Project/Area Number |
23K07545
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 大 山形大学, 医学部, 医員 (90400548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 哲 山形大学, 医学部, 准教授 (40359568)
大瀧 陽一郎 山形大学, 医学部, 助教 (80732693)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | NPHP4 / 大動脈弁狭窄症 / Hippo pathway |
Outline of Research at the Start |
心不全患者は増加傾向にあり、その原因の1つに大動脈弁狭窄症(AS)が挙げられる。大動脈弁石灰化は、加齢、糖尿病、慢性腎臓病などにより増悪するが、AS進行抑制に有効な薬物療法はない。NPHP4は一次繊毛の構成タンパクで、メカノセンサーの役割を果たす。一次繊毛は、細胞内シグナル伝達の細胞内制御因子であり、NPHP4の異常は繊毛症の原因となる。NPHP4はHippoおよびWntシグナルを抑制することが知られている。本研究では、ブタ大動脈弁間質細胞やNPHP4欠損マウスを用い、大動脈弁石灰化にNPHP4の果たす役割を検討する。ASの新しい薬物治療標的の検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
心不全患者は世界的に増加しており、その重要な原因の1つに大動脈弁狭窄症(AS)の増加が挙げられる。大動脈弁石灰化は、加齢、糖尿病、慢性腎臓病などにより増悪するが、AS進行抑制に有効な薬物療法はない。NPHP4は一次繊毛の構成タンパクで、メカノセンサーの役割を果たす。一次繊毛は、細胞内シグナル伝達の細胞内制御因子であり、NPHP4の異常は繊毛症の原因となる。NPHP4はHippoシグナルおよびWntシグナルを抑制することが知られている。本研究では、ブタ大動脈弁間質細胞を用い、大動脈弁石灰化にNPHP4の果たす役割を検討する。さらに我々が開発したマウス大動脈弁ワイヤー傷害石灰化ASモデルを用いて、傷害大動脈弁におけるNPHP4の発現と大動脈弁石灰化について検討する。さらにNPHP4欠損マウスを用いて、NPHP4/Hippo/YAP経路が大動脈弁狭窄症発症に果たす役割を検討する。これによりASの新しい薬物治療標的の検討を行う。 2023年は、細胞実験を主に実施した。Nphp4をsiRNAでノックダウンすると、ユビキチン転移酵素ITCHの蛋白質発現が低下した。ITCHは、Hippoシグナルの主要な調節因子であるLats1と結合することが知られている。我々は新たにITCHがLats2と結合することを同定した。NPHP4をノックダウンすると、蛋白質発現ではITCHが低下し、Lats2が増加し、YAPが低下した。既報でNPHP4はLats1と結合することが報告されている。以上を踏まえて、NPHP4/ITCH/Lats2が複合体を形成し、YAPの核内移行を制御していることが示唆された。Nphp4ノックアウトマウスに対して、ワイヤー障害による大動脈弁狭窄症を誘導する実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CRISPR-Cas9システムを用いて、Nphp4ノックアウトマウスを作成した。同マウスは、8週齢の段階で体重が野生型マウスと比較して有意に軽かった。また、加齢に伴い心機能の低下が早く、60週齢の段階で統計学的な有意差をもって、左室収縮能が低下していた。心組織のRNA-seqデータ解析を行ったところ、ミトコンドリア機能障害を認めた。予備実験で、Nphp4ノックアウトマウスに大動脈縮窄術により圧負荷を加えると、心機能が悪化し生存率が低下する結果を得た。 大動脈弁ワイヤー傷害術は、心臓超音波検査では最高大動脈弁通過速度が4 m/sを超えるモデルである。大動脈弁の肥厚や石灰化に加えて、左室肥大を来す。Nphp4ノックアウトマウスに対して同手術を施行したところ、左室に対して圧負荷がかかるためか、左室収縮能が野生型に比較して低下傾向となった。大動脈弁通過速度は、弁口面積に加えて左室収縮能の影響を受ける。そのため、Nphp4ノックアウトマウスでは、統計学的に有意な最高大動脈弁通過速度の上昇を認めなかった。現在は、ワイヤー障害の程度を軽度にとどめるために、冠動脈ワイヤーの先端加重を軽いもので大動脈弁ワイヤー障害術を試みている。また、障害弁のRNA-seq解析だが、採取できるRNA量が少なく、サンプル調整に難渋している。Single cell RNA-seqを実施する準備をしている。 細胞実験においては、ブタ大動脈弁間質細胞の培養に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
Yanagawaらの報告に従いブタ大動脈弁間質細胞を採取する。大動脈弁間質細胞に石灰化誘導培地(OM)を与え、NPHP4の発現が変化するか検討する。またフローチェンバーを用いて、ずり応力によるNPHP4およびHippo/YAPシグナルに与える影響を検討する。大動脈弁間質細胞においてsiRNAによりNPHP4を抑制し、OM刺激によるHippo/YAPシグナル、Runx2の発現、石灰化について、検討する。またNPHP4過剰発現を行い、OM刺激による石灰沈着に与える影響を検討する。 8-10週齢のC57/BL6雄マウスに対し、大動脈弁ワイヤー傷害術を施行する。傷害大動脈弁におけるNPHP4、LATS1、ITCH、YAP、Runx2、BMPの発現と大動脈弁石灰化について検討する。大動脈弁の左室側ventricularisと大動脈側fibrosaでNPHP4/YAPシグナルに違いがあるか、検討する。山形大学遺伝子実験センターにおいて、CRISPR-Cas9によりNPHP4欠損マウスを作成した。野生型マウスとNPHP4欠損マウスに、大動脈弁ワイヤー傷害術を行い、大動脈弁狭窄症の発生率をマウス用の心エコーを用い、評価する。また大動脈弁石灰化の程度を組織学的に比較検討する。RNA-sequence解析により、HippoやWntシグナルの標的遺伝子の発現を詳細に検討する。このモデルでは、ワイヤー傷害により浮腫、出血、炎症が生じ、早期から大動脈弁圧較差が生じる。傷害弁を通過する血流により大動脈弁尖のリモデリングが生じ、大動脈弁に石灰沈着が生じる。NPHP4による炎症、細胞増殖に与える影響により、大動脈弁石灰化に対して、増悪因子として働くか、保護的に働くか検討を行う。
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