Project/Area Number |
23K07847
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54010:Hematology and medical oncology-related
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Research Institution | Gunma Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
林 泰秀 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (30238133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 正史 上武大学, その他(学長), 学長 (10107427)
外松 学 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (70251113)
河崎 裕英 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (80278621)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | methylation / leukemia / 小児急性骨髄性白血病 / 統合的遺伝子解析 / 急性骨髄性白血病 / メチル化解析 / ゲノム解析 / 予後因子 / 創薬 |
Outline of Research at the Start |
小児AMLのトランスクリプトーム解析、target シーケンス解析と網羅的DNAメチル化解析を行い、予後の指標に役立つ新規遺伝子を複数見出し1)これまでのメチル化で見出したt(9;11)-AML の層別化に関与する遺伝子をさらに症例を増やして検討する。2)7番染色体モノソミーの症例の網羅的メチル化解析を行い原因遺伝子を見出して病態解析を行う。3)APLの網羅的メチル化解析を行い予後に関係する遺伝子を見出す。これらの3課題に対して網羅的メチル化解析と他の解析との統合的解析により小児AMLとAPLの予後の指標を見出して治療法の決定に貢献し、さらに分子標的療法に通じる分子遺伝学的基盤を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
小児急性骨髄性白血病(AML)は再発や難治例が多く、日本小児白血病リンパ腫研究グループのAML-05研究の検体を対象に、343遺伝子パネルシーケンスやRNAシーケンスでTP53とRB1遺伝子の解析を328例で行い、それぞれが7例(2.1%)と6例(1.8%) にみられ、これらの遺伝子異常を有する症例は予後不良であった。またSLC2A5、KCNAB2、及びCD300F遺伝子が高発現しており、これらの遺伝子が高発現している症例はTP53とRB1遺伝子異常の有無に関わらず予後不良であった。 また、パネルシーケンスにて小児初発AMLの503例中6例にUBTF-Internal tandem duplication (ITD)を同定し、UBTF-ITDを有する症例は小児AMLにのみ認められ、8番染色体が1本多い8トリソミーとの合併が多く、全生存率、無イベント生存率ともに有意に不良であることがわかった。これまで、8トリソミー陽性例には予後良好例、不良例が混在していたが、今回のUBTF-ITDの同定により8トリソミー陽性例の予後を正確に予測することが可能である。 小児AMLにおけるmonosomy 7は7例、del(7q)は8例に認められた。Monosomy 7は全例が非寛解で造血幹細胞移植を実施しており、全生存率、無イベント生存率とも有意に不良であったが、del(7q)は再発や非寛解が多く無イベント再発率は不良であるが全生存率には有意差を認めなかった。Monosomy 7の7例中6例でMECOM高発現である一方、del(7q)では8例中1例のみがMECOM高発現であった。また、del(7q)には複雑核型が3例、RUNX1-RUNX1T1が4例と他の染色体異常を伴う症例が多く、分子生物学的背景が多様であり、これらがmonosomy 7との予後の差を生じる要因の可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TP53とRB1遺伝子の解析では研究をまとめて論文化し、両者の遺伝子の変異がみられる例はさらにSLC2A5、KCNAB2、及びCD300F遺伝子が高発現しており、これらの遺伝子が高発現している症例はTP53とRB1遺伝子異常の有無に関わらず予後不良であった。TP53遺伝子変異例は複雑核型を有する症例が多かった UBTF-ITDを有する症例の詳細な解析では、AML-05研究症例でUBTF-ITDが同定されたが、AML-05研究の前研究であるAML-99研究症例や成人AML症例、造血器腫瘍や固形腫瘍の細胞株を用いサンガーシーケンス法で解析した結果では、UBTF-ITDは成人ではみられず小児AML患者のみに特徴的に見られ、予後不良因子である事が判明した。また、これまで、8トリソミー陽性例には予後良好例、不良例が混在していたが、今回のUBTF-ITDの同定により8トリソミー陽性例の予後を正確に予測することが可能になった。UBTF以外にも複数の遺伝子で小児AMLにおいてこれまで報告のないITDが検出されたが、これらの臨床的意義も今後の検討課題である。これまでAML-05登録症例を用いて同定したこれらの遺伝子異常は小児AMLにおいて重要な予後因子と考えられるが、臨床的意義の確立のためには更なる症例数の蓄積とAML12等の新たなコホートでの検証が必要である。 モノソミー7の検討では、7番染色体上の遺伝子変異としてはKMT2C、EZH2、BRAF、CUX1、SAMD9、SAMD9L変異を31例に同定し、KMT2C変異は15例(4.5%)と比較的高頻度に認められ、有する症例は有意に予後不良であった。7番染色体上の重要な遺伝子の同定等のさらに詳細な解析を進めている。小児急性前骨髄性白血病(APL)についても網羅的メチル化解析を行い予後因子を抽出している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで小児AMLにおける予後不良因子のひとつであるTP53、RB1遺伝子とMonosomy 7およびUBTF-ITDに着目して研究を行った。Monosomy 7は小児AMLの予後不良因子のひとつであり、成人AMLやMDS領域においても認められるが、その責任遺伝子はまだ明らかになっていない。7番染色体上の遺伝子の詳細な解析により小児AMLにおけるMonosomy 7の役割と新たな予後因子を見出す可能性がある。 これまでDNAメチル化解析をAML64例で行い、Unsupervisedの解析では低メチル化群ではMECOM低発現のKMT2A再構成と、中間メチル群ではCEBPA 両アリル変異などとの関連が認められ、高メチル化群は著しく予後不良であった。さらにPRDM16遺伝子の発現はメチル化パターンが変化しており、難治AMLにPRDM16遺伝子が深く関与していることが証明された。メチル化解析の症例をさらに増やして検討し、他の遺伝子との統合的解析により、t(9;11)-AMLの予後の指標を見出して治療法の決定に貢献し、分子標的療法に通じる分子遺伝学的基盤を構築する。さらに同じt(9;11)を有するAMLとALL 40例につき、同じ染色体異常でなぜ形態がAMLとALLになるのか、網羅的メチル化解析を通じて関与する遺伝子を絞り込みその機序を検証する予定である。 これらをふまえ、次年度はさらに小児APLについても網羅的メチル化解析を行い予後因子を抽出し、抽出された遺伝子について遺伝子の性状および造腫瘍性の解析を行う。さらに有用なものに関してはAML細胞株やマウスを用いて機能解析を行う。またAPLの病型別ゲノム変異およびエピゲノム変異の特性を明らかにし、これまで困難であった分子診断技術の精度を高め、新規予後予測因子の同定に基づくリスク別層別化も試みる。
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