先天性遺伝子疾患に対する胎児期・新生児期細胞移植療法の開発
Project/Area Number |
23K07267
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小田 泰昭 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (70602473)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 低ホスファターゼ症 / 細胞移植 |
Outline of Research at the Start |
低ホスファターゼ症は、組織非特異的アルカリホスファターゼの変異により酵素活性が低下し、重症例では致死性の骨形成不全を示す先天性遺伝子疾患である。治療法は酵素補充療法のみであるが、中和抗体の出現に伴う治療効果の低減などが懸念されている。重症例では胎児期で既に骨折や骨の変形等が認められることから、早期治療を行うことで、治療効果の改善が期待される。 本研究では、低ホスファターゼ症モデルマウスを用いて、胎児期または新生児期での細胞移植による治療モデルの確立を目指す。本研究は他の先天性疾患に対する発症前あるいは発症早期の治療にも応用し得ると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
低ホスファターゼ症は、組織非特異的アルカリホスファターゼの変異により酵素活性が低下し、重症例では致死性の骨形成不全を呈する先天性遺伝子疾患である。本疾患の治療法は酵素補充療法のみであるが、酵素製剤に対する中和抗体の出現やこれに伴う治療効果の減衰については喫緊の対応が希求される。また、酵素製剤は血液脳関門を通過しないため、本疾患に起因するてんかん発作や精神発達遅延を軽減できない。重症例では胎児期で既に骨折や骨の変形等が認められることから、早期治療(可能であれば胎児期)を行うことで、骨や特に脳の発達改善が期待される。 そこで本研究では、低ホスファターゼ症モデルマウスを用いて、胎児期の経胎盤移植または新生児期での細胞移植による低ホスファターゼ症治療モデルの確立を目指す。本研究は、他の先天性疾患に対する発症前あるいは発症早期の治療にも応用し得ると期待される。 今年度は、まず経胎盤移植法の確立のための条件検討を行った。色素を胎盤経由で投与することで、胎児の全身に分散することが外見的に確認された。現在、細胞を用いた投与について検討を進めているところである。低ホスファターゼ症の骨の脆弱性を改善するためには、骨形成能を持つ間葉系幹細胞の移植が有効と考えられる。そこで、成獣の低ホスファターゼ症モデルマウスに間葉系幹細胞移植を行った。移植から約8週間後の大腿骨内で、移植細胞の生着と骨を形成する骨芽細胞への分化を示唆するデータが得られた。胎児期および新生児期での細胞移植について、現在検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、主に低ホスファターゼ症モデルマウスを対象として、胎児期あるいは新生児期での細胞移植による治療法開発を目指している。今年度は、胎児期への細胞移植を実施するための予備検討として、受精後11.5日目のマウス胎児に対する色素の投与を行った。マウスの臍帯は極めて細く、注射針による細胞移植が困難であると判断した。そこで、胎児側の胎盤を目標に色素の投与を行ったところ、胎児の全身が色素で染まることが確認された。一方、母体側の胎盤へ同様に色素を投与したところ、胎盤のみが色素で染色されていた。このことから、胎児側胎盤へ適切に細胞投与を行うことで、胎児への細胞移植が可能になると期待された。 間葉系幹細胞を移植する場合、低ホスファターゼ症モデルマウスの骨髄内に生着し、移植した細胞が骨芽細胞を形成することが期待される。そこで、成獣の低ホスファターゼ症モデルマウスに間葉系幹細胞を移植し、移植から約8週後に大腿骨を摘出し、凍結切片を作製して解析を行った。ALP染色および移植細胞特異的な抗体を用いることで、移植細胞が低ホスファターゼ症モデルマウスの骨髄内に生着し、骨芽細胞へと分化していることが示唆された。現在、新生児マウスで同様の検証を試みている。 低ホスファターゼ症の標準治療としては、酵素製剤が用いられている。酵素製剤の製造メーカーの方針変更により、実験目的での購入・使用ができなくなった。本研究でも酵素製剤を使用予定であったため、酵素製剤を用いずに低ホスファターゼ症モデルマウスを維持する方法や、新たなモデルマウスの作製についても検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で用いる既存の低ホスファターゼ症モデルマウスを維持するには、酵素製剤を用いる、あるいは先行文献にならって遺伝子治療を行うことが必要になる。細胞移植による治療効果を検証するためには、酵素製剤に依存しない低ホスファターゼ症モデルマウスの維持が必須となる。そのため、新たな遺伝子改変マウス(コンディショナルノックアウトマウス:薬剤の投薬等により目的遺伝子を破壊する)について検討を行っているところである。 当初計画通り、既存のマウスを用いた実験を検討しつつ、新たな遺伝子改変マウスの作製を進め、先天性疾患に対する発症前あるいは発症早期の治療を目指したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)