Project/Area Number |
23K07366
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Nagasaki Medical Center |
Principal Investigator |
中村 稔 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 臨床研究センター, 客員研究員 (40217906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植野 和子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, ゲノム医科学プロジェクト戸山プロジェクト 研究員 (00794512)
人見 祐基 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 疾患ゲノム研究室長 (10525819)
西田 奈央 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50456109)
相葉 佳洋 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 臨床研究センター, 研究員 (70450955)
長崎 正朗 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90396862)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 原発性胆汁性胆管炎 / ゲノムワイド関連解析 / トランスクリプトーム / 統合解析 / PTPN2 / IFNG / ネガティブフィードバック機構 / 疾患関連遺伝子 / 臨床ゲノム解析 / 疾患感受性遺伝子 / 治療標的 |
Outline of Research at the Start |
本研究代表者は、2010年度から日本人原発性胆汁性胆管炎(PBC)のゲノムワイド関連解析(GWAS) の全国共同研究を開始、2017年度からはケンブリッジ大学と共同で国際メタ解析を実施し、PBCの疾患感受性遺伝子、疾患発症経路や治療標的に関する多くの情報を発信してきた。本研究では、PBC症例の肝生検組織・末梢血のトランスクリプトーム(RNAseq)と臨床データとの相関解析から、PBCの病態形成に重要な遺伝子発現を同定し、新たな病態を解明するとともに、UDCAやベザフィブラート治療に抵抗して肝不全に進行する症例の治療標的の同定を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本人PBC患者2,181例と健常人コントロール2,699例のDNA検体(計4,880検体)を対象として、全ゲノム中に存在する約580万か所の一塩基バリアントの遺伝子型を決定した。これらの一塩基バリアントについて、それぞれのアレルを保有する割合をPBC患者とコントロール群の間で比較することにより、18番染色体に位置するPTPN2遺伝子の近傍がPBCの発症との統計学的に有意な関連を示すことを発見した。次に、post-GWAS解析により、PTPN2遺伝子のプロモーター領域に位置する一塩基バリアントであるrs2292758 が、PTPN2遺伝子の発現量を制御することによってPBCの発症に関わっていることも明らかとした。 このrs2292758の発症リスクアレル(rs2292758-T)は、日本人集団においては約3割の頻度で検出されるが、欧米人集団ではほとんど検出されないことから、この一塩基バリアントの頻度の差が、日本人だけでPBCとの関連を示す原因と考えられた。 eQTLdatabaseによると、rs2292758のリスクアレルを持つヒトの免疫担当細胞(樹状細胞)では、PTPN2発現量が低下しており、T細胞株JurkatのゲノムDNAにおけるrs2292758の塩基配列を人為的に変更したゲノム編集細胞においても、PTPN2発現量の低下が再現された。 さらに、PBC患者の肝臓におけるIFNG遺伝子とPTPN2遺伝子の発現相関解析から、発症リスクアレルを持つ患者のPTPN2によるIFNgシグナルの抑制は、リスクアレルを持たない患者より弱いことが明らかとなった。 これらのことから、PTPN2によるIFNgシグナルのネガティブフィードバック機構の是正がPBCの新たな治療法となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、既に昨年度までに取得していた原発性胆汁性胆管炎患者のGWASデータ、肝生検組織のトランスクリプトームデータを統合解析することにより、日本人に特徴的な新規PBC疾患関連遺伝子PTPN2を同定し、PTPN2-IFNGネガティブフィードバック機構の破綻がPBC 発症に関与していることを明らかとした。この成果はHepatology 雑誌に掲載された。 その後の検体収集もほぼ順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多数の検体収集を行い、日本人PBCのGWASおよびトランスクリプトームデータベースを作成する。 このデータベースを用いてPBC の新たな病態の解明、治療標的の同定、他のヒト疾患やマウスモデルとの比較解析、国際共同研究などを進める。
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