Project/Area Number |
23K07262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
加藤 君子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害モデル研究部, 研究員 (30598602)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | X連鎖性疾患 / X染色体不活性化 |
Outline of Research at the Start |
X染色体不活性化(X chromosome inactivation: XCI)の制御異常は発生初期から老年 期まであらゆるライフステージで、生命や健康に大きく影響を与えることが明らかになって きた。しかし、倫理的な制約もあり、ヒトの初期胚においてXCIが生じる機構や、その異常が及ぼす影響については、不明な点が数多く残されている。そこで本研究では、ヒトにおけるXCIの制御機構を解明し、その制御異常が個体に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。本研究の成果は、XCI制御機構の理解を深めるのみならず、疾患の原因解明や、新たな治療法の創出にも貢献すると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
X染色体不活性化(X chromosome inactivation, XCI)は、女性のもつ2本のX染色体のうち1本を染色体全体で不活性化する遺伝子量補償機構である。ヒトでは、XCIは着床周辺期に確立し、その後の細胞増殖を経ても安定に維持される。通常、XCIはランダムに起こるため、女性は母親由来のX染色体が機能する細胞と、父親由来のX染色体が機能する細胞が同等の割合で存在するモザイクとなる。XCIの適切な制御は、発生初期から老年期まで生命の恒常性維持に重要であり、その乱れは様々な疾患に関わる。例えば、XCIの乱れは、X連鎖性疾患の発症や重症度に大きな影響を及ぼすことが知られている。さらに、近年の疾患コホート研究から、XCIの乱れが、不妊症や流産、精神神経疾患、がん、さらに加齢性疾患に関わる可能性も指摘されてきている。このため、XCI制御機構の理解は医学的に重要である。ところが、倫理的な制約や技術的な問題もあり、ヒトではXCIがいつ・どのように生じ、一生涯にわたって安定に維持されるのか、また、その制御の乱れが個体にどのような影響を及ぼすのかなど、不明な点が数多く残されている。そこで本研究では、ヒトの初期胚モデルを構築し、ヒトにおけるXCIの制御機構を解明することを目的とした。本研究の成果は、ヒトの生命現象に関わるXCI制御機構の理解を深めるのみならず、疾患の原因解明や、新たな診断法や治療法の創出にも貢献すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒトの初期胚で生じるXCIの分子機構の解析は倫理的にも技術的にも制約が多く、ヒトにおけるXCIの制御機構については未解明の部分が多く残されている。このため、ヒトiPS細胞やES細胞などを用い、ヒトの初期胚を模倣する細胞の作製方法の開発が精力的に進められており、多くの培養方法が報告されている。申請者も、これらの知見を利用し、ヒト初期胚モデル細胞の構築に取り組んできた。しかし、ヒト初期胚モデル細胞は非常に繊細な細胞であり、わずかな培養環境の変化により、その性質が大きく変化してしまい、試行ごとに異なる結果が示された。このため、2023年度に予定していた解析を行うことができなかった。また、一部の患者由来iPS細胞に関しては、患者の持つ変異が原因であるのか、iPS細胞の樹立ができなかった。以上により、本研究課題の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、ヒト初期胚モデル細胞の培養系を安定させることができなかった。本年度は使用する培地の変更などを含めて検討を行い、安定したヒト初期胚モデル細胞培養系の構築を目指す。また、iPS細胞の樹立ができなかった患者については、ゲノム編集技術を利用して、疾患モデルiPS細胞を作製する。細胞培養系の構築が完了した後、疾患モデルiPS細胞を用い、当初の計画に従いXCI制御機構の解明を目指した解析を行う。
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