Project/Area Number |
23K07326
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤井 克則 千葉大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70344992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩浜 直 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (10737034)
長尾 和右 北里大学, 医学部, 講師 (60392487)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | Gorlin症候群 / ヘッジホッグ / 骨代謝 / 骨密度 / 基底細胞母斑症候群 |
Outline of Research at the Start |
Gorlin症候群は、母斑性基底細胞癌症候群とも呼ばれ、身体奇形(肋骨奇形、側弯症、大脳鎌石灰化)と癌形成を特徴とする神経皮膚症候群である。病因はヘッジホッグタンパク受容体のPTCH1変異で、ヘッジホッグシグナルの経路亢進で発症する。Gorlin症候群は、肋骨奇形や顎骨嚢胞の骨異常を特徴とするが、遺伝子型と表現型が一致せず、その機序は不明である。我々は2017年に初めてGorlin症候群のiPS細胞を作製し、microRNAを用いて新たな骨形成の促進経路を同定した。今回Gorlin症候群の線維芽細胞とゲノム編集したiPS細胞を用いて骨異常の分子病態を解明することで、新たな治療戦略を提唱する。
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Outline of Annual Research Achievements |
Gorlin症候群は、母斑性基底細胞癌症候群(nevoid basal cell carcinoma syndrome:NBCCS)とも呼ばれ、身体奇形(肋骨奇形、側弯症、大脳鎌石灰化)と癌形成を特徴とする神経皮膚症候群である。病因はヘッジホッグタンパク受容体のPTCH1変異で、ヘッジホッグシグナルの経路亢進で発症する。Gorlin症候群は、肋骨奇形や顎骨嚢胞の骨異常を特徴とするが、遺伝子型と表現型が一致せず、その機序は不明である。我々は2017年に世界で初めてGorlin症候群のiPS細胞を作製し、2018年にmicroRNAを用いて新たな骨形成の促進経路を同定した。今回Gorlin症候群の線維芽細胞とゲノム編集したiPS細胞を用いて骨異常の分子病態を解明することで、新たな治療戦略を提唱することを目標としている。 本年度はヒト臨床データを用いた経年的骨量解析を重点的に行っている。Gorlin症候群患者の骨量測定を経年的に行い、モデルマウスで観察された骨量増加がどの時期に至るのか経時的に評価する。方法は腰椎骨と大腿骨頸部をDXA法で測定し、遺伝子変異や性差を含めた多変量解析で異常時期の同定を試みている。またGorlin症候群患者で血液検査を行った際に、骨代謝マーカーの解析も行っている。すなわち骨分化後の骨吸収マーカーとしてデオキシピリジノリン(DPD)とⅠ型コラーゲン架橋テロペプチド(NTX)、骨形成マーカーの骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)とオステオカルシン(OC)を測定し、分化過程を可視化している。現時点で10人のGorlin症候群患者の解析を行い、年齢相応コントロールと比較して正常以下の骨密度を呈することが判明しており統計学的解析を施行中である。これらはモデルマウスとは相反する結果であり今後これらの原因を調査することにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はヒト臨床データを用いた経年的骨量解析を重点的に行っている。Gorlin症候群患者の骨量測定を経年的に行い、モデルマウスで観察された骨量増加がどの時期に至るのか経時的に評価する。方法は腰椎骨と大腿骨頸部をDXA法で測定し、遺伝子変異や性差を含めた多変量解析で異常時期を同定を試みている。またGorlin症候群患者で血液検査を行った際に、骨代謝マーカーの解析も行っている。すなわち骨分化後の骨吸収マーカーとしてデオキシピリジノリン(DPD)とⅠ型コラーゲン架橋テロペプチド(NTX)、骨形成マーカーの骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)とオステオカルシン(OC)を測定し、分化過程を可視化している。現時点で10人のGorlin症候群患者の解析を行い、年齢相応コントロールと比較して正常以下の骨密度を呈することが判明している。このデータはGorlin症候群モデルマウスとは相反する結果であり今後これらの原因を調査することにしている。また骨代謝マーカーのデータも集積しており現在解析中である。患者によってばらつきがみられるためこれらの要因の解析も今後必要になる。細胞レベルの骨代謝解析も現在実験条件を整えている段階であり次年度には基礎的データを集積してゆく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Gorlin症候群で見られる肋骨奇形、骨量異常、大脳鎌石灰化は他の疾患で見られない特異なものであり、研究者らの臨床データ、さらにGorlin症候群モデルマウスを用いて骨病変を解明する点が学術的独自性と創造性があり今後も推進してゆく。現時点で骨密度データおよび骨代謝マーカーの集積と解析が進んでおり、一定の傾向が明らかになってきている。すなわちGorlin症候群モデルマウスで見られた骨塩量傾向は必ずしもヒトデータと一致しない可能性があり、今後も症例数を増加してこの仮説が正しいかどうかを検証する。現時点で10名のGorlin症候群患者データを得られているが、あと2年間でそれを倍増してより確実な科学的結論を導きだしたいと考えている。この臨床的傾向を検証する一方で、今後は下記3点についてさらに解析を進めて病態解明から治療につなげてゆきたい。 ①肋骨異常:平面細胞極性(PCP)とヘッジホッグ経路との分子病態の解明 ②骨量異常:ヒト臨床データを用いた経年的骨量定量と患者由来iPS細胞による骨量解析 ③大脳鎌石灰化:モデルマウスを用いた髄膜へのカルシウム沈着の分子病態の解明 これらはいずれもGorlin症候群の骨代謝異常のメカニズムを解明するうえで不可欠の内容になる。細胞レベルで確認できたこととモデルマウスの結果との比較、およびGorlin症候群患者での臨床データとの整合性および相違点の発生理由について今後も解析を継続してゆきたい。
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