Project/Area Number |
23K07433
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
清水 雅仁 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90402198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
華井 竜徳 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (40585494)
白上 洋平 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50632816)
三輪 貴生 岐阜大学, 保健管理センター, 助教 (80939570)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 肝硬変 / 診療ガイドライン / 老化 / サルコペニア |
Outline of Research at the Start |
栄養・代謝異常(低栄養、過栄養、サルコペニア等)は、肝硬変患者の予後やQOLを低下させる。老化に伴う代謝・臓器機能の低下も、肝硬変の病態悪化に関連する。本研究では、 肝・筋・脂肪連環の異常が肝硬変の病態に及ぼす影響を老化関連因子の変化に着目して解析し、全く新しい肝硬変に対する包括的治療法(栄養・薬物療法)、特に近年増加している高齢肝硬変患者の合併症を予防する新規治療法を開発することを目標とする。 肝線維化や門脈圧亢進症が進行した肝硬変患者に対するトータルマネージメントは今後ますます重要である。本研究を積極的に進め、肝硬変診療GLの年次改定および全面改定に貢献することで、肝硬変患者の期待に応える。
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Outline of Annual Research Achievements |
低栄養、過栄養、サルコペニアなどの栄養・代謝異常は、肝硬変患者の合併症を増加させ、生命予後やQOLを低下させる。老化に伴う代謝・臓器機能の低下も、肝硬変の病態を悪化させる。本研究では、肝・筋・脂肪連環の異常と老化が肝硬変の病態に及ぼす影響を明らかにし、全く新しい肝硬変に対する包括的治療法(栄養・薬物療法、肝臓リハビリテーション)を開発することを目標とする。 2022年および2023年、臨床データベース用いた研究として「握力低下は不顕性および顕性肝性脳症の発症リスク因子であること(JPEN J Parenter Enteral Nutr)」、「trabecular bone scoreは肝硬変患者の椎体骨折リスクの予測に有用であること(J Clin Med)」、「カルニチン補充療法は肝硬変患者の予後を改善すること(JPEN J Parenter Enteral Nutr)」、「新規栄養アセスメント指標であるGLIM criteriaは、慢性肝疾患患者のサルコペニアと予後を予測する上で有用であること(Hepatol Res)」、「短縮型Stroop testは不顕性肝性脳症の診断と顕性肝性脳症の発症予測に有用であること(J Gastroenterol)」、「ポリファーマシー(6種類以上の薬剤を内服)とサルコペニアは相互に関連し、肝硬変患者の予後を悪化させること(JGH Open)」、「セレン欠乏症は肝線維化と相関し、顕性肝性発症の発症リスク因子であること(J Clin Med)を論文報告した。これらの研究成果は、高齢者を含む肝硬変患者に対する包括的治療の開発をめざす上で基盤となるものである。特に身体測定(握力測定)、栄養アセスメントツール(GLIM)、問診(ポリファーマシー)などで、肝性脳症の高リスク群や予後不良群をスクリーンできることが示された臨床的意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究に関しては、当院および関連病院で構築されている慢性肝疾患・肝硬変患者データベースの拡充・解析を行うことで、順調に進んでいる。特に「肝硬変診療ガイドライン20202の栄養療法フローチャートおよび栄養アセスメントの妥当性・有用性の検討」、「不顕性肝性脳症も含めた肝性脳症の新規診断方法の開発」、「栄養療法・栄養指導が肝硬変患者の体組成や糖代謝異常、予後やQOLに及ぼす影響」、「分岐鎖アミノ酸製剤がサルコペニアや糖代謝異常に及ぼす影響」、「新規肝硬変治療薬が代謝異常や体組成に及ぼす影響」、「肝硬変患者の運動習慣」について研究を展開している。 現在、これらの研究に加え、慢性肝疾患患者の老化に関するデータ(骨折・転倒リスク、認知機能の低下、動作・反射機能の低下など)集積も行っている。肝・骨格筋・脂肪が形成する臓器連環の異常と老化因子の関連性を網羅的に解析し、高齢慢性肝疾患・肝硬変患者の包括的治療戦略の開発をめざしている。次期「(高齢)肝硬変診療ガイドライン」の改定に資する研究を行っている。 基礎研究に関しては、老化や脂肪性肝疾患が肝予備能や骨格筋へ及ぼす影響を解析するために、老化促進モデルマウス(SAMP8マウス)と非アルコール性脂肪肝炎食を用いた新規肝硬変サルコペニアマウスモデルを樹立し論文報告した(J Gastroenterol Hepatol. 2023)。本モデルの研究結果より、肝臓由来のTNF-αが筋ユビキチンキナーゼMurf-1の発現上昇を介して、脂肪肝炎や老化に伴う筋萎縮を促進する可能性が明らかになった。また骨格筋のメタボローム解析から、脂肪肝炎食群ではスペルミジンが多く、トリプトファンが少ないことも示された。現在、これらの分子異常を標的とした、運動療法および薬剤投与による老化・脂肪肝炎関連サルコペニアおよび肝機能改善に関する介入研究も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究では引き続き臨床データベースを拡充し、本邦の肝硬変診療ガイドラインに記載されたFRQの探索的研究を行う。観察対照群としては若年肝疾患患者のデータと、岐阜大学保健管理センターに登録されている大学院生のデータも用いる。特に肝硬変患者に推奨される適切なエネルギー・蛋白摂取量の見直し(新基準の作成)に繋がるエビデンスを明らかにしていく。また肝硬変の最大の合併症であるサルコペニアと不顕性肝性脳症の、簡便な新規スクリーニング・診断法と治療法の開発に関する研究を行う。分岐鎖アミノ酸製剤を用いた栄養療法のresponder/non-responderを明らかにし、より早期から介入すべき予後不良ハイリスク群を同定する方法を見出す。同剤やリファキシミが不顕性肝性脳症の治療や、顕性肝性脳症の発症予防に有用かどうか検討する(後ろ向き研究で有用性が示されれば、前向き研究を準備する)。 栄養療法と運動療法を併用する肝臓リハビリテーションの有用性と安全性に関する臨床研究および基礎研究を行う。特に後者では、老化促進モデルマウスを用いた新規肝硬変サルコペニアマウスモデルを用いて、慢性肝炎・肝硬変・サルコペニアの発症・進展における酸化ストレス、炎症性サイトカイン、マイオカインの役割、さらには骨格筋におけるユビキチンリガーゼとポリアミンの代謝異常の意義を明らかにする。ポリアミンの投与や利用障害の改善、骨格筋ユビキチンリガーゼの制御、肝臓および血清TNF-αの抑制が、サルコペニアの新規治療法に繋がるか検討していく。またヒト新規老化肝細胞モデルを樹立し、抗老化治療の評価スクリーニング系として応用する。基礎研究で得られた知見に関しては、臨床サンプルにおいてその妥当性を検証していく。すべての研究成果を学会・研究会・論文発表を通じて積極的に発表し、国内外の肝硬変診療ガイドラインの改定に貢献する。
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