新たな膵再生医療の構築に向けたeR1活性細胞の幹細胞機能の解析
Project/Area Number |
23K08145
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山村 明寛 東北大学, 大学病院, 助教 (30814678)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 正二朗 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (00452590)
坂田 直昭 福岡大学, 医学部, 准教授 (50431565)
大里 元美 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 客員教授 (90314286)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 膵幹細胞 / 膵再生医療 / eR1活性細胞 / 幹細胞 |
Outline of Research at the Start |
膵臓には血糖の管理を担う内分泌機能と食物の消化吸収を担う外分泌機能という2つの全く異なる機能が混在する。この機能を担うため、膵臓には膵島・腺房・膵管という大きく3つの組織構造があり、幹細胞による複雑な組織維持機構が存在すると考えられている。申請者らはこれまでの解析を通じてRunx1エンハンサー(eR1)活性細胞が膵島細胞・腺房細胞・膵管上皮細胞の3つの細胞に分化することを確認しており、膵臓の幹細胞として機能している可能性を強く感じている。本研究はeR1活性細胞の幹細胞機能を証明することで、膵臓の恒常性を維持する組織再生機構の解明、ひいては革新的な膵再生医療の実現を目指すものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの解析において、eR1活性細胞が膵腺房細胞および膵管上皮に存在することは確認されており、今回は膵島におけるeR1活性細胞の局在を確認した。eR1-GFPマウスにおいて、膵頭マーカーであるInsulin(β 細胞)、Glucagon(α細胞)にて染色を行ったが、どちらのマーカーでも染色されなかった。よってeR1活性細胞はこれら以外の細胞、Somatostatin(γ細胞), Pancreatic Polypeptide(PP 細胞) などである可能性がある。 共同実験先の福岡大学坂田により、ブタの膵島細胞よりオルガノイドを作成することに成功し、論文が発表された(Sci Rep 2024;14:6401)。この報告では、継代を行うとインスリン分泌能力が徐々に失われ、膵島細胞の特徴から徐々に膵管細胞へと変化することが示された。われわれの目指す再生医療への応用という意味では、継代を行っても膵島細胞の特性を維持し、インスリンなどのホルモン分泌も維持されるようなオルガノイドモデルが理想的と考え、解析を続けている。膵島細胞からオルガノイド形成が可能であることが証明されたので、今後はマウス膵島よりオルガノイドを形成し、移植実験も行っていきたい。 一方で、膵臓の幹細胞と肝臓の幹細胞は共通することがあるということで、同じ動物モデルを使用して肝臓におけるeR1活性細胞の機能の観察も行なった。eR1活性細胞がホメオスターシスの維持および急性肝障害後の再生において、肝幹細胞として働いていることを証明するに至っている。この結果は、学会発表として2023年12月にタイで開催されたAsian Pacific Digestive Disease Week 2023で成果を発表した。なお、現在論文投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究で予定している解析のうち、「eR1 活性細胞の局在および分化能の解析」については膵内分泌細胞マーカーでの免疫染色を進めている。もともと4つの膵内分泌マーカーでの染色を予定していたが、そのうちInsulin(β 細胞)、Glucagon(α細胞)までは染色を行い、共染色されないことが確認された。今後はSomatostatin(γ細胞), Pancreatic Polypeptide(PP 細胞)での染色を行い、膵島細胞でのeR1活性細胞の局在を明らかにしていく予定である。また、「オルガノイド培養による内外分泌細胞の培養」において、膵管上皮細胞からのオルガノイド形成は順調に進んでおり、現在この膵管上皮細胞からのオルガノイドを内分泌細胞へと分化させるべく、各種増殖因子を添加しているところである。また、膵島細胞からのオルガノイド作成も進めており、共同実験先の福岡大学坂田らのグループと共同で取り組んでいる。坂田らのグループではブタの膵島細胞からオルガノイド形成に成功している。「オルガノイドの移植実験」に関しては上述のオルガノイド作成が進んでから実施する予定であるが、「eR1 活性細胞の遺伝子解析」に関して、現在細胞の抽出から検体提出までの流れを確認中であり、まだ準備段階である。以上のことより、まだ開始できていない実験も存在するが、開始1年の状態としては概ね順調に進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
eR1活性細胞の局在を明らかにするために、eR1-GFPマウスを用いた解析およびeR1活性細胞から作成したオルガノイドの解析はこのままのペースで進めていきたいと考えている。今後進める上での問題はeR1活性細胞の遺伝子解析であると考えている。まず、eR1活性細胞の局在として、腺房細胞、膵管上皮細胞および膵島細胞にそれぞれ存在することが確認されているため、これらの細胞をトータルで解析するのか、それともそれぞれソーティングしてから各分画で解析するのかは悩ましいところである。また、膵臓におけるeR1活性細胞が非常に少なく、1匹のマウスの膵臓から抽出されたeR1活性細胞ではRNAシークエンスに耐えうるだけの細胞を集められるかわからない。シングルセル解析にすることも考慮している。 一方で、東北大学の医学部動物実験センターの移転に伴いマウスを新しい動物舎に移動する必要があるが、新しい動物舎での感染を予防するために一度マウスを凍結胚にしてから個体復元をして完全に無菌の状態で実験を再開するように昨年末に通達があった。このために、一度実験系をストップしてから使用しているトランスジェニックマウスを新たに復元する必要があり、実験を再開できるコロニーに増やすまで時間が取られることになった。現在凍結杯をとって保存を行なったため、今後当施設の動物実験センターにお願いをして個体復元を行うところである。ただし、実験再開まではかなり時間を要すると思われる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)