Development of novel antibacterial agents using crystal structure-based drug screening
Project/Area Number |
23K07918
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54030:Infectious disease medicine-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 宏典 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (00752916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 耕平 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (50866639)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 抗菌薬開発 / 薬剤耐性 / レジリエンス / 感染症災害 |
Outline of Research at the Start |
これまで抗菌薬開発は、細菌とヒトが持つ代謝の相違性を標的としてきた。一方、申請者は相違性ではなく類似性に着目し、既に複数の新規抗菌薬標的を同定している。同定した抗菌薬標的に対し最新の結晶構造解析技術を利用した化合物スクリーニングを実施し、標的タンパクに結合する化合物群とその相互作用様式の網羅的解析を行う。その後、合成展開による最適化とその過程で得た誘導体の抗菌スペクトル、細菌膜透過性、抗菌活性および毒性を評価し、抗菌薬開発に適した構造・化学修飾の特徴を解析する。本研究成果は、新たな抗菌薬開発基盤の確立と多分野融合による革新的イノベーションの創発に資する。
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Outline of Annual Research Achievements |
抗菌薬の開発は低迷し、世界的に急増する薬剤耐性菌の脅威に対応できていない。本研究では、既存の抗菌薬とは異なる作用機序を持つ抗菌薬の効率的な開発基盤を構築し薬剤耐性菌の制圧を試みる。これまで抗菌薬開発は、細菌とヒトが持つ代謝の相違性を標的としてきた。一方、申請者は相違性ではなく類似性に着目し、抗がん剤をプローブとして既に複数の新規抗菌薬標的を同定している。しかし、抗がん剤は毒性が強く、抗菌薬としての利用は難しい。そこで、近年、高速化・自動化が進み化合物スクリーニングが可能となった結晶構造解析法を導入し、同定した抗菌薬標的に結合する化合物群と相互作用様式を網羅的に取得する。令和5年度は、創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム (BINDS) から提供を受けた化合物ライブラリーを用いてセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ (SHMT) に対するスクリーニングを実施し、約7000化合物の中から新規骨格を有する化合物を含む複数のSHMT結合性化合物の同定に成功した。また、同定した化合物間での構造比較によりSHMT結合性化合物に共通する基本骨格を見出した。更に、人工知能 (AI) を利用した構造・結合予測ツールを用いて過去に代表者のグループが同定した抗菌物質の一つが細菌内に存在するCUPINスーパーファミリーに属するタンパクを標的とする可能性を見出した。CUPINスーパーファミリーは、機能的に多様なタンパク集団であり、黄色ブドウ球菌 (S.aureus) や大腸菌 (E. coli) などグラム陽性、陰性菌問わず存在し芳香族化合物の分解や細胞膜合成に関与している。代表者のグループが同定した化合物は、CUPINスーパーファミリーに共通するドメイン構造 (CUPINドメイン) への結合が示唆されており、合成展開により様々な細菌に薬効を発揮する化合物へと発展する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、期間内に (1) ヒト細胞と細菌の代謝機構の類似性を活かし、抗菌活性を有する抗がん剤をプローブとした効率的な新規標的タンパクの同定、(2) 結晶構造解析を用いた化合物スクリーニング (crystal-structure based drug screening; CSBD screening) による新規抗菌薬の基本骨格とその相互作用様式の網羅的取得、(3) 合成展開による細菌膜透過能を持つ化合物の新規合成ルールの解明を行う。(1) に関しては、過去に同定した抗菌化合物がCUPINスーパーファミリーに属するタンパクに結合する可能性を見出しており、新たな抗菌薬標的同定だけでなく抗がん剤を用いる有効性を示した。また、CUPINスーパーファミリーはS. aureusやE. coliといった様々な菌種に存在しており、CUPINドメインと呼ばれる共通構造を持つ。代表者のグループが同定した化合物はCUPINドメインへの結合が示唆されており、合成展開により様々な菌種に薬効を発揮できるポテンシャルを持つ。本化合物を基本骨格とした合成展開は、抗菌スペクトル変化や細菌膜透過性の検討に有用であり (3) の達成に向けた基盤となる。(3) に関しては、CSBD screening実施に向けたSHMTの結晶化条件を特定しただけでなく、代表者が開発したタンパク-化合物間結合評価系を用いた7000化合物のスクリーニングによりSHMT結合性化合物の複数同定に成功した。同定した化合物の中には新規骨格を持つものが存在していた。以上の結果から、研究実施項目 (1) から (3) の全てにおいて研究が発展しており当初の計画以上に順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、副作用の観点から複数のタンパク機能を阻害する医薬品 (多分子標的医薬) の開発は ” 一考の価値もない” とされてきたが、近年、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドおよびグルカゴン様ペプチド受容体に対するdual agonistであるtirzepatideの有用性が臨床試験で証明され [Lancet, 2023, doi: 10.1016/S0140-6736(23)01200-X]、多分子標的医薬が注目を浴びている。令和6年度は、CUPINスーパーファミリーに属するタンパク (CUPINタンパク) の新たな抗菌薬標的としての有用性と多分子標的抗菌薬開発への応用可能性検討する。代表者のグループが同定した化合物とS. aureus由来CUPINタンパク群の結合試験と結晶構造解析を実施し、結合様式の解明を試みる。化合物を固定した樹脂を作成、細胞抽出液を樹脂に供することにより化合物の標的となるタンパクを網羅的に検出し、代表者等が同定した化合物が複数分子を標的とする可能性を検討する。また、上記化合物の合成展開を分担研究者に依頼し、得られた誘導体の抗菌スペクトルおよび細菌膜透過性を検討、ヒト細胞膜を透過せず細菌膜のみを透過し、抗菌活性を発揮する化合物の同定を試みる。合成した化合物群と活性の相関を検討し、細菌膜透過能を持つ化合物の新規合成ルールの解明を行う。SHMTに関しては、令和5年に同定した複数の化合物とタンパクの相互作用様式を検討する。結晶構造解析を用いた相互作用解析には化合物の量が不足しているため、同じくSHMT結合性のある類似化合物とSHMTの共結晶を作成、構造解析を行い得られた相互作用様式基に新規化合物の結合様式を検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)
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[Journal Article] GRL-142 binds to and impairs HIV-1 integrase nuclear localization signal and potently suppresses highly INSTI-resistant HIV-1 variants2023
Author(s)
Aoki M, Aoki-Ogata H, Bulut H, Hayashi H, Takamune N, Kishimoto N, Tanaka H, Higashi-Kuwata N, Hattori S, Das D, Rao KV, Iwama K, Davis DA, Hasegawa K, Murayama K, Yarchoan R, Ghosh AK, Pau AK, Machida S, Misumi S, and Hiroaki Mitsuya H.
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Journal Title
Science Advances
Volume: 9
Issue: 28
Pages: 1-15
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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