Project/Area Number |
23K07760
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
青木 仁美 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10550361)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 受容体型チロシンキナーゼ / Kit / Kitl / 表皮 / 毛周期 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Research at the Start |
受容体型チロシンキナーゼKitは、幹細胞システムへの作用を介して複数の細胞系譜の発生に重要な役割を果たす遺伝子である。申請者は、幹細胞と加齢性変化の関係を、Kitシグナルを通して解明することを目指している。 本研究では、Kitとその関連遺伝子を操作した遺伝子改変マウスを駆使して、表皮や毛周期におけるKitの新たな機能を解明する。また、Kitの標的遺伝子を探索し、これらの発現を制御することで、表皮や髪の成体組織幹細胞の保持、毛周期や発毛の異常の改善、表皮の老化抑制を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
受容体型チロシンキナーゼKitは、色素細胞をはじめ血液細胞や生殖細胞などで発現し、幹細胞システムへの作用を介してこれらの細胞系譜の増殖・分化・生存・代謝・移動を制御し、その発生に重要な役割を果たしている。申請者は、幹細胞と加齢性変化の関係を、Kitシグナルを通して解明することを目指している。 Kitの機能解析は、さまざまなKit変異体を用いて行われているが、Kit遺伝子の機能欠損マウスは、発生の初期からこれらの細胞系譜が欠損し、白髪や白斑、貧血・不妊などの表現型を生じる。そのため、貧血等により個体の維持が困難で、不妊により繁殖が制限され、他の遺伝子欠損マウスとの交配による多重遺伝子変異マウスの樹立が難しい。そこで、色素細胞や血液細胞、生殖細胞など、Kitの変異により発生異常や細胞死を生じる細胞系譜の機能解析は、Kit機能阻害抗体であるAck2を用いて行われてきた。 一部の表皮細胞や毛周期の特定の時期においてKitの発現が観察されているが、Kit機能欠損マウスの皮膚には明確な構造異常や機能異常がなく、脱毛や長毛などの毛周期の異常も観察されないため、表皮でのKitの機能は未解明のままである。また、Ack2の投与によるKitの阻害が表皮細胞や毛周期に及ぼす影響も解析されておらず、これまでに色素細胞以外での皮膚や髪などの外胚葉由来組織とKitとの関連はほとんど論じられていない。 そこで、本年度は、Kitとそのリガンド分子を操作した遺伝子改変マウスを作成し、これらを駆使して、表皮や毛周期におけるKitの新たな機能解明を目指した取り組みを行った。 具体的には、Kitl条件付き過剰発現マウスの作製を完了し、このマウス生物学的機能を確認し、報告した。また、FACS解析でKit陽性表皮細胞の割合を、免疫組織学的解析でKit陽性細胞の局在を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者が作製しているCol1A1-TetOP-Kitlマウスを用い、ドキシサイクリンの投与依存的にKitシグナルを活性化できるマウスとして、Kitl条件付き過剰発現マウスの作製が予定通りに進んで完了しており、このマウスが正しく機能することを確認し、評価することができた。また、これらの成果を、論文として報告することができた。 表皮マーカーα6 integrinと抗Kit抗体を用い、フローサイトメトリー解析でKit陽性表皮細胞の割合を解析する実験計画と、表皮でYFPを発現するマウス(K14-Cre; Rosa26R-eYFP)と抗Kit抗体を用い、Kit陽性細胞の局在を免疫組織学的に解析する実験計画に関しては、新生児マウスとアダルトマウスを用いて観察を行うことができた。ただし、これらの異なる手法により、Kitを発現する表皮細胞の特定とKitが発現する毛周期の時期の特定にも取り組んだが、それらの特定にはまだ至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
フローサイトメトリー解析と免疫組織学的な解析を継続し、さまざまは発生段階や生後の異なる毛周期の段階で、Kit陽性細胞の割合や局在の変化を解析することで、Kitを発現する表皮細胞を特定し、また、Kitが発現する毛周期の時期を特定することで、表皮細胞や毛周期とKitとの関連を解明する。 YFPを指標に、Kitの機能が低下した表皮細胞(K14-Cre; Rosa-eYFP; Kitflox/+)と正常な細胞(K14-Cre; Rosa-eYFP; Kitflox/+)を、細胞分取装置にて取り分ける。マイクロアレイかRNAseqを行い、発現量の変動する遺伝子(群)を検出する。その中から表皮や毛周期と関連するものを探索し、Kitがどのような分子機構を介して表皮や毛周期に影響するか、作用点や標的遺伝子を解明する。 表皮特異的あるいは薬剤の投与依存的にKitの機能を低下するマウス(K14-Cre; Kitflox/+とRosa-rtTA; Col1A1-TetOP-Cre; Kitflox/+)を比較し、Kitの機能低下が表皮や毛周期に及ぼす影響を調べる。
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