Project/Area Number |
23K07277
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
研 澄仁 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (40709391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 大樹 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (90624958)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 遺伝子検査 / スプライシング / CoLAS / 患者由来iPS細胞 |
Outline of Research at the Start |
近年の遺伝子検査は、がんパネル検査などを始めとして、次世代シーケンサー(NGS)を用いて多数の遺伝子、多数の検体を一度に網羅的に解析する方法が主流となっている。一方で、検査にかかる時間や費用が増しているにも関わらず、検出可能な変異の種類にも制限があるなど、現在の遺伝子検査には問題点も多い。 本研究では、上述の問題点を解決するために我々が開発した新規ゲノム解析法(Combined Long-amplicon sequence, CoLAS法)の有用性を評価し、患者負担が少なく、これまで解析できなかった変異にも対応可能な、新しい臨床遺伝子検査法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
当研究室では、標的遺伝子のgDNAとmRNAを同時解析する新しい遺伝子検査法「CoLAS (Combined Long-Amplicon-Sequence」を開発した。本法は患者毎に必要な遺伝子に絞った解析をすることで従来の遺伝子検査費用に比べて非常に安価であり、またmRNAも同時に解析することで従来の検査では検出不可能なスプライシング異常や遺伝子内の大きな構造異常も検出可能である。 一方で、従来のRNA解析においては、検体中の対象遺伝子mRNA発現量や検体の品質(RNAの分解度)により解析可能な対象遺伝子の数には大きな制限があることが知られている。そのため、2023年度はまずCoLASで検査が可能な「対象遺伝子の範囲」や、検査に用いることのできる「検体の品質・種類」を詳細に検証し、臨床遺伝子検査としてのCoLASの有用性・汎用性を評価した。 (1) CoLASの対象遺伝子の範囲:これまでに解析した約80遺伝子について、それぞれの検体中のmRNA発現量と検査の可否をまとめた結果、ごくわずかにでも検体中で発現していれば検査は可能であり、遺伝性疾患関連遺伝子の約80%は検査可能だと推定できた。 (2) CoLASに必要な検体品質:検査に用いたRNAを熱処理により段階的に分解させ、RNA分解度(RIN値)と検査の可否を検証した。その結果、CoLASではRIN値3.0以下と一般的にはRNA解析は不可能な品質であっても、スプライシング解析が可能であった。これはわずかにでも無傷の全長mRNAが残っていれば、それを増幅することで解析可能であるためだと考えられる。 以上のことからCoLASは従来のRNA解析に比べて対象遺伝子の数もはるかに多く、検査可能な検体の種類も多いことが推察され、その有用性と汎用性が示されたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CoLASの有用性・汎用性評価についてはほぼすべて検証が終わり、現在その成果を論文にまとめている最中である。また、同時にCoLASを用いた検査でしか検出できないような、新しい遺伝子変異(スプライシング異常や構造異常)についても随時症例報告として論文にまとめている。 また、発見したスプライシング異常の病的意義評価のための患者由来iPS細胞の樹立作業も同時に進めており、すでに数症例のスプライシング異常を伴う患者由来iPS細胞の樹立に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
CoLASで検出されたスプライシング異常の病的意義(遺伝子機能への影響や病態との関連)が分かれば、CoLASの解析結果から患者の重症度を予測できる可能性も考えられる。 今後は、ACVRL1遺伝子にスプライシング異常の見つかったオスラー病家系に着目し、その患者由来iPS細胞を用いた解析を進めたいと考えている。特にこの家系では、同じ変異を有しながら症状がまったく異なる患者も存在し、スプライシング異常と重症度の関連を調べる上でも非常に興味深い症例である。ACVRL1は主に血管内皮細胞で発現しており、その異常は血管奇形を伴うオスラー病として知られている。そのためまずは同一家系内の患者ならびに健常人のiPS細胞由来血管内皮細胞を用い、異常スプライシングの発現パターンの比較やそのときの実際のACVRL1の機能解析を行いたいと考えている。
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