Project/Area Number |
23K07470
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | Kanagawa Institute of Industrial Sclence and Technology |
Principal Investigator |
中藤 学 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 腸内環境デザイングループ, サブリーダー (20584535)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | EpCAM / TROP2 / 粘膜免疫 / 腸管上皮細胞 / 免疫細胞 |
Outline of Research at the Start |
上皮細胞接着タンパク質であるEpithelial cell adhesion molecule(EpCAM, TROP1)及び相同分子であるTROP2は細胞接着、運動、遊走に関与するが、詳細な分子機構の多くは明らかとなっていない。また、両分子は癌、消化器疾患など様々な疾患とも深く関与しており、分子機構の理解は新たな疾患治療法や診断法の開発に繋がることが期待されている。本研究では遺伝子改変動物の表現型解析から、EpCAM、TROP2が消化管内の恒常性維持および粘膜免疫の構築にどのような役割を果たすか検討し、両分子の新たな分子機構の解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞接着タンパク質であるEpithelial cell adhesion molecule(EpCAM, TROP1)及びその相同分子であるTROP2は細胞接着、運動、遊走に関与するが、消化管における詳細な分子機構の多くは明らかになっていない。また、EpCAM とTROP2は癌発症との関連も報告されており、免疫療法の標的となっている。EpCAMは腸管上皮細胞で恒常的に発現し、その変異は消化器疾患であるCongenital Tufting Enteropathy (CTE) の要因となる。EpCAM欠損マウスもCTEに類似した症状を呈し、生後すぐに腸管の破綻により死に至るため成体におけるEpCAMの役割は未知な部分が多い。本研究では遺伝子改変マウスを活用し、消化管において恒常的に発現するEpCAMや発生過程において一過性で発現するTROP2が果たす役割およびEpCAMが粘膜免疫に与える影響の解明を目的とした。今年度は全身のEpCAMを欠損したマウスに、腸管上皮細胞特異的にTROP2を発現させたマウス(T2R, EpCAM-/-TROP2 Tg)とコントロールマウス(EpCAM+/-TROP2 Tg)や野生型マウス(EpCAM+/+)より小腸、大腸ならびに糞便を採取した。採取したサンプルを用いて定量PCRおよびELISAを行い、消化管における化学的バリアへの影響を評価した。その結果、T2Rマウスは野生型、コントロールマウスと比較して、便中のIgA量が減少していた。また、T2Rマウスでは複数のケモカインの発現量が低下していることや、二次リンパ組織であるパイエル板自体が小さく、数も少ないことを新たに見出した。これらの結果は腸管上皮細胞に発現するEpCAMは粘膜免疫の構築に重要な役割を果たすことを示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は消化管における化学的バリアについて重点的に解析し、EpCAMの発現量とIgA量やケモカインをはじめとする分子の発現様式の関連についての新たな知見を得ることができた。また、新たに腸管上皮細胞におけるEpCAMの発現がパイエル板の発達に影響を及ぼす可能性を明らかにした。これらに加えて、粘膜固有層に存在するEpCAM 陽性細胞の解析や腸管上皮細胞に発現するEpCAMとTROP2の癌発症との関連性についても予備検討を進めた。EpCAM発現量の違いと腸内細菌の関連性の検討については、予定通り進まなかったところもあったものの、全体としては概ね当初の研究計画通りに進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はEpCAMが粘膜免疫に与える影響をより詳細に検討する。本年度に見出されたケモカインが関連する免疫細胞について遺伝子改変マウスを活用し、細胞数やサブセットにどのような影響を与えるのかフローサイトメトリーにて検討する。EpCAM発現量の違いによるパイエル板への影響については、同マウスを用いてパイエル板免疫細胞の組成や数、パイエル板を覆う濾胞関連上皮細胞の遺伝子発現パターンや抗原取り込み細胞であるM細胞の数を比較する。次に、粘膜固有層に存在するEpCAM陽性免疫細胞についての詳細な解析を行う。EpCAM陽性免疫細胞について、発現する分子の一部は明らかになっているものの、細胞種の同定には至っていない。そこで、T細胞、B細胞、樹状細胞および顆粒球の細胞表面マーカーとの共染色もしくはEpCAM陽性免疫細胞をセルソーティングにより分離し、RNA-seq解析することで細胞種の同定を行う。これまでの研究から、腸管上皮細胞におけるEpCAMの発現の低下と連動して免疫関連分子の発現も低下することを見出しているが、その詳細なメカニズムは明らかとなっていない。この免疫関連分子の低下は、EpCAMが直接もしくは間接的に発現を制御している、腸内細菌からの刺激やシグナルが関与する可能性が示唆される。そこで、RNA-seqデータの解析やT2Rマウスに抗菌剤を投与した後に野生型マウスの腸内細菌を経口投与し、腸管上皮細胞における免疫関連分子の発現量の変化を検討し、免疫関連分子の発現制御について明らかにする。EpCAMとTROP2は癌との関連も深く、部位により亢進に向かうこともあれば 、逆に抑制することもある。そこで消化管における両分子の影響を検討するためアゾキシメタン、デキストラン硫酸ナトリウムを併用した大腸がんモデルを検討し、EpCAMやTROP2が大腸がん発症に与える影響を評価する。
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