる多動行動を抑制することを明らかとした。また課題2での早期抗生剤投与マウスを用いた検討において腸内細菌叢に異常が認められるとともに大脳皮質前頭前野におけるシナプス関連遺伝子の発現パターンに変化が認められることなどを明らかとした。さらに、補中益気湯の投与により早期抗生剤投与マウスで観察される社会性行動試験におけるASD様の異常行動や回腸におけるReg3γ発現量の減少が改善されることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
早期隔離飼育マウスや早期抗生剤投与マウスで観察される異常を漢方薬の投与が改善する可能性を見出すことが出来た。 今年度以降は、その作用メカニズムについても解析を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討から早期隔離飼育マウスや早期抗生剤投与マウスで見られる異常を漢方薬が改善する可能性を見出すことが出来たことから、この改善効果についてより詳細に解析していきたい。特に、今年度は早期抗生剤投与マウスを用いた解析に注力する予定である。これまでの解析により、CAM投与マウスの大脳皮質前頭前野においてシナプス関連遺伝子の発現量が減少していること、また腸内細菌叢ではErysipelotrichaceae科の細菌が増加していること、シナプス関連遺伝子遺伝子の発現量と腸内細菌量が負に強く相関することなどを見出しており、今年度は、これらの因子に対して漢方薬の投与がどのような影響するのかを解析する。具体的には、(1)CAM投与マウス腸内でのErysipelotrichaceae科の細菌の増加を漢方薬が抑制することができるかについて、マウス糞便からDNAを抽出し解析を行う。(2)申請者らの予備的検討で、CAM投与マウスの前頭前野においてシナプス関連遺伝子の発現量減少を確認していることから、実際にシナプスに異常が生じているかを樹状突起スパインの密度および形態を指標にゴルジ染色法を用いて解析するとともに、漢方薬の効果を確認する。
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