Project/Area Number |
23K08089
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
角舎 学行 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (20609763)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 乳癌 / 幹細胞 / 薬剤感受性 / 遺伝子発現 / 治療効果 / 予後 / 乳癌幹細胞 / 遺伝子プロファイル / 上皮間葉転換 |
Outline of Research at the Start |
癌幹細胞は非癌幹細胞と比べて転移形成能が高く薬剤耐性であることから、薬物療法の真のターゲットと考えられている。そのため根治を目指すためには、患者の乳癌組織から癌幹細胞を選択的に培養し乳癌幹細胞の情報を知った上で、最も適した治療法を選択することが理想である。我々は乳癌組織から乳癌幹細胞を選択培養する手技を確立し、48症例の乳癌幹細胞を作製しその遺伝子解析などから乳癌幹細胞には多様性があることや、乳癌幹細胞分化に関与しているシグナル伝達経路や分子を明らかにした。本研究では乳癌幹細胞分化のメカニズムを解明しつつ、乳癌幹細胞の遺伝子情報に基づいた新たな分類と効果・予後予測システムの開発を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌幹細胞は非乳癌幹細胞と比べて転移形成能が高く薬剤耐性であることから、根治を目指す上で乳癌薬物療法の真のターゲットである。そのため患者乳癌組織から乳癌幹細胞を選択的に培養し乳癌幹細胞の情報を知ることができれば、患者にとって最も適した治療法を選択することが可能である。 我々は手術検体の乳癌組織から乳癌幹細胞を選択培養する手技を確立し、蛋白質の発現、遺伝子発現パターンにより乳癌幹細胞のグループ分類を試みた。ER陽性HER2陰性乳癌48症例から非接着性プレートを用いてスフェロイド培養を行ったところ、スフェロイド培養で得られた乳癌細胞は、原発巣と比較して乳癌幹細胞表面マーカーであるCD44+/CD24-細胞の比率が著しく増加した。また少数の乳癌細胞でもマウスに生着し、生着した乳癌幹細胞は増殖するにつれ再度分化した。得られた乳癌幹細胞では、原発巣と比較してホルモン受容体の発現が低下し、EMTマーカーの発現が増加していた。 さらに乳癌幹細胞をDNA microarrayにより解析すると、大きく二つのグループに分類することができた。さらに2つのグループの遺伝子発現をオントロジー解析したところ、免疫応答に関与する遺伝子が多く発現しているグループと蛋白質結合に関与する遺伝子が多く発現しているグループであることが明らかになった。 我々の結果により、スフェロイド培養により患者の乳癌組織から乳癌幹細胞を選択的培養する手技が確立され、その遺伝子、蛋白質発現の解析から乳癌幹細胞には多様性があることが明らかになった。 乳癌幹細胞の薬剤感受性試験については、現在、試薬の量や薬剤濃度など細かい基礎的なセッティングを終了し、今後は臨床検体のデータを積み重ねていく予定である
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者の異動もあり、実験環境が変化したため、研究体制の構築に多少時間が必要となった。しかし、現在は研究を行える状態になっており、また旭川医科大学 中山恒教授の研究室との共同研究も進展していることから、今後は十分遅れを取り戻せるとか考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果から、患者乳癌組織から幹細胞性を持つ細胞集団を選択的に培養できることは証明された。また、薬剤感受性を測定するための基礎的はデータ、各種薬剤の濃度設定などは終了していることから、今後は乳癌幹細胞の薬剤感受性と臨床的奏功率との関連を確かめることができるための準備は終了した。 乳癌にはいくつかの臨床的サブタイプがあるが、中でもホルモン受容体陰性HER2陰性であるトリプルネガティブ乳癌(TNBC)の治療成績が最も悪いことが、現在の乳癌治療の問題点となっている。我々は、TNBC症例に焦点を当て、診断時の少量の生検検体から乳癌幹細胞を選択的培養し、この薬剤感受性と治療効果との相関を追跡することを今後の研究のメインに考えている。少量の検体から効率よく培養するための工夫をいくつか発見したがこれにより96wellのプレート分の乳癌幹細胞(スフェロイド培養による)を得られることがわかったので、術前化学療法に使用される複数の薬剤を複数の濃度ポイントにおいて複数回事件することが可能になった。 今後は、乳癌幹細胞から得られる情報をどのように治療に結びつけていくかがポイントとなる
|