Project/Area Number |
23K07770
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
青木 茂久 佐賀大学, 医学部, 教授 (10448441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 卓也 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50380754)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 悪性黒色腫 / 3次元培養 / 皮膚 / 培養モデル |
Outline of Research at the Start |
本申請研究では、研究代表者が独自に構築した培養モデルを用い微小環境因子群の個別作用と因子間連携作用を解明し、微小環境の協働効果のメカニズムを明らかにする。 1.複数種の悪性黒色腫細胞株を用いた微小環境因子間の協働効果の証明 2.培養条件下で悪性黒色腫に及ぼす微小環境効果の中心的経路の特定 3.動物移植モデルへの責任因子阻害薬投与による、新しい治療方法の評価
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Outline of Annual Research Achievements |
悪性黒色腫は病変の進行が著しく早く、悪性度が高い皮膚疾患である。近年、悪性腫瘍における微小環境の重要性が認識され、中でも細胞因子と物理因子が注目されている。従来、線維芽細胞や紫外線といった単一因子による悪性黒色腫への影響は検証されてきたが、多因子から構成される生体の微小環境を解析する手法は開発されていない。とくに細胞因子は細胞から構成されるため、がん細胞と同様に物理因子の影響を受け、細胞因子の効果は変化すると予想される。悪性黒色腫の病態解明と新規治療法の開発には、培養細胞を用いたin vitro評価系が必須であり、中でも3次元モデルが分子細胞学的なシグナル解析と薬剤感受性評価に有用である。既存法として、スフェロイド法、コラーゲン再構築法、細胞チップ法があるが、これらの方法を含め複数の微小環境因子(細胞因子と物理因子)を同時に再現し、複数の因子間の相互作用を評価可能な培養方法は、現在まで確立されていない。 研究代表者は悪性黒色腫の細胞挙動が微小環境により調節され、その構成因子自身も因子間の相互作用により変動的であることを予想した。そこで、変動する微小環境を再現すれば悪性黒色腫に対する微小環境の正確な作用が解明できると考えた。本仮説を証明すべく、研究代表者はコラーゲンゲル3次元培養と反複振盪器とを組み合わせ、力学的刺激(物理因子)環境下にて皮膚組織(細胞因子)を再構築し、複数の微小環境因子が同時に存在しつつ因子間の相互作用も模倣する、生体に類似した微小環境を再現可能な新規培養モデルを独自に開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年、がんの病態における特異的微小環境の重要性が広く認識されている。しかし、微小環境を構成する因子間(細胞因子と物理因子および細胞因子内)の相互関係に注目した報告はほとんどない。さらに、複数の微小環境因子を同時に再現する悪性黒色腫培養モデルは確立されておらず、細胞因子と物理因子との相互作用と微小環境機能の変化の詳細は未解明である。 研究代表者は、以前よりこの点に着目し、正常および腫瘍組織に特異的な細胞因子と物理因子が共存する培養モデルを独自に開発し、微小環境因子間の連携の重要性を報告してきた。本年度では、研究代表者はコラーゲンゲル3次元培養法に反複振盪を新たに組み合わせ、悪性黒色腫の発生母体(皮膚組織)と反複振盪による物理刺激を同時かつ簡便に再現する皮膚内悪性黒色腫培養モデルを独自に確立し、病理組織学的および分子生物学的な解析が可能である事を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞因子と物理因子による悪性黒色腫細胞増殖・浸潤制御の検証ヒト由悪性黒色腫細胞としてHMY-1 (JCRB)、COLO-679 (JCRB)を用いる。ヒト表皮細胞としてHEKa (ATCC)、HaCaT (CLS)を用いる。ヒト線維芽細胞としてSF-TY (JCRB)、NTI-4 (JCRB)を用いる。また種差を考慮しつつ、ラット新生仔由来の表皮細胞、線維芽細胞の初代培養を用いた共培養実験も併せて行う。初代培養を含め複数の表皮および線維芽細胞株を用いて、予備検討結果の普遍性を検証する。細胞ディスクでは薄切検体による免疫染色が可能である。表皮細胞や線維芽細胞との相互作用により悪性黒色腫の浸潤能を規定するN-cadherin、integrin、MelCAM、DDR1などを解析する。さらに幹細胞マーカーSox2、Oct4、Nanogの発現を評価し、微小環境因子との関連を解析する。 微小環境による分子標的薬への感受性変化 悪性黒色腫ではBRAF V600E変異の頻度が高いことが知られており、MAPK系の活性化が病態に関与している。現在、BRAF阻害剤とMEK阻害薬が分子標的薬治療の主体となっている。これらの分子標的薬の作用が、微小環境の違いによって変化するか否かを、各種条件下にある細胞ディスクに投与し、その効果を病理組織形態および細胞増殖マーカー(Ki67)およびアポトーシスマーカー(Cleaved caspase 3)の免疫染色を用いて評価する。さらに前述の浸潤能と幹細胞マーカーに関しても免疫染色を用いて解析する。
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