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免疫学的特権の破綻からみた自己免疫性皮膚付属器疾患での病理学的予後予測因子の検討

Research Project

Project/Area Number 23K07774
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 53050:Dermatology-related
Research InstitutionKyorin University

Principal Investigator

下田 由莉江  杏林大学, 医学部, 学内講師 (50774204)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Keywords免疫学的特権 / 汗腺 / 毛包 / 皮膚付属器疾患 / 自己免疫
Outline of Research at the Start

本研究では、自己免疫性皮膚付属器疾患において主要標的以外の周辺付属器のIP破綻の程度を評価し、同部位の炎症強度との相関を明らかにする。さらに周辺付属器への炎症波及の程度が主要標的に対する自己免疫性疾患の治療反応性の予測因子となり得るかにつき検討する。
具体的には、汗腺のIP破綻がみられるAA症例において、汗腺周囲性の炎症性細胞浸潤がみられるか否かを、免疫組織化学的手法とデジタル画像解析技術により検証する。さらに、汗腺周囲性の炎症細胞浸潤の程度と病勢や治療反応性との相関について検討する。同様の検討を汗腺疾患でも行う。さらに、器官培養系を用い炎症性サイトカイン添加によるIP破綻の機能的再現を試みる。

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、円形脱毛症(alopecia areata: AA)に代表される自己免疫性皮膚付属器疾患において、主要標的器官に対する免疫応答が近傍の他の付属器の免疫学的特権(immune privilege: IP)に与えるか否かを検討し、IP 破綻がみられるならば、近傍付属器周囲に生じる炎症反応と相関性があるかについて解析し病態を明らかにすることを目的とする。
研究初年度である本年度は、まず毛包を標的とするAAの重症例において、汗腺に対する炎症性細胞浸潤がみられるか否かを検討した。解析の結果、毛包周囲の炎症性細胞浸潤の程度が高度であっても、汗腺周囲に炎症性細胞浸潤がみられる頻度は研究計画立案当初に予測していたよりも低いことが予想された。汗腺を標的とする自己免疫性皮膚付属器疾患と捉えられる特発性後天性全身性無汗症(acquired idiopathic generalized anhidrosis: AIGA)症例において、毛包に対する炎症性細胞浸潤がみられるか否かを解析したAIGA症例においても毛包への炎症性細胞浸潤がみられる頻度も低かった。そこで解析対象を増やしたところ、明確に汗腺に対する炎症性変化がみられるAA症例を同定し得た。現在症例集積中ではあるが、皮膚付属器のIPの破綻が存在する疾患において他の皮膚付属器に対しても免疫応答を来たすことは稀ではあるが生じうることが明らかとなった。
そこで、IP破綻の検出感度を向上させるため既存以外のIP関連分子の同定を試みた。申請者らが確立してきたヒト汗腺細胞の培養、分子生物学的手法を用いて、副腎皮質ステロイドを添加ある・なしのヒト培養汗腺細胞群で、発現変化のあった遺伝子リストから、免疫組織学的検討により、tenascinCなど新たな汗腺IP関連分子を同定し今後の検討対象とした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究立案当初の予測と若干異なり、自己免疫性皮膚付属器疾患において、主要標的に対する免疫応答が近傍の他の付属器のIPに与える影響を病理組織学的に検出することは技術的に難しいことが明らかとなった。しかし、それが可能な症例もあり、さらに症例を集積することで解決できる可能性があることもわかった。次いで、解析対象を拡大したことによって抽出できた汗腺周囲に炎症性細胞浸潤のあるAA症例由来の病理組織検体を用いて免疫組織化学的染色とimage Jによるデジタル画像解析を組み合わせた半定量的画像解析法を用いて、毛包及び汗腺におけるIP関連分子発現の定量化を試みた。AA患者では、毛球部におけるMHC class I発現亢進、免疫抑制分子であるMIF, alpha-melanocyte stimulating hormone (α-MSH)発現低下が確認され、既報と同様に毛球部のIP破綻が再現可能であった。これらの症例で汗腺のIP関連分子の発現が確認できたため、IP破綻があるか否かについて画像解析を進めている。
既知のIP関連因子以外にヒト汗腺に発現するIP関連因子を同定することで、実験系検出感度を向上し得る可能性があるため、新規マーカーの同定を試みた。申請者らが確立したヒト培養汗腺細胞の培養系を用いて、ステロイド添加ある・なしでヒト汗腺細胞を培養しtotal RNAを回収しマイクロアレイを作成し遺伝子発現プロファイルを検討したところ、汗腺におけるIP関連分子となり得る分子を同定し、免疫組織学的手法により汗腺での発現を確認することができた。まずは、前述の毛包周囲、汗腺周囲ともに炎症性細胞浸潤がある症例の病理組織標本を用いて、このIP関連分子発現の変化を確認し、その本研究計画における有用性を検証する予定である。

Strategy for Future Research Activity

今後は引き続き本年度抽出し得た毛包および汗腺周囲に炎症性変化のあるAA症例の皮膚生検検体の残余ブロックを使用し毛包及び汗腺のIP破綻がみられるか否かの検証を行う予定である。また、新規同定した分子についても、既存IP関連因子と同様に正常コントロール検体における毛包、汗腺など皮膚付属器での発現と症例での発現の変化を症例ごとに検討を追加していく。
これまでの検討から、病理組織学的に明らかな炎症反応を伴う症例の数が予想より少ないことが明らかとなった。そもそも自己免疫性皮膚付属器疾患の症例数は少なく、症例を集積する申請者所属施設でもその数は限られる。そこで、解析対象症例数を確保するため、形態学的に明らかに炎症所見がみられない症例においてもIP分子の発現変化(IPの破綻)がみられないかについて検討する。また、今回作成したマイクロアレイデータの追加解析において解析の閾値を変更し、検出感度を広めにとり、新たにgene ontology解析を行うことで追加の新規IP関連因子の同定に努める。同定した因子について他の分子で用いている方法と同様に、特異的な抗体を用いた免疫組織化学染色とデジタル画像解析による半定量的発現量解析が適応可能かどうか検討し、可能な場合には解析対象に追加する。後天性特発性全身性無汗症では、自己免疫応答の病態への関与が示唆される汗腺周囲性に炎症細胞浸潤がみられるタイプとそうではないタイプに大別される。発症へのIPの関与が想定されるのは前者であるため、このような症例で毛包周囲性の炎症性変化がみられるか否か、IPの破綻を示唆するIP関連分子の発現の変化が生じているか否かを解析する。さらには複数の皮膚付属器でのIP破綻がみられた症例とそうではない症例とで治療への反応性の違いを検討していく予定である。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report

URL: 

Published: 2023-04-13   Modified: 2024-12-25  

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