ストレス誘発性頻尿の脳内機序を標的とした頻尿治療法開発に向けた基盤構築
Project/Area Number |
23K06887
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
清水 孝洋 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (00363276)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 源顕 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (60273893)
東 洋一郎 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (80380062)
清水 信貴 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (10368326)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | ストレス / 脳 / 頻尿 / 膀胱機能 / ニコチン受容体 / 一酸化窒素 / ヒスタミン / プロスタグランジンE2 / 薬理学 / 脳・神経 / 排尿機能 |
Outline of Research at the Start |
ストレス曝露による頻尿誘発・膀胱機能障害における頻尿症状増悪の機序を、ストレスを受容する脳との関連で明らかにした報告は皆無であった。本研究では、代表者らが同定した排尿促進および排尿抑制に関わる脳内分子に着目し、ストレス曝露による頻尿誘発の脳内機序についてこれら脳内分子を介したシグナルの変動に着目して明らかにすることを目的とする。また新たな排尿制御に関わる脳内分子の同定・これら脳内分子とストレス誘発性頻尿との関連性解明を行う。加えて、これら脳内分子を標的とした薬物によるストレス誘発性頻尿軽減効果を明らかにする。本研究の成果は脳を標的とした新たな頻尿治療戦略の基盤になるものと期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ストレス曝露が頻尿誘発、さらには膀胱機能障害における頻尿症状増悪に関与することが報告されているものの、その機序についてストレスを受容する脳との関連で明らかにした報告は少ない。令和5年度は、排尿制御の脳内機序解明の礎として、(1)代表者らが同定した排尿抑制に関わる脳内分子ニコチン受容体(nAChR)による排尿抑制機序を一酸化窒素(NO)に着目して解析した。(2)脳内ヒスタミン(HA)および(3)プロスタグランジンE2(PGE2)が排尿へおよぼす影響を解析した。 実験にはウレタン麻酔下の雄性ラットを用い、脳定位固定装置に固定した条件下で側脳室に種々の薬物を投与した。排尿機能は膀胱へ挿入したカテーテルへ生食を持続注入(12 ml/h)した際の膀胱内圧変化から評価した。 結果、(1)α7型nAChR刺激薬PHA脳室内投与による排尿間隔(ICI, 排尿頻度の指標)延長はNOドナーSNAP脳室内前処置により抑制された一方、NO合成酵素阻害薬L-NAME脳室内前処置はPHAによるICI延長を増強した。(2)HA脳室内投与は用量依存的にICIを短縮させたが、残尿量には影響を与えなかった。HAによるICI短縮はH1遮断薬オロパタジンの脳室内前処置により抑制された。(3)PGE2脳室内投与は用量依存的にICIを延長させた。 以上より、(1)脳内α7型nAChR刺激による排尿抑制に対し脳内NOが抑制性に関与すること、(2)脳内HAは脳内H1受容体を介して排尿を促進すること、(3)脳内PGE2は排尿を抑制すること、が明らかとなった。 これら成果は、ストレス曝露による頻尿誘発・膀胱機能障害に伴う頻尿症状増悪に対し、脳内α7型nAChR、NO、HAおよびPGE2が新たな治療標的となる可能性を示唆するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
排尿制御に関与する脳内機構をさらに解明すべく、脳内nAChRによる排尿抑制機構に脳内NOが負の制御を担うことを明らかにした。また、脳内HAおよびPGE2がそれぞれ排尿促進および排尿抑制に関与することを明らかにした。よって、排尿制御に関与する新規脳内分子探索の計画は順調に進んでいると考える。一方、水回避ストレス(WAS)曝露ラットに対する連日脳室内投与の実験系構築に際し、術後の回復期間および投与期間中に衰弱、死亡する個体が一定数認められたため、実験条件再検討を行っている。このため、WAS曝露ラットの頻尿に対する薬物投与の影響解析が当初の予定通り進んでいない。以上から、進捗状況を上記の様に判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)脳内nAChRによる排尿抑制に対する、NO以外のガス性伝達物質(一酸化炭素)の役割を解明する。 (2)脳内HAによる排尿促進機序を、脳内H2受容体および興奮性神経伝達物質のグルタミン酸に対する受容体との関連で明らかにする。 (3)脳内PGE2による排尿抑制機序を、脳内PGE2受容体(EP1-EP4サブタイプ)との関連で明らかにする。 (4)浸透圧ポンプを利用した慢性薬物投与の系をWAS曝露ラットへの慢性脳室内投与へ応用できないか、実験条件の検討を行う。 (5)(4)の条件が確立した後、WAS曝露ラットの頻尿に対するnAChR刺激薬慢性脳室内投与の影響を検討する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)