Project/Area Number |
23K07829
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54010:Hematology and medical oncology-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
片桐 孝和 金沢大学, 保健学系, 准教授 (60621159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 晃平 金沢大学, 附属病院, 講師 (10786239)
エスピノザ ホルヘルイス 金沢大学, 保健学系, 准教授 (30621213)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | iPS細胞 / HLA / 自己免疫疾患 / 造血幹細胞 / 骨髄移植 / 免疫不全マウス / 自己免疫性骨髄不全 / 疾患モデル |
Outline of Research at the Start |
特発性再生不良性貧血(AA)は、細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte: CTL)が自己の造血幹前駆細胞(hematopoietic stem progenitor cell: HSPC)を攻撃することで発症する自己免疫性骨髄不全症である。本研究では、①エピトープの提示に関わるHLAクラスI分子、②自己のHSPCを傷害するCTL-TCRトランスフェクタント、③患者iPS細胞から誘導したHSPCを用いて、CTLの標的分子を同定する。また、BRGSマウスへの骨髄移植実験により疾患モデルを創出し、各造血クローンによる造血再構築における選択的な造血制御メカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
特発性再生不良性貧血(AA)は、細胞傷害性T細胞(CTL)が自己の造血幹前駆細胞(HSPC)を攻撃することで発症する。これまでに、AA患者の約14%で第6番染色体短腕(6p)の片親性ダイソミー(LOH)およびHLAクラスI遺伝子の機能喪失型変異により、造血幹前駆細胞(HSPC)が特定のHLA分子の発現を欠失し、免疫細胞からの攻撃を回避していることを世界で初めて明らかにした。また、6pLOHによって欠失するHLAハプロタイプに最も高頻度に含まれるHLA-B*40:02に着目したところ、6pLOH陽性患者の約75%がHLA-B*40:02欠失血球を保有しており、その約80%において機能喪失型変異によるHLA-B*40:02単独欠失血球が検出されることを初めて見出した。以上の結果から、HLA-B*40:02がCTLの標的分子の提示およびCTLの誘導に極めて強く関与していると考えられる。 本研究は、AA患者から作製したiPS細胞由来HSPCによる造血を再構築したBRGSマウスをplatformとして、AAに特異的な造血制御および造血変容を解明することを目的としている。患者の骨髄における免疫病態として、CTLの他に炎症性サイトカインによるHSPCへの攻撃が考えられる。 これまでに、臍帯血からソートしたHSPCを用いて、炎症性サイトカインによる造血制御をmethocultにおいて明らかにした。また、大腿骨内骨髄移植によりBRGSマウスにおいて再構築した臍帯血由来造血においても、炎症性サイトカインにより造血が制御されることを明らかにした。今後、特定の表現型を有する患者の単球からiPS細胞を樹立し、誘導したHSPCにおける炎症性サイトカインの造血制御について、異なる表現型のクローン間で比較する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の研究では、臍帯血からソートした造血前駆細胞(HSPC)を用いて、炎症性サイトカインによる造血制御をmethocultおよび免疫不全BRGSマウスへの骨髄移植実験により解析した。 methocultの誘導制御実験では、CD34 MicroBead Kit UltraPureを用いて、臍帯血からCD34陽性細胞を純化した。2.0×10^4個のHSPCを1 mLのMethocult(造血前駆細胞コロニー測定用の半固形培地)に播種し、炎症性サイトカインを加え、14日間培養した(37℃、5% CO2)。その間1日おきに同濃度のIFN-γを添加し、コロニーの形態を分類しコロニー数をカウントした。コロニーの形態は、骨髄系前駆細胞 (CFU-GEMM)、後期赤芽球系前駆細胞(CFU-E)、顆粒球・単球系前駆細胞(CFU-GM)、単球系前駆細胞(CFU-M)の4種類に分類した。また、Methocultから細胞を抽出し、FacsCantoIIによりFlow cytometry(FCM)解析を行った。 その結果、特定の炎症性サイトカインによりTotal colony count、CFU-GEMM、CFU-GM、CFU-Mの数が有意に低下することを明らかにした。また、FCM解析により、炎症性サイトカイン投与群でCD34+CD38+HSPC、CMP、GMPの割合が有意に低下するとともに、Lin+7AAD- cellおよび単球の割合も有意に低下することを明らかにした。また移植実験の結果、炎症性サイトカインを継続的に投与することにより、CD34+CD38+HSPCとともにCMP、GMPの割合が有意に低下することを明らかにした。これらの結果から、特定の炎症性サイトカインは、造血分化の系譜においてCMPを含み広汎性に造血を制御することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞傷害性T細胞(CTL)からの免疫学的な攻撃を回避した造血幹前駆細胞(HSPC)は、HLAの発現において多様な表現型を獲得する。また、治療介入前後で各クローンが増殖する際の選択性と、CTLからの攻撃を回避した後にも残存していると予測される炎症性サイトカインによる持続的な免疫病態は密接に関連していると考えられる。 今後の研究では、持続的な血球減少の原因を追究するため、CTLからの攻撃を回避した各HSPCの増殖・分化に対するサイトカインの影響を非HLA欠失-HSPCと比較する。また、造血分化の系譜において造血が広汎性あるいは選択的に制御される可能性が考えられる。そのため、患者の末梢血単球からiPS細胞を樹立し作製したHSPCおよび患者から採取したHSPCをクローンごとに免疫不全マウスへ移植することにより、マウス体内で再構築される各クローン性の患者造血に対して、各サイトカインの影響を検討し、クローン間での炎症性サイトカインに対する感受性の違いを明らかにする。
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