Project/Area Number |
23K07408
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
下里 修 千葉県がんセンター(研究所), がん予防センター 精密腫瘍モデル研究室, 主任上席研究員 (30344063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 善康 千葉県がんセンター(研究所), 内視鏡科, 医長 (10838577)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 消化器がん / HMGB転写因子ファミリー / PIポリアミド |
Outline of Research at the Start |
本研究は、塩基配列選択的にDNAと結合する有機化合物(PIポリアミド)を応用し、胃がんや大腸がんなどの消化器がんの発生・進展に悪影響を及ぼすHMGB転写因子ファミリーに属する複数の転写因子を同時に制御することで、上記の悪性腫瘍に対する抗腫瘍効果が得られるかどうかを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
HMGB転写因子ファミリーは胃や大腸などの消化器の発生・維持に重要な機能を担う転写因子群であるが、同時に、それらの臓器に由来するがんの発生・進展の促進にも悪影響を及ぼす。そのため、当該転写因子群に対する阻害剤が新たな「がん治療薬」となる可能性は極めて高いが、その開発は依然として途上にある。申請者らは、塩基配列選択的にDNAと結合する特性を有する有機化合物(PIポリアミド)を応用した創薬を目指し独自に開発研究を進めている。そこで本研究は、HMGB転写因子ファミリーが共通して認識する塩基配列を標的するPIポリアミドによる当該転写因子群の包括的な阻害効果の有無、ならびに新規抗がん剤としての潜在性の有無を検討する。 本年度は、HMGB転写因子(LEF1とSOX9)が結合する共通塩基配列に対するPIポリアミドにアルキル化剤(クロラムブシル、Chb)を連結した新規化合物を合成した。試験管内での解析から、当該化合物は大腸がん由来細胞内に取り込まれ、実際にLEF1の標的配列を含むDNA断片と選択的に結合し、その結果としてLEF1がその標的遺伝子プロモーター領域へ結合することを阻害した。続いて、がん細胞に対する当該化合物の抑制効果を検討すると、WNT 経路への依存性を有する大腸がん細胞株の増殖を抑えた一方で、WNT非依存的細胞株に対する細胞死誘導能は低かった。このとき、LEF1で発現制御される遺伝子群の発現レベルが低下していたことから、当該化合物がLEF1によって制御されるWNT経路を阻害し抗腫瘍効果を発揮した可能性が示された。今後はSOX9に対する抑制効果を試験管内で解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた実験を概ね予定通りに実施し、一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)昨年度に合成した新規化合物のSOX9に対する阻害効果を検討する。具体的には、SOX9によって発現制御される標的遺伝子を網羅的に探索し、当該転写因子の転写活性化能に対する当該化合物の抑制的影響を、定量的PCRやマイクロアレイなどの手法で評価する。さらに、SOX9をノックダウンすると増殖が抑制される胃がん細胞株を用いて、当該化合物の抗細胞増殖抑制能あるいは細胞死誘導能を、WSTアッセイやDNA断片化を指標にして検討する。 2)当該化合物が治療効果を発揮するかどうかを検討するために、細胞の増殖反応をHMGB転写因子に依存していることが知られる消化器がん由来細胞株(MKN74やCOLO320、SW480など)をヌードマウスの皮下に接種した腫瘍モデルを構築し、経尾静脈的、あるいは経腹腔的に様々な濃度の当該化合物を投与する。治療期間中は腫瘍サイズを測定するとともに、担がんマウスの体重減少や異常行動がないかをモニターする。さらに、治療後に各種臓器を採材し、化合物投与による組織損傷の有無を病理学的に解析する。上記した一連の解析から当該化合物の治療効果と安全性を評価する。
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