新たなHDL機能指標による高HDLコレステロール血症におけるリスク評価法の構築
Project/Area Number |
23K07506
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杜 隆嗣 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (50379418)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 隼人 金沢大学, 附属病院, 助教 (90623653)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 高比重リポ蛋白(HDL) / コレステロール取り込み能 / 高HDLコレステロール血症 / 心血管病 / コレステリルエステル転送蛋白 |
Outline of Research at the Start |
高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)は冠動脈疾患の負の危険因子であるが、超高値では死亡リスクがむしろ上昇すると報告されている。HDLはコレステロール引抜きに加え多彩な抗動脈硬化作用を有するが、我々はHDLの新たな機能指標である「コレステロール取り込み能」の完全自動化測定法を開発した。本研究課題では高HDL-C血症の心血管病リスク層別化における本指標の有用性について検証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)は冠動脈疾患の負の危険因子であるが、超高値では死亡リスクがむしろ上昇すると報告されている。HDLはコレステロール引抜きに加え多彩な抗動脈硬化作用を有するが、我々はHDLの新たな機能指標である「コレステロール取り込み能(cholesterol uptake capacity: CUC)」の完全自動化測定法を開発した。今年度はCUCを規定する因子について検討すべく、メタボリックシンドロームの主な合併症である高中性脂肪血症(高TG血症)と糖尿病におけるCUCの関連について検討した。高TG血症患者群ではそうでない群と比較して血清CUC値が有意に低く、さらに糖尿病患者群のCUC値も非糖尿病患者群と比較して有意に低いことを明らかにした。続いてCUC値はTG値、肥満度 (Body mass index: BMI)、HbA1ならびにインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRと有意な逆相関を示すことが分かった。さらにHDL粒子径の代用指標としてHDL-C/ApoA1比を算出したところ、CUC値と有意な正の相関を示したが、一方TG値はHDL-C/ApoA1比と逆相関を示したことから、TG値上昇に伴うHDL粒子径の減少がCUC値の低下に関与していると考えられた。以上より高TG血症下ではHDLは成熟障害をきたし、抗動脈硬化作用が減弱することが示唆された。他方、高TG血症患者において糖尿病の合併はさらなるCUC値低下を示したものの、TG値およびHDL-C/ApoA1比との関連は認められず、糖尿病におけるHDL機能の低下にはHDLの成熟障害以外の機序も関わっている可能性が考えられた。HDL-Cが超高値では死亡リスクがむしろ上昇するとの報告があるが、HDLの機能不全をきたす機序の解明を通じて高HDL-C血症患者をいかにマネージメントするか引き続き模索する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神戸大学医学部附属病院に入院あるいは通院中の患者より検査部に生化学検査目的に提出された血清の残余検体が順調に収集できており、HDL-C値およびCUCの分布状況について検討が進んでいる。また、金沢大学にて遺伝子解析により原発性脂質異常症(家族性高コレステロール血症(FH)、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)欠損症、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症、タンジール病、リポ蛋白リパーゼ(LPL)欠損症など)と診断された患者の血清についても順調に収集できており、CUCの測定を始めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
高HDL-C血症の心血管病リスク層別化におけるコレステロール取り込み能(CUC)の有用性を検証すべく、下記のごとく研究を実施する。 ① HDL-C値およびCUCの分布状況について、神戸大学医学部附属病院に入院あるいは通院中の患者より検査部に生化学検査目的に提出された血清の残余検体を用いて調査する(倫理委員会承認済み)。さらに、1)性別・年齢毎の測定値との分布状況、2)脂質プロファイルおよび各種臨床検査値との関連、3)様々な病態(糖尿病、腎臓病、肥満、甲状腺疾患など)との関連、4)使用薬剤(ステロイド、エストロゲン補充療法など)との関連、5)生活習慣(食生活、運動、飲酒、喫煙など)との関連、6)心血管病・脳卒中・認知症・悪性腫瘍などの既往歴との関連について検討する。 ② 金沢大学にて遺伝子解析により原発性脂質異常症(家族性高コレステロール血症(FH)、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)欠損症、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症、タンジール病、リポ蛋白リパーゼ(LPL)欠損症など)と診断された患者のCUCを測定する。 ③ CUCと動脈硬化性病変との関連について検討すべく、CUCと頸動脈エコーによるプラーク病変および心電図での虚血性変化との関連を調べる。 ④ CUCを規定する因子について検討し、CUCへの介入方法を探索する。具体的には1)核磁気共鳴法(LabCorp社)により測定したHDL粒子数・サイズとの関連、2)アポ蛋白構成およびプロテオーム解析による翻訳後修飾との関連、3)HDL中のリン脂質量・脂肪酸組成およびレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ活性との関連、4)LC/MSにより測定した脂質メディエーターとの関連、5)運動療法や既存の薬物療法による介入が与える影響(動物実験・臨床研究)について検討する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)