Project/Area Number |
23K07442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
林 佐奈衣 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (10597587)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | B型肝炎ウイルス / 核酸アナログ / 多剤耐性 / 変異 / genotype / HBs抗原 / 肝臓学 / 新規治療薬 |
Outline of Research at the Start |
B型肝炎ウイルス (HBV) に対する核酸アナログ (NAs) は、HBV-DNA複製を抑制するが、多剤耐性株の出現による治療不応が問題視されている。加えて現在の治療ではHBs抗原の陰性化が困難であり、新規治療薬の開発が急務である。本研究では、多剤NAs不応例より新規NAs耐性株を同定し、その他の抗HBV薬に対する感受性を評価する。さらに、新規HBx-DDB1結合阻害剤によるHBs抗原の抑制機序を解明する。本研究より、多剤NAs耐性メカニズムが明らかとなり、最適な治療選択が可能となる。また、新規メカニズムを活用したHBV治療薬の方向性を決定するための情報が得られることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎ウイルス (HBV) に対する核酸アナログ (NAs) は、HBV-DNA複製を抑制するが、多剤耐性株の出現による治療不応が問題視されている。加えて現在の治療ではHBs抗原の陰性化が困難であり新規治療薬の開発が急務である。そこで本研究では、1)多剤NAs不応例より新規NAs耐性株を同定し、その他の抗HBV薬に対する感受性を評価し、2)新規HBx-DDB1結合阻害剤によるHBs抗原の抑制機序の解明を目指す。 1) 全国多施設病院で多剤NAs不応を呈したB型慢性肝炎患者 (CHB) 37例を対象とし患者血清よりHBV解析を実施した。LAM+ETV不応症例 (ETVr) 22例、LAM or ETV+ADV不応症例 (ADVr) 3例、ETV+TDF or TAF (±ADV) 不応症例 (TAFr) 12例に対してHBV遺伝子解析を行った結果、既知変異保有例は、ETVr群 16/22例、ADVr群3/3例、TAFr群7/12例であった。興味深いことに、既知変異保有26例中23例で新規RT変異を検出した。分子系統解析の結果、HBV遺伝子型はgenotype C2/Ce型であった。 2) DDB1-HBxを標的とした阻害剤を、21万種化合物ライブラリを用いたin silico screeningにより選抜し、HepG2.2.15.7細胞を用いて上位1,158候補化合物の抗HBV評価を行った結果、HBs抗原の産生を強力に抑制する7種の新規HBx-DDB1結合阻害候補剤を同定した。次にHBV感染初期および慢性期のPXB細胞を用いて抗HBV効果を評価した結果、上清HBsAg、HBV-DNA、HBcrAg抑制かつ低毒性な1化合物を同定した。今後は得られた化合物の合成展開ならびに類縁体の抗HBV評価を予定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)研究代表者が全国多施設病院で問題となっている多剤NAs不応のB型慢性肝炎患者に対してダイレクトシーケンス法によりHBV遺伝子解析を行った結果、既知変異保有26例中23例で新規RT変異を検出した。今後も多剤As不応例のHBV遺伝子解析を継続し、新規の多剤耐性HBV変異株の同定を継続する。 2)また、HBs抗原の産生を強力に抑制する7種の新規HBx-DDB1結合阻害候補剤より、HBV感染評価系を用いて上清HBsAg、HBV-DNA、HBcrAgを抑制しかつ低毒性な1化合物を同定した。 本研究によって得られた1)多剤耐性症例のデータセットは、RT変異の付与が多剤NAs不応に寄与する可能性を示唆するものである。また、研究代表者らは2)HBV感染培養系を用いて、複数のHBV genotypeのHBs抗原の産生を有意に抑制する新規HBx-DDB1結合阻害剤を同定している。以上、研究計画はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は多剤NAs不応例で共通する新規RT変異を同定したが、この変異がどのようなメカニズムで多剤耐性を与えるか明らかではない。また、HBs抗原を抑制する新規HBx-DDB1結合阻害剤候補を同定したが、その詳細な作用機序は不明である。引き続き、1)多剤NAs治療に対して抵抗性を示す症例より、新規のNAs耐性株を同定することを目的とし、多剤NAs不応のB型慢性肝炎患者に対してダイレクトシーケンス法によりHBV遺伝子解析を継続する。今後はETVおよびTDF/TAFに対する多剤耐性変異株の出現が最も懸念されるため、新規HBV株が実際に臨床推奨治療薬のTDF/TAF、ETVに抵抗性を示すか検証することで、多剤不応例のウイルス学的メカニズムが明らかになり、現存治療薬の最適な選択が可能となる。2)新規HBx-DDB1結合阻害剤の合成展開ならびに類縁体の抗HBV評価を行い、作用機序の解明を目指すことにより、上述の1)NAs耐性例にも有効な治療法の開発の糸口となることが期待される。
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