Project/Area Number |
23K07481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
神津 英至 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60596609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 篤史 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30468079)
佐藤 達也 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (40592473)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 心筋代謝 / 心不全 / 糖尿病 / サルコペニア / アミノ酸 / 酢酸 / AMP deaminase / 代謝 / 分岐鎖アミノ酸 / BCKDH |
Outline of Research at the Start |
不全心筋では分岐鎖アミノ酸(BCAA)の代謝が低下しており、心不全の発症や進展に関与している。申請者らは、BCAA代謝の律速酵素であるBCKDHの活性が、心筋では核酸代謝の律速酵素であるAMP deaminase 3(AMPD3)によって制御されているという、BCAA代謝の新しい制御機構を報告した。本研究では、心不全の病態形成におけるBCAA代謝障害の役割を、AMPD3による制御に着目し、AMPD3ノックアウトマウスを用いて明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはラット心筋細胞において、分枝鎖アミノ酸(BCAA)の代謝律速酵素である分枝鎖α-ケト酸脱水素酵素(BCKDH)がミトコンドリアのみならず筋小胞体に高発現し、AMP deaminase 3(AMPD3)との直接結合にて活性修飾を受けていること、AMPD3-BCKDHの発現不均衡が糖尿病性心筋症の発症に関与していることを最近報告した。本研究においてこれまで、BCKDHの筋小胞体における高発現およびAMPD3との直接結合がマウスの心筋でも再現されることを確認した。さらに、AMPD1が主要なアイソフォームとされる骨格筋において、下肢挙上による筋萎縮の誘導がAMPD3の発現を有意に上昇させること、BCKDHがAMPD1とではなくAMPD3と直接結合していることを同定した。これらの結果から、筋組織のBCAA代謝におけるAMPD3の特異的な役割が示唆された。 AMPD3全身ノックアウトマウスは、非負荷時には明らかな表現型を認めなかったが、横行大動脈縮窄(TAC)による心不全の誘導が増悪する傾向にあった。一方、下肢挙上による筋萎縮の誘導においては、AMPD3欠損により前脛骨筋およびヒラメ筋の筋重量減少が抑制される傾向がみられた。これらの結果から、AMPD3の欠損により誘導される代謝変化の影響は、心筋と骨格筋では異なる可能性が示唆された。 臨床研究では、心不全症例において末梢血アミノ酸プロファイリングを行い、BCAAを含む予後不良なアミノ酸プロファイルが、骨格筋の脂肪変性と関連することを見出した。 また、糖尿病性心筋症におけるAMPD3の関与について、申請者らのこれまでの報告をまとめ、総説を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋・骨格筋において、BCKDHがミトコンドリアマトリックスのみならず筋小胞体にも高発現しており、さらにAMPD3の結合によってその機能が修飾されている可能性という新規知見が、マウスでも再現された。さらに、in vivoにおいてAMPD3欠損がTACによる心不全誘導に対して促進的に働く傾向を同定した。研究開始当初のAMPD3欠損が心不全発症に対して保護的であるという仮説とは逆であったが、AMPD3によるアミノ酸代謝の制御が、心不全発症に対して生理的に重要な役割を担っている可能性が示唆される。 心不全臨床例におけるアミノ酸代謝バイオマーカーの同定についても、末梢血でのアミノ酸プロファイリングの有用性を見出し、次年度に論文掲載予定である。冠静脈洞採血が行えた心不全症例の登録も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はTACによる心不全誘導に対してAMPD3欠損が及ぼす代謝変化を、アミノ酸代謝に着目して解析する。我々は既報にて、SGLT2阻害薬による心不全抑制効果と心筋アミノ酸代謝の変化が強く関連することをメタボロミクスにて同定している。したがって、AMPD3欠損の影響は、アミノ酸代謝が活性化する条件下でより顕著となる可能性がある。TAC誘導心不全におけるSGLT2阻害薬の心筋代謝および心機能に対する効果が、AMPD3欠損によってどのように影響を受けるかを解析する予定である。
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