Project/Area Number |
23K07109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秋野 祐一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (00722323)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 放射線治療 / 深層学習 / リアルタイム評価 / 呼吸性移動 / 臓器変形 / in vivo dosimetry / 体内線量予測 / リアルタイム |
Outline of Research at the Start |
本研究では、深層学習による高速な三次元線量分布予測を用いて、治療直前・治療中のリアルタイム線量評価が可能なシステムを開発する。治療前の画像撮影技術により、臓器の位置ずれを補正して治療することは可能になったが、臓器の変形・呼吸状態がシミュレーション時と異なる場合、その影響を即座に判断することは困難である。そこで線量計算技術を開発し、さらに治療直前のCT画像や呼吸振幅情報を取得することにより、腫瘍だけでなく正常組織の線量について、臓器の変形や呼吸性移動による線量分布の乱れを考慮した評価を可能にすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、治療直前に患者の画像上昇を取得し、そこからリアルタイムで患者への投与線量を評価するシステムを構築することを目的としている。 初年度はその基礎部分として、臓器や腫瘍の輪郭をセグメント化し、ビームごとに線量を評価する部分の開発を行った。この技術は、各セグメントによって照射される線量分布を高速計算するのに必要である。 更にこの技術を応用し、多発転移性脳腫瘍の定位放射線治療における患者位置精度の影響を評価する手法を開発した。脳の定位放射線治療は治療回数が1~5回と少ないことが多く、僅かな位置のズレが重大な線量誤差につながる。特にSingle-Isocenter Volumetric-modulated radiotherapy (VMAT)を用いて治療する場合、腫瘍がアイソセンターからずれた場所にあるため、回転誤差が大きく影響することが過去の研究から明らかになっている。しかし、患者が乗る寝台を移動させて回転後に治療を行う際、その都度画像を撮影して位置ズレの補正を行うことができない。そこで本研究では、患者の位置ズレを模擬したガウシアン乱数を発生させ、患者の位置がずれた場合の投与線量の不確かさを統計的手法により解析した。この計算は腫瘍の位置ズレのシミュレーションを1000回以上高速で行う必要がある。本課題で開発した技術を応用し、各ボクセルの線量をビームごとに高速計算することにより、統計的なシミュレーションが可能となった。この成果は2024年7月の米国医学物理学会で発表予定である。 さらに、ボクセル線量の高速計算を密封小線源治療に応用し、子宮頸がん腔内照射のプランチェックシステムを開発した。過去に治療を行った数百例のデータから総停留時間と100%処方線量体積の相関を解析し、各症例のプラン妥当性を高速計算し評価するシステムを開発した。この成果は2024年5月の日本放射線腫瘍学会小線源治療部会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、画像から解剖を取得する技術や、線量分布計算を深層学習を用いて行う技術、腫瘍やリスク臓器をボクセル化し、高速計算する技術など、様々な技術を組み合わせる必要がある。本年度は腫瘍などの輪郭をボクセル化し、ビームごとの線量分布を高速計算する部分について開発を行った。 輪郭情報をボクセル化し、その座標における線量を計算する際、輪郭のボクセル座標から絶対座標に変換する行列および、線量のボクセルから絶対座標に変換する行列の逆行列を用いる。そこに患者のセットアップエラーを表す平行移動行列および回転行列を生成し、さらに患者寝台の回転誤差を表す回転行列を生成する。これらの行列を間に挟むことにより、位置の不確定性を考慮した線量を各ボクセルにアサインすることが可能となる。さらに各スライスごとの線量計算を異なるスレッドで並列計算させることにより、数百回の線量計算を高速で行うことが可能となった。 この研究で開発された技術は、多くのCPUを用いた並列計算で高速に線量計算できるだけでなく、実際の治療で患者の位置変位や臓器変形が起きていた際に、その影響を加味したうえで高速に線量計算を行う場合にも有用であり、目標とするリアルタイム性においても重要な部分である。他にも多くの派生研究に応用できる可能性があり、汎用性の高いアルゴリズムとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、線量分布の線量計算を組み込むためのシステム開発、および画像誘導により治療直前に取得された患者位置情報から患者の位置変位、臓器変形といった情報を取得し、計算に組み込むためのシステム開発を行う。これまでに開発した深層学習による線量分布計算をさらに改良し、高速な計算ができるシステムの開発を進める。 また、リアルタイム性の基礎検討として、VMATやサイバーナイフなど治療ビームに時間変化がある手法のX線を半導体などの多列検出器を用いて動的な解析を行うことにより、ビームの時間変化と患者臓器の時間変化についても高速に評価が行えるシステムの開発を目指す。 さらに、開発した技術は多くの派生研究に応用可能である。定位放射線治療における位置誤差の影響を予測するシステムは、治療計画装置のスクリプトとして組み込むことにより、さらに多くの情報を用いて複雑な解析が可能になると考えられる。
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