Project/Area Number |
23K07775
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
小幡 誉子 星薬科大学, 薬学部, 教授 (20260979)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 皮膚角層 / 細胞間脂質 / ラメラ構造 / 放射光X線回折 / 赤外分光 |
Outline of Research at the Start |
「角層」は、生体を脱水や異物侵入から保護するバリア機能をもつ。皮膚の物理的バリア機能の中核となるのは、細胞間脂質が形成するラメラ構造であるが、薬物の経皮吸収を促進する製剤成分は、ラメラ構造を緩めることが見出された。本研究では、放射光X線回折、顕微赤外分光測定、電子顕微鏡観察および示差走査熱量測定により、アトピー性皮膚炎や乾癬など炎症性皮膚疾患によりバリア機能不全となっている角層の微細構造について詳細な解析を行い、物理的側面から角層のバリア機能不全の分子メカニズムを解明する。この結果から、細胞間脂質のラメラ構造を補強して強固にすることに焦点を絞った、バリア機能不全を改善する外用剤の開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
まず、ヒトおよびマウス角層のX線回折実験および赤外分光実験を行った。X線回折実験から、すでに報告されているようにいずれの角層でも、長周期ラメラ、短周期ラメラならびに六方晶、直方晶が観察された。マウス角層では長周期ラメラが非常に明確に認められたが、ヒト角層の長周期ラメラの一次回折は不明瞭で、二次回折は短周期ラメラの一次回折と重畳しており、データ解析にはピーク分離等の手法が必要だった。角層の赤外分光実験では、これまでの実験で、とくに脂質の炭化水素鎖に由来するメチレンの対称および逆対称伸縮振動に関する報告が中心だったが、この研究では、アミドⅠやアミドⅡの吸収領域にも着目した。セラミドのスフィンゴイド塩基に由来する吸収も重なっているが、角層内では質量比でおよそ9割を角層細胞が占めており、アミドの吸収はソフトケラチンの状況をよく反映するものと考えられる。角層の温度を上昇させると、αヘリックスが減少するとともに、ランダムコイルが増加する可能性が示唆された。さらに、脂質の炭化水素鎖に由来するメチレンの対称および逆対称伸縮振動については、温度の変化に対しては、対称伸縮振動のほうが鋭敏である結果が得られた。また、光学活性セラミドを添加した脂質モデルでは、これまでのセラミド:コレステロール:遊離脂肪酸のモル比を1:1:1としたモデルから、セラミド:コレステロールが1:1とすることでさらに単純化して、分子間相互作用を明確にすることを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射光X線回折実験、放射光赤外分光実験ともにSPring-8やKEK-PFでの申請課題が採択され、必要なビームタイムを確保することができている。また、実験で得られた測定プロファイルについて、種々の解析を試み、新しい解析手法を見出すに至っている。これらの手法をさらに発展させて、角層微細構造に関するあらたな知見が得られると考えており、製剤開発へのアプローチにつながるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている角層微細構造のあらたな解析手法の発展に努めるとともに、疾患皮膚角層への適用を試みる。また、脂質モデルの成分比を検討することにより、疾患皮膚角層の状態を再現できるモデルの構築を試みて、製剤開発に重要な要因の探索を進める。
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