Project/Area Number |
23K07261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
及川 弘崇 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (00732041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平本 恵一 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (90251793)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 低フォスファターゼ症 / Hypophosphatasia / HPP / 組織非特異的アルカリホスファスターゼ / TNSALP / 表現型可塑性 / 低アルカリフォスファターゼ症 / 同腹児 / 重症度 / ヒストンメチル化 |
Outline of Research at the Start |
組織非特異的アルカリホスファスターゼの欠乏により誘発される低フォスファターゼ症(HPP)は、骨形成に異常をきたす遺伝性希少疾病であり、その表現型は多様である。その様な中、B6/129S7-Akp2tm1Sor/Jと129/SvJの掛け合わせで生まれたHPPモデルマウスにおいて同腹児で同一遺伝子変異型なのに表現型に差があることが明らかとなった。そこで本研究では①重症度の違うHPPモデルマウスの差異(表現型可塑性)を形態学的に明らかにする。そして、②重症度の違うHPPモデルマウスの骨髄を含めた骨組織を用いて、ヒストンのメチル化を網羅的に解析しHPPの表現型可塑性の原因標的分子を同定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
組織非特異的アルカリホスファスターゼ(TNSALP)の欠乏により誘発される低フォスファターゼ症(HPP)は、骨形成に異常をきたす常染色体劣性遺伝の希少疾病であり、同腹児で同一遺伝子変異型なのに表現型に差があることが知られている。しかしながら、その表現型になぜ差異が現れるのかは明らかとなっていない。本研究では、同腹児のHPPモデルマウス(Akp2-/-)を用いて同一遺伝子変異型における表現型の差異の解明を目的としている。 初年度では野生型(Akp2+/+)とヘテロ接合体型(Akp2+/-)を対象群とし、HPP中等症型{Akp2-/-(m)}とHPP重症型{Akp2-/-(s)}をHPP患児モデル群として同一遺伝子変異型における表現型の差異(表現型可塑性)の形態学的評価を行なった。 Akp2-/-(s)は3週齢まで生存できないため、2週齢までの各群の成長曲線を作成した。その結果、出生時体重ではどの群で有意な差はなかったが、2週齢になるとAkp2+/+群では9.16±0.411 g、Akp2+/-群では8.52±0.260 gそしてAkp2-/-(m)群では7.42±1.043 gであったのに対し、Akp2-/-(s)群では3.27±0.307 gと有意な差が観察された。 次に2週齢マウスのx-ray解析とCT解析を行うとAkp2-/-(s)において顕著な骨形成不全と骨密度の不全が観察された。特に後肢の結果おいて、対象群では内軟骨性骨化が進んでいく様が観察できたのに対し、Akp2-/-(s)では骨形成不全のため軟骨組織が割合的に優位となるため手指が欠落している画像となった。これはAkp2-/-(s)の後肢の指が湾曲するという形態変化と合致する。また、顎骨、上腕骨、橈骨、大腿骨、脛骨、腓骨のAlizarin redとAlcian blueの解析でも骨形成不全の再現が取れた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は同腹のAkp2-/-(m)とAkp2-/-(s)の形態学的な差異について比較検討を行い、HPPに起こりうる表現型可塑性を評価することを目的としていた。そこでは、(1) 2週齢までの成長曲線を作成する。(2) 形態変化が現れやすい後肢を毎週観察し記録する。(3) 2週齢のマウスを麻酔環境下で屠殺解体し、全身と四肢のx-ray解析とCT解析を行う。(4) 形態変化が顕著な骨についてAlizarin redとAlcian blueの 染色を行い、骨化の進行変化を解析する。という4つの目標を設定し、各々遂行した。結果、(1)で作成した成長曲線より、出生時点でAkp2-/-(m)(1.51±0.050 g), Akp2-/-(s)(1.36±0.023 g)とすでに差が観察はされていたものの、その差は有意ではなかったが、2週後にはAkp2-/-(m)(7.42±1.043 g), Akp2-/-(s)(3.27±0.307 g)といった様にAkp2-/-間においても2倍もの体重さを観察することができた。(3)の結果より、Akp2-/-(s)のx-ray画像とCT画像において手指像の脱落が観察することができた。これは(2)の結果におけるAkp2-/-(s)後肢の手指の湾曲形態と一致していた。(2)(3)の結果より、後肢の手指の形態は湾曲以外顕著な変化は見られなかったものの、手指軟骨細胞からの内軟骨性骨化の進行が起こらなかったことによって、硬組織の未熟となり惹起されたことが推察される。Akp2-/-(m)とAkp2-/-(s)の骨成熟の差異は顎骨、上腕骨、橈骨、大腿骨、脛骨、腓骨のAlizarin red染色とAlcian blue染色によっても確認が取れた。よっておおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度では前年から引き続き、形態学的な差異を証明する。骨形成不全が観察されるため、軟骨細胞と骨細胞の形態を観察するために膝関節部のToluidine blue 染色とH&E染色を試みる。また、四肢の骨密度を計測することにより、骨形成不全の形態学的な顕著な差異を有意な差であるのかどうかの検討を行う。 次に、同一遺伝子変異型における表現型の差異(表現型可塑性)の原因標的分子の同定に着手する。TNSALP遺伝子の同一変異にもかかわらず表現型可塑性が起こることから、TNSALP遺伝子において転写因子やヒストンなどのタンパク質が結合する特定領域の変化があることが推察される。したがって、Akp2-/-(m)とAkp2-/-(s)の両TNSALP遺伝子のヒストン修飾を解析する目的で2週齢の骨髄を含めた骨組織を用いたTNSALPのChiP-qPCRを行う。これが明らかとなれば、HPP重症度別のTNSALP発現制御メカニズムの違いの解明の糸口となる可能性がある。 一方で、同一遺伝子変異型における表現型可塑性がTNSALPによらない可能性もあるため、同組織を用いて網羅的なヒストン修飾解析のためのChiP-Seq解析を行う。タンパク質-DNA相互作用のマッピングを解析することにより、転写因子、ヒストン修飾、その他のDNA関連タンパク質の結合部位をHPPモデルマウスのゲノム全体にわたる同定を試みる。
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