Project/Area Number |
23K07458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
前川 伸哉 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任教授 (70397298)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | HCV / DAA / 原発性肝癌 / 老化関連分子 / ケモカイン / DAA-SVR / 病態進展 / Senescence |
Outline of Research at the Start |
●本研究ではウイルス性肝疾患を“炎症”を基軸として捉え、特に炎症を起こす媒体としてのC型肝炎ウイルスゲノム、細胞老化現象の2者に着目、両者によって生じる炎症の生物学的な異同と両者が合併して起きる病態変化をin vitroおよびin vivoな検討にて、炎症の本態を明らかとし、肝線維化・肝発癌、さらには肝外病変でのへの影響を明らかとし、これらの予測を可能としてゆく。
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Outline of Annual Research Achievements |
●本研究は臨床的観察における疑問、すなわち「C型肝炎ウイルス(HCV)による肝障害が年齢依存的であり、若年者に比して高齢者では初感染であっても肝障害が進行しやすく、さらにたとえ抗ウイルス剤によるHCV排除(SVR)が達成されても、その後肝線維化・肝発癌への進展を来しやすい」事象に対して、“HCV”と“細胞老化”の2者に伴って出現する炎症にフォーカスして検討することにより、そのメカニズムを明らかとするとともに、臨床応用につなげることを目的とする。 ●ケモカインCXCL10はHCV感染における炎症誘導分子、さらにSASP因子としても報告されているが、申請者らはC型肝炎の経口ウイルス薬(DAA)治療におけるCXCL10の血中動態に着目し解析したところ、CXCL10値は肝病態と年齢の両者に強く相関し、高値持続する場合、肝不全・肝発癌につながることを見出した。これはC型肝炎における病態進展に細胞老化が深く関与することを示唆するものと考えられたが、HCVと細胞老化を結びつけるメカニズムは不明であった。 ●2023年度における本研究では、これまではパイロット的に少数症例における検討で、C型肝炎の経口ウイルス薬(DAA)治療における血中CXCL10値の動態は肝病態と年齢の両者に相関し、高値持続する場合、肝不全・肝発癌に関連する可能性を見出していたが、本年度は多数症例での検討にて、上記CXCL10値は肝病態と年齢の両者に強く相関し、高値持続する場合、肝不全・肝発癌に加え、生命予後にもにつながることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. C型肝炎患者血液を用いたDAA治療前・治療後・発癌時における網羅的遺伝子・サイトカイン解析 ●上記概要で記述したように、これまでパイロット的に少数症例における検討で、C型肝炎の経口ウイルス薬(DAA)治療における血中CXCL10値の動態は肝病態と年齢の両者に相関し、高値持続する場合、肝不全・肝発癌に関連する可能性を見出していたが、この結果を確認するため多数症例での検討を行った。●その結果、治療前C型肝炎の活動性が強い時にはCXCL10は高く、ウイルス排除後に低下した一方、ウイルス排除後のCXCL10値は年齢・肝病態進展と強く相関し、高齢者及び高度肝病態進展例においてCXCL10値が高いこと、またウイルス排除後のCXCL10高値ほどに炎症が持続し、その後肝発癌しやすく、生命予後と関連することが検証された。●若齢者ではCXCL10値は低く、またばらつきも少ないが、高齢者では高いことに加え、ばらつきが大きくなり、高齢者の中でもCXCL10値が高いものほど肝発癌症例が多かった。●DAA治療後肝発癌に関連する因子の検討を行うと、肝線維化、男性に加え、年齢の代わりに治療後CXCL10高値が独立因子となり、年齢に関連しつつ年齢を上回る生物学的年齢を反映する因子であることが示唆された。 2.肝組織を用いた老化関連分子発現細胞の同定と組織分布、病態との関連解析●ウイルス陽性/排除後の両者を背景にした肝癌に対する老化関連因子の関与を明らかにすることは、炎症性発癌を理解する上で重要である。本年度は、老化マーカーの発現を行う多様な患者からなる肝組織のデータベースを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.肝組織を用いた老化関連分子発現細胞の同定と組織分布、病態との関連解析●2023年度に構築した老化マーカーの発現を行う多様な患者からなる肝組織のデータベースを用い、老化細胞を同定後、老化関連分子の発現の強弱部分の異なる組織部分から採取した検体を用いて、肝生検、あるいは肝癌手術時に得られたHCV感染持続あるいはウイルス排除後の肝組織を用い、老化関連マーカー(p16、p53、Ki67、Laminin B1、CXCL10等)、炎症マーカーと肝細胞・周囲間葉系細胞マーカーを用いて、主として免疫染色にて肝組織内における老化細胞の細胞腫・数・分布と各病態(年齢・肝疾患進展度・癌部と非癌部・ウイルス陽性と排除後)との関連を明らかとし、炎症を中心として、C型肝病態における細胞老化の臨床的意義を明らかとする。
2.C型肝炎患者血液を用いたDAA治療前・治療後・発癌時における網羅的遺伝子・サイトカイン解析●C型肝炎患者におけるサイトカイン/ケモカインを中心とした炎症マーカーについて、各年齢層と疾患進展度、抗ウイルス治療前後での推移について、CXCL10のみでなく、他のケモカインについて網羅的解析を行ってゆく。
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