Project/Area Number |
23K07599
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53030:Respiratory medicine-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 博徳 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (60839710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笹 裕晃 京都大学, 医学研究科, 助教 (80572015)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 転移性肝腫瘍 / 生体内観察モデル / 腫瘍免疫応答 / 肺癌 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、申請者らの研究グループが独自に取り組んできた転移性腫瘍観察モデルと網羅的遺伝子解析などの手法を融合させ、予後不良因子で治療抵抗性を示す転移性肝腫瘍の初期に癌細胞が生存し肝臓に生着する機序を解明することで、初期腫瘍免疫応答を抑制する『負の免疫環境』を標的とした治療パラダイムの道を拓き、肺癌根治を目指す薬剤開発や治療発展に貢献することが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者らの研究グループが独自に取り組んできた転移性腫瘍観察モデルと網羅的遺伝子解析などの手法を融合させ、予後不良因子で治療抵抗性を示す転移性肝腫瘍の初期に癌細胞が生存し肝臓に生着する機序を解明することで、初期腫瘍免疫応答を抑制する『負の免疫環境』を標的とした新規治療分子を探索することである。具体的には①肺癌の『肝転移生体内観察モデル』を確立することにより、単球由来免疫細胞の動的な反応を観察し、初期免疫応答の抑制に関わる責任因子を同定し、②マウスで同定された責任因子と同様の働きをする因子がヒト癌免疫微小環境でも免疫抑制機構に関与することを臨床検体ライブラリにより検証し、③同定した因子の機能を解析することである。 本年度はこの研究計画に従い、①肺癌の『肝転移生体内観察モデル』を確立し、癌細胞が肝臓に生着した直後の肝臓内の免疫応答を可視化する系を安定的に作ることが完了し、短時間であるが、継続的に観察することができるようになった。また、肝転移成立時に癌細胞周囲に集簇する細胞がマクロファージであることを明らかにし、その機能解析を行う段階に進んでいる。更に、②臨床ライブラリによる検証を行うために、肺癌患者の全血DNA及び肺癌肝転移の病理組織の収集は順調に進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)肝転移生体内観察モデルの確立と改良:主に肝転移生体内観察モデルの構築で遅れが生じている。二光子顕微鏡での肝転移の観察は開腹して行うため、マウスへの侵襲が大きく、1個体を継続的に観察することに難渋している。そのため、二光子顕微鏡での観察についてはタイムポイントを設定して、その時点での腫瘍細胞と免疫細胞の応答を観察することにフォーカスすることで構築することに変更をした。腫瘍細胞にルシフェラーゼを発現させる、いわゆる生体発光イメージングを組み合わせることで肝転移を持続的に観察し、多角的に評価する観察モデルを構築することとしたため、そのモデルを構築するために時間を要することとなり、遅延が生じる結果となった。 2)転移性肝腫瘍を有するマウス肝臓を用いて腫瘍免疫応答に関わる候補因子を同定: 肝転移成立において、C57BL/6由来のマウス肺癌細胞(CMT167)に集簇するCX3CR1発現細胞は、SPP1発現上昇しているM2マクロファージであることを確認した。そこで、CMT167-CD47KO細胞を作成し、CD47阻害により抗PD-1抗体の転移性肝腫瘍に対する感受性の変遷を検証している。 3)進行肺癌患者の全血DNA及び肺癌肝転移の病理組織の収集:現在、薬物治療を行った進行肺癌患者の全血DNA570検体および肺癌肝転移28症例の病理組織検体を集積している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)肝転移生体内観察モデルの確立と改良:概ね改良はできているが、二光子顕微鏡による一細胞レベルでの観察を行うタイムポイントを微調整する予定である。2)転移性肝腫瘍を有するマウス肝臓を用いて腫瘍免疫応答に関わる候補因子を同定:転移性肝腫瘍を有するマウス肝臓から細胞を単離し、シングルセルRNA解析を行うことにより、SPP1発現が上昇しているマクロファージが、腫瘍微小環境に与える影響を解析するとともに、治療候補因子を同定する。また、CD47阻害による腫瘍微小環境の変化を解析する予定である。3)進行肺癌患者の全血DNA及び肺癌肝転移の病理組織の収集:引き続き収集を継続する。4)検体ライブラリを用いた検討:薬物治療を行った進行肺癌患者の全血DNAを用いて、候補因子の一塩基多型を測定し、治療効果・予後・肝転移の発生頻度を検討する。また、肺癌肝転移検体の病理組織を用いて、腫瘍免疫応答に関わる単球系免疫細胞が腫瘍組織内に存在しているかを確認する。更に、研究開始後に得られた肺癌の肝転移検体に対しシングルセルRNA解析を行い、実臨床との相互性を確認する。5)候補因子の機能解析:次年度後半には、遺伝子改変技術による癌細胞側の候補因子の発現変化により、癌細胞が肝蔵へ生着を許されないことを肝転移モデルを用いて確認する予定である。
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